アンケートに回答してくれたのは現在不妊治療に取り組んでいる、平均年齢37.8才の男性。「パートナーとともに不妊治療のクリニックや薬局などへ行ったことはありますか?」の問いに対し、95%が「はい」と回答するなど、治療にはかなり協力的。一方で、今後のことや金銭的なこと、精神的負担などを抱える男性も多く見受けられました。そんな男性たちの本音をご紹介しましょう。
{1}金銭面に対する不安
「まさか自分たちが治療するなんて。お金がかかるんだろうなと思った」(ガチャピンさん・43才・公務員)、「自然にタイミングで授かれると思っていた。費用に対する不安が大きかった」(タクさん・34才・会社員)、「高額な治療費」(MSYさん・33才)
{2}治療に対する不安
「何かしらのリスクがあるのではと不安だった」(セイセイさん・34才・システムエンジニア)、「どの病院がいいか分からない。いろんな治療法があることも知らなかった」(42才・会社員)、「何から始めればいいかわからなかった」(37才・システムエンジニア)
{3}妻への身体的負担
「妻に対する理解と協力が必要だと感じた」(37才・会社員)、「妻にものすごく負担をかけてしまった」(38才・会社員)、「子どもを授かることは奇跡。男性は痛みをわかってあげられない」(としぼっくりさん・30才・公務員)
日本産科婦人科学会の定義では、一般的には子づくりを始めて1年以上妊娠しない場合、不妊症としています。アンケートでも、もっとも多いのは「1年」でした。一方で「3カ月」と回答したのは15%。昨年の同じアンケートでは、「3カ月」と回答したのはわずか4%だったことを考えると、不妊に関する知識がより広まってきているといえそうです。
半数以上が2人で話し合って決めたという回答でした。昨年のアンケートでは、「妻」は44%と変わらないものの、「2人で」は40%から54%へと増えています。
ここでも男性の治療へのかかわりが増えてきていることがわかります。
「性交日を指定されたことがある」と回答したのは89%。多くの人にとって不妊治療の最初となるタイミング法では、医師から性交日を指定されますから、子づくりのためには必要なことです。とはいえ、どう感じたか?の問いには、前向きに感じたのが7割、嫌悪感を感じたのは3割という結果に。
前向き
「妻だけの問題ではないので力を合わせたいと思った」(哲隆さん・37才・会社員)、「今度こそ!と思った」(まみむうさん・公務員)、「体調をととのえておこうと感じた」(セイセイさん・34才・システムエンジニア)
嫌悪感
「これが一番イヤ!指定されるたびにイヤだった」(KJさん・42才・会社員)、「義務的に感じた」(祐ちゃんさん・38才・理学療法士)、「今は妻のおかげもあり問題ないが、一時期はプレッシャーで、半年ほどできなかった」(タクさん・34才・会社員)
検査を受けたことがあるのは、95%とほとんどの人が検査を経験済みでした。では抵抗があったかという質問に対しては、8割が「抵抗なし」という回答でした。
抵抗なし
「男にできることはこれしかないので」(としぼっくりさん・30才・公務員)、「むしろ正常なのか知るいい機会だと思った」(40才・介護士)、「男性にも不妊原因の可能性があるので、抵抗はありませんでした」(グリーンさん・32才・会社員)
抵抗あり
「とても抵抗があった」(モアイ兄さん・43才・会社員)、「悪いところがないか不安だった」(セイセイさん・34才・システムエンジニア)、「自分には問題ないと思っていたので、抵抗があった」(じゅんロウちゃんさん・34才・会社員)
今や一般的な治療とも思える体外受精ですが、抵抗を感じる人は少なくありません。このアンケートでも、男性の4分の1は抵抗がある、という結果でした。
抵抗あり
「元気な子どもが生まれてくるのか不安がある」(agoさん・31才・福祉関係)、「できれば自然にと、どうしても考えてしまう」(39才・会社員)、「子どもに障害が出ないか気になる」(祐ちゃんさん・38才・理学療法士)「障害をもって生まれたらどうしよう。子どもが将来、同じように不妊で悩むことがあったらかわいそう」(ガチャピンさん・43才・公務員)、「抵抗は少しあるが、子どもが欲しいので少しでも確率があがるなら仕方ない」(タクさん・34才・会社員)
抵抗なし
「何でもチャレンジしたい」(ぽんちゃんさん・43才・公務員)、「始めは抵抗があったけど実際はそうでもなかった。男性は大変ではないから」(しんおちさん・34才・建設関係)、「抵抗はない。生まれる命は同じだから」(のりへいさん・42才・会社役員)
多くの男性がパートナーに対して何かしら配慮をしているようです。
{1}家事の手伝い
「食事以外の家事をすべて」(祐ちゃんさん・38才・理学療法士)、「“無理せずつらいときはつらいと言って”と伝え、実際に掃除・洗濯・料理を手伝った」(おおなみこなみ2さん・41才・会社員)、「家事全般。でも料理を作っても食べたくないと言われたことも」(じゅんロウちゃんさん・34才・会社員)
{2}言葉がけ
「うまくいかないとき、次また頑張ればいい。気分転換しようといって旅行の計画をたてた」(しんおちさん・34才・建設関係)、「うまくいかなかったとき、会社を早退して早く帰り、なぐさめた」(agoさん・31才・福祉関係)、「子どもを生むために嫁と結婚したんじゃないと言った」(シェリ男さん・35才・営業)、「2人でも自分は構わない。引け目に感じることはない」(フリーザさん・32才・会社員)
病院に何度も通う必要のある女性と比べて、男性との治療に対する温度差は、どうしてもでてしまうもの。アンケートではほぼ半数が、「ある」との回答でした。
{1}治療方針・内容
「通院のために旅行をキャンセルすることに。移植時期でケンカになった」(祐ちゃんさん・38才・理学療法士)、「タイミングをとる日について」(agoさん・31才・福祉関係)、「病院に指定されてその通りにやる必要があるのか?仕事との都合がつかない」(KJさん・42才・会社員)
{2}配慮のなさ
「朝さえいてくれたらいい、出してくれたらいいなど、こちらの気持ちを考えていないと思う」(ボッチャンさん・38才・公務員)、「妻の体の具合がわからず、たぶん気に障ることを言ってしまったのだと思う」(ガチャピンさん・43才・公務員)、「性交がうまくいかず、妻が不安で泣いたり、お互い感情的になった」(タクさん・34才・会社員)
75%の人が「話し合ったことがある」
「あなたはいつまで続けたいですか?」という質問に対する回答は、大きく4つに分けられました。そのうち「子どもを授かるまで」「年齢・回数で決めている」「経済的に許す限り」の3つがほぼ同数という結果に。僅差でもっとも多かったのは「子どもを授かるまで」で、治療に協力的な男性たちの、切実な思いが感じられます。
治療をやめたいと思ったこと
「ある」と回答したのは31%。やめたいと思ったのは「妻の涙をみたとき」「妻がつらそうにしているから」など、女性の精神的・肉体的負担を考えると、治療を続けることに不安を感じているようで、「子どもは欲しいが、妻の負担を考えると…」と悩んでいる様子が分かります。
女性はクリニックや妊活仲間など、誰かに相談したり愚痴を言い合ったりすることも多いと思いますが、男性はどうなのでしょうか?
7割近くが「相談したことはない」という結果に。理由としては「気を遣わせるから」「恥ずかしい」など、人にはあまり言いたくないという男性の気持ちが感じられます。また相談したことがある人の相談相手は、「両親」「友人」「経験者」という回答が多くありました。
8割の人が「ある」
協力的な男性が多いだけに、自ら調べたことがある人もおよそ8割。ほとんどの人がインターネットを活用して、調べていました。人には聞きにくいことだけに、1人で深く調べられるインターネットは、不妊治療において欠かせないツールのようです。
不妊治療の保険 知ってますか?
また2016年10月から日本で初めて登場した、不妊治療費を保証する保険について、知っているかの質問に対しては、半数以上の人が知らないという結果に。登場したばかりであることもあって、認知度はまだ高くないようです。
はじめての不妊治療の方に向けて、「不妊治療とは」「不妊治療の流れ」「治療方法」「運命の病院に出会う5つのコツ」「初めて体験」「パートナー(男性)の不妊について」「不妊治療用語集」をまとめました。