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仕事を続けながら不妊治療するのは悪いこと?今だから言える私の“後悔”【妊活とキャリア】

体験談
2022/02/02 公開
2023/05/22 更新

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妊活・不妊治療をするにあたって「妊活と仕事の両立」で悩んでいる人は少なくないでしょう。私(C.S)も「働きながら不妊治療をすること」で悩んでいたひとりです。
私は6年間のベビ待ちライフのうち、約2年間は仕事をしながら不妊治療をしていました。タイミング法や顕微授精を行ったのですが、結果はすべて陰性。
当時はとても辛い記憶しかなく、精神面も体調面も限界…。しんどい期間でした。

この記事では、そのときのエピソードや感じたことを紹介していきます。同じ悩みを抱えている方の少しでも参考になれば幸いです。

妊活スタート後に舞い込んだ昇進の話。仕事と妊活、どうする?

まずは、私が結婚し妊活をスタートしてから、不妊が発覚するまでの話です。

結婚→妊活スタート!でもなかなか妊娠しない…

私は24歳のとき結婚し、その1年後の25歳で妊活をスタートしました。当時していた仕事は、ジムのインストラクター。
体力面も大変な仕事だったので、早く妊娠し産休に入りたいと思っていました。しかし、タイミングを何回かとっても妊娠せず…。自分に原因があるのではないかと心配だった私は、はじめて不妊治療を行っている病院で検査をすることにしたのです。

そんななか昇進の打診が…!

病院に通い始めたことで、仕事をセーブすることも考えていました。
そんなときに私のもとにきたのが、店長への昇進話です。正直悩みましたが、当時はまだ妊娠できない原因が判明する前。辞める勇気がないとかではなく、すぐに妊娠もできるだろうと考えていた私は、その昇進の提案を受けることにしました。

私が店長を任された店舗は、会社の中で一番古い店舗。お客様も古くから来ている方が多く、他店舗から来た私を受け入れてくれるのか心配でした。
ですが店長に選ばれて嬉しかったため、必死でお客様の顔と名前を覚え、自分のスキルアップもしたく、それまで以上に練習に励みました。この時期は毎日必死だったのを覚えています。

店長になって1ヶ月、子宮卵管造影検査を受けてみると

不妊治療が必要だとわかったのは、店長になってから1ヶ月くらい経った頃です。
その日は仕事を中抜けし、子宮卵管造影検査を受け、妊娠に至らない原因をドクターから聞くことになっていました。そしてドクターから伝えられたのは、「夫の精子が少なく、一番高度の顕微授精でしか妊娠できない」という現実でした。
まさか、こんなことを言われると思っていなかった私は、頭の中が真っ白になったのを覚えています。

「店長になったばかりなのに、これからどうしよう…」。
職場である店舗に戻る車の中で、いろいろ考えました。しかし思いはまとまらず、店舗に戻ってから上司であるマネージャーに相談することに。
そのときは、私もどのような治療をしていくのかハッキリわかっておらず、詳しい治療内容を話せなかったのですが、マネージャーは「協力できることはする」と言ってくれたのです。その言葉を信じて、仕事をしながらの不妊治療をスタートすることになりました。

関連リンク⇒夫の精子が少ない!?乏精子症がわかるまで【男性不妊からの妊娠】

周囲の協力なしではできなかった、顕微授精1回目

不妊の原因を知ってから1ヶ月。顕微授精を行うことを決めた私たち夫婦。
当時住んでいた地域で顕微授精ができるクリニックを探し、2件のうち1つ(Aクリニックとします)を選びました。Aクリニックがよいと思った理由は、職場から近く通いやすいこと、また低刺激の排卵誘発法を推奨していたため、通院回数が少ないことの2つでした。

妊活中に熟読していたレシピ本と子宝のお守り

いよいよ不妊治療スタート!そんな時にわかったスタッフの妊娠

1回目の顕微授精は、なるべく仕事が忙しくない時期を選んで始めることに。それまで4ヶ月近くあったので、ピルを飲み月経を整えるようにしていました。しかし、私の体質にピルが合わず、頭痛と吐き気、めまいに襲われることが度々…。
それまで体調が悪くてもあまり休んでこなかった私は、このときも気合いで通勤し、会議に参加していました。しかし、さすがに顔色がよくなかったのか、周りのスタッフも心配してくれていたのを覚えています。

そんな時期にわかったのが、同じ店舗のスタッフの妊娠です。当時の仕事は1店舗3人で回していて、1日最低でも2人はスタッフが必要な仕事です。1人が妊娠すると3人のところ2人で回さないといけなくなり、自分もピルで体調不良のなか、正直少し大変かも…と思いましたが、妊娠は喜ばしいこと。もちろん、妊婦さんのサポートをすることに。不妊治療をするときは妊娠中のスタッフの体調を考え、他店舗の店長にも協力してもらうことにしました。

突然決まる通院日!スタッフの協力に感謝

そして、はじめての顕微受精の周期がスタート。最初は薬のみだったので、通院回数も少なく1週間に一度の平日休みに合わせて通っていました。しかし、私が多嚢胞性卵巣症候群だったことで卵胞の育ちが悪く、排卵誘発の薬に加え注射がプラスに。その分、通院回数が増えてしまいました。

このときは上司のマネージャーは協力してくれ、すんなりとれた有給休暇で通院できました。採卵時に2日連続で休みがもらえたことは、とてもありがたかったと思います。
しかし、移植後の結果は陰性…。最初からうまくはいかないと覚悟はしていましたが、顕微受精の治療費は高額ということもあり、やはり落ち込みました。

関連リンク⇒多嚢胞性卵巣症候群でも妊娠できる!体験談も。

治療お休み期間に周りが次々と妊娠!?

2回目の顕微授精は仕事の繁忙期を避けるために、1年後の同じ時期に行うことにしたのですが、それまでの期間が私にとってはとても辛かったです。諦めの悪い私は、自然妊娠はできないと言われていても「奇跡が起きるかもしれない!」と自己流でタイミングをとっていました。
その時期は、周りの友達や職場のスタッフが次々と妊娠。焦りもあったのだと思います。

毎月妊娠検査薬を試すも、陰性…。その後、どんどん精神面と体調面に変化が出てきました。

みんなの妊娠報告にドロドロの感情

治療をお休みしていた期間の妊娠ラッシュは、突然きました。仲のよい友だちの妊娠報告は、心から祝えたのですが、職場のスタッフや夫の知り合いの妊娠報告は、正直心から祝えませんでした。そんな自分を「最低だな」と責め、何回も泣きました。

そんな私の姿を見るのは、夫も嫌だったと思います。SNSで以前は「可愛い」と思いながら見ていた子どもの写真も、当時は見るのが辛く、SNSをやめていたことも。どんどん自分の中で、ドロドロとした感情が芽生え「どこかに消えてしましたい。誰も知らないところに行って、好きなことだけをして人生を過ごしたい…」。本気でそう考えていました。

妊娠報告を見るのがつらくなり、SNSを避けるように…

そんな状態では仕事もうまくいくわけがなく、店舗の成績は伸ばせませんでした。本当に、当時一緒に働いていたスタッフには申し訳ない感情でいっぱいです。

最悪な精神状態は仕事にも支障をきたすように

妊活する前はめったに体調を崩すことがなかった私ですが、この時期はときどき体調不良に…。扁桃腺炎になったときは熱を出し、1週間ほど仕事をお休みしました。食べられなかったことで体重も落ち、1週間後に店舗に戻ったときはお客様にも心配されるほどに…。心身ともに本当に辛かったです。

その精神状態は仕事にも影響していました。あれだけ店長になれて嬉しかったはずなのに、何も意欲がわかなくなってしまったのです。それでもなんとかよい方向へ進めようと考えてはいたのですが、年間目標への達成イメージは持てず、ミスも連続。
もうすぐ治療がスタートというときに限界がきて、「このまま仕事と治療を続けていたら自分が壊れる…」と、仕事を辞めることを決めました。

退職を決意。その後、上司の態度が…

仕事を辞める決断をし、マネージャーに伝えるために時間をもらおうと思っていると、マネージャーから「辞めるんでしょ?」のひとこと。
ミスを連発していた私に愛想が尽きていたのでしょう。あっさり受け入れてくれました。

しかし、報告してから辞めるまでマネージャーの態度はとてもひどかったです。当時の記憶は正直あまりないですが、覚えているところだけをお伝えしたいと思います。
–{上司からの忘れられない言葉…}–

両立が辛い…2度目の治療開始と上司からの辛い言葉

2回目の顕微授精の周期では、上司であるマネージャーの言葉に何度も傷つけられました。治療のことを報告するたびにいろいろ言われることに…。

1ヶ月休みは治療に充てる日々

2回目の顕微授精の周期では、1回目の顕微授精のときに卵胞の育ちが悪かったため、注射がプラスになりました。このことにより、今まで週に1回で済んでいた通院が週2回に。平日は1回しか休みがなかったので、半休を使い週2回通っていました。おかげで、1ヶ月間平日は丸1日休んだ記憶がありません。

最初は協力してくれると言っていたマネージャーも新店の立ち上げで忙しく、さらにスタッフが辞め、他の店舗も人員不足の状態。
一緒に働いていたスタッフだけで、休みを交代してなんとか回していました。このとき、急な休みも交代してくれたスタッフには本当に本当に感謝しています。

今でも忘れられない、マネージャーからの言葉

順調に通院し、採卵日が決定。指定された採卵日は私が避けたかった繁忙期でした。
しかし、1年待った待望の採卵日なのでこの日を延ばすわけにはいきません。休みたいことをマネージャーに報告することに。
すると、マネージャーは驚きの発言をしてきたのです。私は、このときのマネージャーの言葉を今でも忘れられません。

当初は、協力すると言ってくれていたマネージャーにこう言われたのです。

「仕事の結果が出ていないのに、休むの?社長もそう言ってるよ。」

私自身、店長として結果を出せていないのは自分のせいで、ミスばかりして周りに迷惑をかけている自覚はありました。ですが、1日だけ休みをもらうことで、ここまでハッキリ言われるのはきつかったです。しかも、今まで信頼していた社長やマネージャーに…。

このマネージャーからの言葉により、今まで好きだった会社のことが私の中では
「結果が出ないと妊娠してはいけない会社」
「妊娠しないとすんなり辞められない会社」
と見えるようになりました。

採卵日はここまで頑張ってきてお金もかかっていたため、他の日にズラすわけにもいかずそのまま休むことに。
そのあとは正直、仕事の結果はどうでもよくなり、協力してくれたスタッフやお客様のためだけに仕事をこなすことにしました。

退職まで残り1ヶ月!マネージャーの冷たい対応

無事2回目の採卵は終わりましたが、退職まで残り1ヶ月のマネージャーの対応には嫌な記憶しかありません。

私が必要ないかのようなマネージャーの態度

マネージャーの私への態度には一緒に働いていたスタッフも気付いていたようで、マネージャーが何を言っていたのか筒抜けでした。陰で私がちゃんとやっているのかやる気はあるのか、スタッフにヒアリングしていたのです。

そんな状況を改善しようとマネージャーに電話をしても、他のスタッフに代われと言われ話しは一切聞いてもらえない状況…。
私としては、今まで助けてもらったスタッフには迷惑をかけたくなかったので、最後までしっかりと仕事をやりきろうと考えていました。
しかし、マネージャーの「私はもう必要ない」といった態度にストレスが溜まっていくばかり。

そんな状態が続いたことで、不正出血が。大丈夫だろうと思って放置していたのですが、仕事を辞めるまで1ヶ月も続いてしまったのです。離職したのと同時に止まったので、あきらかにストレスのせいだったと思っています。

さらに追い打ちをかけるように、衝撃的だった社長の言葉

ここまで、妊活開始からの経緯や、マネージャーの冷たい態度などで辛かったことを書いてきましたが、当時働いていた職場が何もかも嫌だったわけではありません。社会に出た私をはじめて正社員で雇ってくれ、社会人としてのマナーを一から教えてくれた場所でもあります。相手の気持ちを考えて行動することや仕事での考え方、言葉遣いなど本当にいろいろ教えてもらいました。

また社員旅行も楽しく、同世代のスタッフも多かったので、楽しく仕事もでき、社長のこともマネージャーのことも本当に好きでした。そのため、最後はしっかり感謝を伝えて終わろうと、挨拶に行くことに。しかし、そこでの社長の言葉が衝撃的でした。

「お前は、店舗を捨てたんだな」

この言葉にどんな顔をして対応したのかは覚えていないのですが、大きなショックを受けたのは確かです。もちろん会社を捨てたつもりはありません。しかし、とても信頼していた人から言われるのは傷つきますよね。それに、今までの仕事や不妊治療のことを全否定された気がしました。

退職するスタッフは毎回、最後の会議で挨拶をしていたのですが、当時辞める人が多く私のときから挨拶も無くなったため、一人一人個別に挨拶をして帰宅。新卒から働いていた約5年間は、あっけなく終わりました。

不妊治療は悪いこと?仕事と不妊治療の両立を経験した私の気づき

私が仕事と不妊治療の両立を経験したことで、一番疑問に思ったことは「不妊治療をするのは悪いこと?」ということです。

不妊治療は、自然妊娠ができる人と比べると、時間やお金がかかります。でも「子どもが欲しい」という気持ちは同じだと思います。不妊治療をすることで、なんでここまで言われ、傷つかないといけないのでしょう。当時の私は本当に悩みました。

周りのスタッフが妊娠して産休に入ったり退職したりしていくのを、見れば見るほど悩みました。
社長が言うように、仕事で結果を出すのは大切です。しかし、自分の人生の中で子どもが欲しいと思うのは自然な考えではないのかなと。もう少し、お互いの考えを理解し、歩み寄れたらとよかったと今では思います。

そして、同じ女性のスタッフに状況や体調を理解してもらえなかったこともきつかったです。
当時の職場は、現場で働いている人は全員女性でした。前述の上司であるマネージャーも女性でした。私の職場では、結婚が決まるとみんな退職するのがスタンダードでした。
そんななかで、結婚しても仕事を続けた第1号が私で、不妊治療をしていたのも私がはじめて。対応がわからない気持ちもわかりますが、退職すると決めてからのマネージャーの態度にはとても悩みました。

仕事と不妊治療を同時にやってみたからこその後悔ポイント

しかし、今冷静に考えると、私にも悪い部分はたくさんあったと思います。仕事でミスばかりして結果を出せなかったことや、はっきりと不妊治療について伝えられていなかったことなど、マネージャーを戸惑わせていたと思います。
私も顕微授精がどんな治療なのか、どんなスケジュールで進んでいくのかを、もっとはっきりと伝えるべきだったと後悔しています。
また、考えられるリスクや、どんなふうに協力して欲しいのかなど、具体的に伝えることで、もっとよい方向に進めたのではないかと思っています。

まとめ

不妊治療はスケジュールやお金、精神面や体調面、さまざまなことで思いどおりにすすまないことがあります。
だからこそ事前に調べて、仕事と両立をするためにどのようにしたらよいのか考え、職場の人にも協力してもらえるようにアクションするべきだと思います。しっかりと伝えることの大切さをわたしは痛感しました。

私は、思い切って仕事を辞めたことで、ストレスなく不妊治療に集中でき、無事子どもを授かることができました。この先、不妊治療を考えてはいませんが、このときの経験を活かし、周りで不妊治療をしている人がいたときに、支えてあげられる存在になりたいと思っています。

※この記事で紹介した内容はすべて個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。

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