mensメンズヘルス

    【男性の検査と治療】もしかして精子がないかも…不妊の半数は男性側に原因が!?

    【男性の検査と治療】もしかして精子がないかも…不妊の半数は男性側に原因が!?

    授かりづらい原因は女性の問題と捉えられがちですが、WHO(世界保健機関)からは、男性側に原因がある場合は約半分という結果が報告されています。男性が検査を受けることは、珍しいことでも恥ずかしいことでもありません。

    男性の検査はほぼ1日で終了!とても簡単です

    女性は時間をかけて様々な検査をしますが、男性の検査は1日でほぼ終了。下に紹介しているような流れで、精巣や精子の検査を行ないます。男性の検査を受けられる婦人科もありますし、不妊治療専門クリニックでも検査ができます。

    結果次第では数回検査を行なうこともありますが、女性に比べれば検査や通院回数は少なくて済みます。実際に検査を受けてみると「女性の大変さが分かった」という男性の声が多数。男性ができる妊活における最大の協力は、夫婦で受診をして検査を受けること。検査を受けることで、妊活に対する夫婦の温度差も縮まります。

    「精子があるかないか」が診断&治療の判断材料

    男性の検査で重要視されるのは「精液の中に精子があるかないか」ということ。自然妊娠するには1ml中4000万個以上の精子があることが望ましいとされています。検査をして「精子がない=無精子症」と分かれば、泌尿器科を受診します。

    無精子症には、精子の通り道がふさがっている「閉塞症」と、ふさがっていない「非閉塞症」とがあり、閉塞症は手術によって精子を採取でき、非閉塞症でも原因によって約半数は手術で精子を採取することができます。

    無精子症でない場合の原因は、乏精子症や精子無力症などが考えられます。このような場合には、人工授精や体外受精を行ないます。

    無精子症ではない

    精索静脈瘤

    精巣からの静脈の血流が滞り、コブのように膨らむこと。血液が溜まると精巣の温度が上昇するので、精子を作る働きが衰えてしまいます。

    【治療法】
    漢方薬やビタミンEを服用しながら人工授精を行ない、それでも妊娠しなければ体外受精や顕微授精へ。手術を行なうこともあります。

    乏精子症

    精液中の精子の数が少なく、1mlあたり1500万個という基準値を下回る状態。乏精子症、精子運動率の低下の35%は精索静脈瘤が原因と言われています。

    【治療法】
    人工授精をします。総運動精子数が500万個未満なら顕微授精を行ないます。精索静脈瘤があるときは手術をするかどうかを見極めます。

    精子無力症

    精液中の運動をしている精子の割合が低く、40%の基準値を下回る状態。なかでも精子の運動率が0%の場合は「精子不動症」と言い、精子が死んでいて動いていないことを「精子死滅症」と言います。

    【治療法】
    人工授精、運動率が30%未満なら顕微授精を行ないます。精子死滅症の場合でも、数回射精してわずかに生きている精子が見つかる場合もあり、見つからない場合でも精巣を切って精子を取り出す方法があります。

    精子奇形症

    精液中、形に異常がある精子の割合が高い状態。精子の頭部、または尾部の奇形があり、腰部に奇形がある場合には不妊の原因となります。

    【治療法】
    正常な精子を選定して顕微授精を行ないます。

    膿精液症

    精液中に白血球が多く、精液1ml中に白血球が100万個以上に増える症状。精子の運動率が低下し、受精が難しくなります。

    【治療法】
    抗生物質を内服します。

    無精子症である

    精液中に精子がひとつも見当たらない場合。男性100人に1人の割合で存在します。

    閉塞性無精子症

    精子の通り道である精管に異常があるため、精液中に精子はいないけれど、精子が存在する確率は90~100%。

    【治療法】
    精路再建手術で精子の通り道を作ることができます。その後、女性側に問題がなければ自然妊娠も可能です。

    非閉塞性無精子症

    精管は正常だけれど、造精機能に異常があり、精子が存在する確率は40~50%。

    【治療法】
    精巣を開けて手術用顕微鏡で精子を探し(精巣精子回収)、顕微授精を行ないます。

    男性の検査&治療。まだまだ気になるソボクな疑問にお答え

    精液検査は1回だけで診断せず、2~3回調べるのが一般的

    精子の数や状態は毎回一定ではなく、そのときの心理的、身体的状況によって変化します。1回の検査だけで診断せず、日を変えてタイミングを見ながら2~3回検査するのが一般的です。

    検査では新しい精子が必要なので射精は週イチ程度が理想

    精子は精巣で毎日作れら、精巣上体や精管に貯められていきます。長い間射精されない状態が続くと、古くなった精子の頭の部分が取れるなどして奇形精子が増えたり、運動率が低下します。検査のときは比較的新しい精子が取れるよう、1週間に一度くらいの割合いで射精するのがいいでしょう。

    泌尿器科を受診すると、勃起障害や射精障害なども分かります

    婦人科や不妊治療専門クリニックで無精子症だと判明したら、泌尿器科を受診します。その他、セックスのときに勃起や射精ができない「性機能障害」の場合に受診する科も、泌尿器科が専門です。

    ストレスなどによる勃起障害の場合は、薬を服用することで改善します。効果がない場合はホルモン検査などを行ない、詳しい検査をします。射精障害は、膣内で射精できるようにする訓練法のレクチャーのほか、投薬で治療を進めます。

    男性不妊の治療には漢方薬やビタミン剤を使用

    精液検査の結果は悪くない場合には、直接的に治療する薬はなく、体を健康にするために漢方薬やビタミン剤などが処方されます。漢方薬では、胃腸の働きを良くして体質を改善する「補中益気湯」や、生殖機能を高めると言われている「八味地黄丸」などがあります。

    ビタミン剤では、末梢神経の血行をよくしてホルモンの分泌機能を調整するビタミンEやカルニチン、亜鉛などが処方されます。

    男性の不妊原因は様々ですが、以前なら無精子症と診断されて子供を諦めていたケースも、医療技術の進歩で治療の選択肢が広がりました。難しく辛い治療もありますが、諦めずに可能性を見出しましょう。

    Advice

    陣内ウィメンズクリニック院長
    陣内彦良先生
    千葉大学医学部卒業。ニューヨーク・アルバートアインシュタイン医科大学不妊内分泌研究員。東邦大学医療センター大森病院勤務の後、2003年自由が丘に「陣内ウィメンズクリニック」を開院。日本産科婦人科学会・日本生殖医療心理カウンセリング学会・日本女性医学学会・日本生殖医学会等所属。

    陣内ウィメンズクリニック
    https://jinnai-womens.com/

    ★陣内先生が総監修した『妊活 治療と生活アドバイス』大好評発売中です!
    https://www.amazon.co.jp/dp/4074281309/akahoshi0c-22/ref=nosim