妊活

    【独自取材】不妊治療を断念しても特別養子縁組という選択肢もあります/映画『朝が来る』

    公開日:2020.10.20 / 最終更新日:2020.10.19

    【独自取材】不妊治療を断念しても特別養子縁組という選択肢もあります/映画『朝が来る』

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    あかほし読者の間でも、特別養子縁組について関心が高まってきています。

    そこで、あかほし読者さんにご紹介したいのが特別養子縁組を題材にした映画『朝が来る』です。

    カンヌ国際映画祭の「CANNES 2020」レーベルにも選ばれたこの作品、原作は直木賞作家、辻村深月さんによるヒューマンミステリー。監督は日本が世界に誇る名匠・河瀨直美さん、そして主演は永作博美さん。この秋、注目の話題作です。

    妊活メディア「あかほし」ならではの目線で、今回は映画の中でモデルにもなった特別養子縁組のあっせん団体「Babyぽけっと」代表・岡田卓子さんにおはなしを伺いました。

    映画『朝が来る』ストーリー

    夫の無精子症が判明し、不妊治療を試みるも、一度は子どもを持つことをあきらめた栗原清和と佐都子の夫婦。ふたりは「特別養子縁組」という制度を知り、男の子を迎え入れる。それから6年、夫婦は朝斗と名づけた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。

    ©2020「朝が来る」Film Partners
    ©2020「朝が来る」Film Partners

    ところが突然、朝斗の産みの母親“片倉ひかり”を名のる女性から、「子どもを返してほしいんです。それがだめならお金をください」という電話がかかってくる。

    当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。渦巻く疑問のなか、訪ねて来た若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。

    いったい、彼女は何者なのか、何が目的なのか──?

    永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子ら実力派俳優が、人間の真実に踏み込む演技で観るものを圧倒する。血のつながりか、魂のつながりか。現代の日本社会がかかえる問題を深く掘り下げ、それでも最後に希望の光を届ける感動のヒューマンドラマが誕生しました。

    小さな命がつなぐ「特別養子縁組」という選択。手に入れたのは、愛ですか? 手放したのは、愛ですか?

    無精子症と診断された栗原清和(井浦新)と妻の佐都子(永作博美)は顕微授精を数回行うも、治療を断念。悩んだ末に特別養子縁組を決意し、はじめてわが子と対面する。©2020『朝が来る』Film Partners

    「ラストシーンを観て、私のやってきたことはまちがってなかったんだなぁと涙が出ました」

    NPO法人Babyぽけっと代表 岡田卓子さんインタビュー

    特別養子縁組で、実親と養親のキューピッド的役割を果たすのが、児童相談所や民間のあっせん団体。この映画は撮影前から河瀨監督や浅田美代子さんがあっせん団体「Babyぽけっと」の研修会や母子シェルターに何度も足を運び、産みの親と養親双方の取材を重ねて完成しました。

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    ©2020『朝が来る』Film Partners

    劇中の研修会のシーンにもBabyぽけっとの養親家族が出演し、リアルな言葉で語っています。

    代表の岡田さんに制作秘話や特別養子縁組の現状を伺いました。

    浅田美代子さんが私の役!?

    この映画の話をお受けするとき、産みの親へのバッシングが高まるような話にだけはしないでくださいとお願いしました。

    子どもを捨てたなどという偏見もありますが、シェルターに駆け込む産みの親を見ていると、どんな事情があったにせよ、悩みながらも出産した彼女たちに「よく頑張ったね」と、心身ともに慰労する人間がいないといけないと感じます。

    特別養子縁組を扱った作品には、養親側に焦点が当たったものが多いのですが、この映画は撮影の随分前から河瀨監督自ら実際の産みの親にも取材して、彼女たちの気持ちに寄り添い、ていねいに作ってくださいました。

    女優の浅田美代子さんが私の役を演じると最初に聞いたときは驚きました。私は実親や養親、子どもたちを守りたくて、かなり強い口調でものを言うことも多いので、浅田さんのふんわりした雰囲気や話し方が私とは全然違うなと。でも浅田さんが役作りをされるなかで、台本を読みながら、「こういうとき岡田さんはどう考えるんだろう?」と悩んで、それを私に聞くためだけに会いに来られるなど、真剣に役に向き合って、とてもすてきに演じてくださいました。

    ©2020『朝が来る』Film Partners

    映画の第一印象は、Babyぽけっとにかなり近い形で描かれているということ。

    私は涙もろいので、前半から感動してずっと泣いていました。印象に残ったのは、夫の清和が同僚と居酒屋で酔っ払いながら、自分のせいで妻を母にすることができず、男として情けないと涙交じりで語るシーン。私もよく養親希望者の面接をしますが、男性不妊が原因の夫婦はとても多いです。面接の時点ではみなさんショックから立ち直って、特別養子縁組の決意をしてこられているので、泣く男性はほとんどいませんが、今までに会った男性不妊の養親の顔が浮かんできてこういう状況を乗り越えてここまで来られたんだなぁと、しみじみ思いました。

    ラストシーンも感動的でした。ネタバレになるので詳細は控えますが、実親のひかりの思いが報われた瞬間、またもや号泣。私のやってきたことはまちがってなかったんだと思えました。原作やTVドラマと違い、河瀨監督にしかできない作品に仕上がっています。

    治療は断念しても、あきらめずに「わが子」を抱いてみませんか?

    特別養子縁組の説明会のシーンでは、Babyぽけっとの養親家族もたくさん出演しました。エキストラを募集したら、みなさん出たいと言ってくれて、東京の撮影現場に関西から駆けつけたご夫婦もいました。映画のなかでもみんなリアルに泣いているので聞いてみると、わが子を迎えた当時のことがよみがえると。お芝居だとわかってはいても、浅田さんの言葉にみんな感動したみたいです。彼らが登場することで、特別養子縁組の家族が幸せに暮らしていることも知ってもらえて、とてもよかったと思います。

    日本の養子縁組制度は海外とくらべると遅れていて、さまざまな事情で実親と暮らせない子どもの多くは養護施設で育ちます。でもやっぱり子どもにとっては、血はつながっていなくても養親のもとで愛情いっぱいに育てられたほうが幸せです。

    不妊治療を断念したご夫婦でも、養子縁組を考える人はまだまだ少ない。夫婦ふたりで生きていくことも、ペットに愛情を注ぐこともすてきですが、もしよかったらあきらめずに、わが子を抱いてみませんか? こういう方法もあるということを頭の片隅にでも入れておいていただければ幸いです。

    映画『朝が来る』

    2020年10月23日(金)全国公開
    監督・脚本・撮影: 河瀨直美
    永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子
    原作:辻村深月『朝が来る』(文春文庫)
    ©2020『朝が来る』Film Partners
    http://asagakuru-movie.jp/

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