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    黄体ホルモンが少ない?『黄体機能不全』をどこよりも詳しく解説【不妊治療専門医監修】

    公開日:2019.02.26 / 最終更新日:2019.08.01

    黄体ホルモンが少ない?『黄体機能不全』をどこよりも詳しく解説【不妊治療専門医監修】

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    黄体機能不全は黄体ホルモンの分泌が不十分で、受精卵の着床を妨げてしまうトラブルです。「黄体機能不全」と診断されたり、思いあたる症状があるとき、どう対処したらいいのかを見ていきましょう。

    黄体機能不全とは?

    排卵すると卵巣から出る黄体ホルモンによって子宮内膜が厚くなり、着床の準備を整えます。この黄体ホルモンの分泌が何らかの原因で減ってしまう状態が「黄体機能不全」です。

    放置すると不妊症や反復流産、習慣性流産になりやすくなります。不妊に悩む人の10~50%、反復性流産の方の25~60%が黄体機能不全だとも言われています。

    黄体機能不全だと、不妊治療のタイミング法や人工授精はもちろん、体外受精(顕微授精)の胚移植の際にも着床・妊娠継続が困難になるため、特に妊娠を希望する場合には治療が必要です。

    黄体機能不全になる原因は?

    黄体機能不全になる原因ははっきりとはわかっていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

    ホルモンの異常

    卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、性腺刺激ホルモン(GnRH)の分泌が不十分だったり、高プロラクチン血症や甲状腺機能異常症でも起こる可能性があります。

    高プロラクチン血症とは:娠中から授乳期にかけて分泌量が増え、出産後の母乳の分泌を促す「プロラクチン」というホルモンの値が異常に高くなる病気です。本来はプロラクチンが働くことで授乳中に月経を止めて妊娠を防ぎますが、妊娠前に分泌され過ぎると月経不順、無月経、不妊を招きます。

    甲状腺機能異常症とは:甲状腺は喉仏の両側にあり、脳の下垂体から司令を受けて新陳代謝を活発にする「甲状腺ホルモン」を分泌しています。その分泌に異常が起こったり(バセドウ病や橋本病など)、炎症が起こるのが「甲状腺機能異常症」です。

    卵巣・子宮の問題

    卵巣の機能に問題があって卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)が正常に反応しない場合や、子宮にある黄体ホルモンを受け取る受容体に異常がある場合も黄体機能不全の原因として考えられます。子宮内膜症がある人も黄体からのホルモン刺激を子宮がきちんと受け取れず、黄体機能不全を起こす可能性があります。

    他に考えられる原因

    直接の原因ではありませんが、血流の悪化やそれにともなう冷え、乱れた食生活による栄養不足、ストレス、肥満、やせすぎ、喫煙、飲酒などもマイナス要因として働きます。

    ⇒⇒⇒関連リンク:食事や生活習慣を見直すと治療効果もUP!ドクターが教える「体質改善と治療の関係」

    黄体機能不全はどんな症状が現れる?

    黄体機能不全は自覚症状がほとんどありません。基礎体温をつけて気づく場合や、不妊治療の検査でわかることが多く、下記のような症状が特徴です。

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    高温期が短くなる

    黄体機能不全だと、高温期が10日以下と短くなります。

    【正常な基礎体温グラフ】

    正常に排卵している女性の場合、基礎体温は低温期と高温期の二相になり、それが一定のサイクルで繰り返されます。月経が始まると約2週間体温が下がって低温期になり、排卵すると体温は上昇して、次の月経までの約2週間(14日)高温期が続きます。

    【黄体機能不全が疑われる基礎体温グラフ】

    黄体機能不全の場合、排卵はしていることが多いので体温は上昇しますが、本来14日続く高温期が10日以内で終わってしまうことが多いです。

    こんなグラフにも注意

    高温期の途中で体温が低下する:黄体機能が弱く、高温を維持できていない可能性があります。

    高温期への移行に時間がかかる:通常、1日で低温期から高温期に移行しますが、黄体機能が弱いために、一気に高温期に移行できていない可能性があります。

    高温期が低い:通常、低温期と高温期の差は0.3度以上が望ましいですが、黄体機能が弱く、高温期の体温が上がっていない可能性があります。

    ⇒⇒⇒関連リンク:もしかして着床しづらい体質かも!基礎体温グラフでわかる不妊の原因

    月経異常

    黄体機能不全になると、月経血の量が減ったり、月経日数が短くなることも。排卵後から月経までの高温期に、不正出血が起こることもあります。

    着床障害

    黄体機能不全は、子宮内膜を厚くする黄体ホルモンが足りない状態です。子宮内膜が厚くならないと受精卵が着床しにくくなり、たとえ着床したとしても、妊娠継続が難しくなります。

    黄体機能不全の診療科は?

    初診は【婦人科】、または【産婦人科】が適しています。

    妊娠を希望する場合は、不妊治療専門病院・クリニックを受診すると、その後の治療がスムーズです。

    黄体機能不全の検査と診断方法

    下記の3つの診断方法で、1つでも該当すれば黄体機能不全を疑います。

    基礎体温をみる

    高温期は通常12~16日間で、平均は14日間ですが、高温期が10日以下の場合は黄体機能不全の疑いがあります。

    血液中の黄体ホルモン値で調べる

    排卵後5~7日目に採血をして黄体ホルモン値を調べ、血中のプロゲステロン値が10ng/ml未満の場合は黄体機能不全を疑います。

    正常な黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量

    生理中:1ng/ml以下
    低温期:1ng/ml以下
    排卵期:1ng/ml以下
    高温期:10〜30ng/ml⇒黄体機能不全の場合は10ng/ml未満

    治療が必要なケースは?

    妊娠を希望していて黄体機能不全と診断された場合は、黄体ホルモンの分泌を正常にする治療を受けましょう。

    妊娠を希望していない場合は必ずしも治療をする必要はありませんが、高温期(排卵後から月経までの黄体期間。受精が起こらなければ約14日間続く)に不正出血があった場合は、診察・治療を受けましょう。

    黄体機能不全の治療方法は?

    黄体機能不全の原因はまだよくわかっていないため、黄体機能を予備的に高め、黄体ホルモンの分泌を正常にする治療を行います。病院によって治療方針が異なるので、どんな治療を行うかはかかりつけ医とよく相談してください。

    ①黄体ホルモンの補充

    黄体機能不全の多くのケースで、まずは試される治療法です。注射や内服、膣座薬、膣内クリーム、貼付剤で予備的に黄体ホルモンを補充します。

    ②黄体賦活(刺激)法
    ※賦活(ふかつ):活力を与えること。活性化させること。(三省堂「大辞林 第三版」より)

    卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があるHCGを注射して、黄体ホルモンの分泌を促進させます。

    ③卵胞刺激法

    卵胞の発育不全で黄体機能不全となる場合があるため、卵巣での卵胞発育を促す目的で、卵胞刺激ホルモン(FSH)を注射します。

    ④排卵誘発剤で排卵を促す

    排卵誘発剤として知られているクロミッドは卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促します。

    卵胞ホルモンが少ないと、黄体ホルモンの量も減ってしまうため、クロミッドを使って間接的に黄体ホルモンの分泌を促します。

    ただし長期の使用で子宮内膜を薄くしてしまう副作用があるため、注意しながら使う必要があります。

    ⇒⇒⇒関連リンク:妊娠をグイッと後押しする「排卵誘発剤」の効果的な使い方

    ⑤漢方療法

    漢方では「黄体機能不全」は腎陽虚(じんようきょ)と言い、生殖や成長に関係する「腎」の力が弱いために起こると考えられています。そもそもの月経周期を整える漢方や、「腎」を回復させる漢方で調整していきます。「3大婦人薬」と言われる「当帰芍薬散」「温経湯」「桂枝茯苓丸」も多く使われます。

    高プロラクチン血症の場合

    プロラクチンの分泌を抑える薬を使って治療し、黄体ホルモンを正常に分泌させます。

    甲状腺機能低下症の場合

    TSHという甲状腺刺激ホルモンで甲状腺の値を正常にする治療をして正常にし、黄体機能不全を改善させます。

    タイミング法・人工授精の場合

    黄体ホルモンを補充して治療を進めます。ただし、自然周期を採用するクリニックでは黄体ホルモンの補充を行わないこともあります。

    ⇒⇒⇒関連リンク:できれば自然に妊娠したい!【自己流のタイミング法】

    体外受精・顕微授精の場合

    原則的に黄体ホルモンの補充をして治療を進めます。

    ⇒⇒⇒関連リンク:年間5万人以上の赤ちゃんが生殖補助医療〈ART〉で誕生!【体外受精・顕微授精】

    黄体機能不全の改善のために自分でできること

     

    黄体機能不全であることがわかったら、改善に向けて日常生活でできる工夫もあります。

    いい排卵を目指す

    黄体機能不全を改善するためには排卵後の黄体の働きが大切です。そのためにはまず「いい排卵」をすることが欠かせません。

    「いい排卵」とは規則正しく、遅れないこと。血流をよくする(体を冷やさない)、バランスのとれた食事をする、しっかり睡眠をとるなど、健康にいいとされる生活を心がけましょう。

    タバコやお酒との付き合い方も、いま一度見直してみましょう。

    ストレスを減らす

    女性ホルモンが一番影響を受けるのがストレス。現代の生活でストレスを感じないことは難しいので、適度な運動をして、十分な睡眠をとり、ストレスに打ち勝つ健康な心身を保ちましょう。

    毎日同じ時間に就寝するだけで、基礎体温が安定しやすくなります。

    ⇒⇒⇒関連リンク:STOP不妊様! 妊活ストレスでドス黒い感情に襲われたときの脱出法

    ビタミンEをとる

    排卵障害(妊娠機能障害)の治療にも使われ、「子宝のビタミン」とも言われるビタミンEは、黄体ホルモンの材料になり、さらに卵巣に働きかけてホルモンの分泌をコントロールする作用があります。

    ビタミンEは植物油、種実類、魚介類に多く含まれます。食事だけで十分に摂取できないときはサプリメントで補いましょう。

    ビタミンEが多く含まれる食品

    ※食品100g当たりの含有量。成人女性の摂取目安は6.0mg/日です。

    アーモンド(29.4mg)
    あんこうのきも(13.8mg)
    松の実(12.3mg)
    いくら(9.1mg)
    焼き鮎(8.2mg)
    焼きたらこ(8.1mg)
    モロヘイヤ(6.5mg)
    オリーブ(5.5mg)
    うなぎのかば焼き(4.9mg)
    かぼちゃ(4.7mg)
    焼きのり(4.6mg)
    卵黄(3.4mg)

    _________

    はっきりした原因がわからない「黄体機能不全」ですが、黄体ホルモンをしっかり出すための治療法で改善することができます。まずはしっかり検査、診断をしてもらい、適切な治療を行ってください。

    監修

    明大前アートクリニック
    北村誠司先生

    1987年慶應義塾大学医学部卒業。荻窪病院虹クリニック院長をへて、明大前アートクリニックを開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。1989年より、子宮鏡下手術による胚移植の改善や腹腔鏡下手術による子宮筋腫、子宮内膜症の解消・改善を積極的にはかる。妊娠困難症例に対して新しい治療法で対応。クリニックでは男性不妊の治療も行う。

    ⇒⇒⇒関連リンク:明大前アートクリニックレポート
    https://www.meidaimae-art-clinic.jp/

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