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    妊活には男性にもタイムリミット! 不妊治療を早めにふたりで始めるべき理由とは? 【産婦人科医監修】

    公開日:2019.07.02 / 最終更新日:2019.07.29

    妊活には男性にもタイムリミット! 不妊治療を早めにふたりで始めるべき理由とは? 【産婦人科医監修】

    先日、ある女性タレントが離婚を発表し、歳下の夫が挙げた「自分の子供が欲しくなったから」という理由に注目が集まりました。
    世間ではまだまだ「妊活や不妊治療は女性主導で行うもの」、「主な原因は女性の加齢(卵子の老化)」というイメージが強いですが、
    実は男性にもタイムリミットがあります!
    年とともに精子の数や濃度、運動率などが低下し、妊娠しにくくなるのです。
    専門家の宋美玄先生に、女性だけではない「ふたりの妊活」についてお話を伺いました。

    医学博士・産婦人科医 宋美玄(ソン ミヒョン)先生
    2001年 大阪大学医学部卒業。産婦人科医として勤務する傍ら、メディアを通してセックスや女性の性、妊娠などについて、女性の立場から啓蒙活動を行っている。『産科女医からの大切なお願い 妊娠・出産の心得11ヵ条』(無双社)、『産科女医が35歳で出産してみた』(ブックマン社)ほか、著書多数。宋美玄 公式サイトhttp://www.puerta-ds.com/son/

    夫31歳・妻29歳 平均初婚年齢は男女ともにアップ! 

    平成30年、共働き世帯が1200万世帯を超えた!

    昭和の時代、女性は20代半ばまでに結婚して家庭に入り、子供を産むというのが一般的でしたが、平成10年には共働き世帯が専業主婦世帯を追い越し、今や共働き世帯は1200万世帯以上! 専業主婦世帯を倍以上も引き離しています。

    女性の就業率も7割を超え、結婚・出産などのライフステージにかかわらず、女性も働き続けることがスタンダードとなってきました。

    女性の社会進出はすばらしいことですが、生殖の面には影響が出ているようです。晩産・晩婚化が進み、望んでもなかなかコウノトリがやってこないカップルも増え、数年前には「妊活」という新しい言葉も生まれました。

    この30年弱で平均初婚年齢は男女ともに大きく上がりました。

    平成元年に比べると、28年の平均初婚年齢は男性が+2.6歳の31歳、女性が+3.6歳の29歳となっています。
    女性の平均初産年齢は約31歳です。

    持ちたい子供の数は昔とそれほど変わらないのに、子供を作り始める年齢が男女ともに上がったことで、希望の数の子供を授からないカップルも増えています。

    仕事のキャリアを積んだり、経済的に余裕がない若い頃に、生殖に適した年齢が重なってしまうというのが、現代の妊活世代が抱える問題といえるでしょう。

    女性の加齢による一番の不妊原因は、卵子の質

    加齢とともに卵子の「数」が低下

    年齢を重ねるとともに女性の体内で卵子の数は減っていきます。

    母親のおなかの中にいたときには、最大で約700万個もあった卵子が、出生時には約200万個にまで減少。さらに思春期には約20~30万個となり、毎月1000個近くの卵子が失われていき、閉経時にはほぼゼロになっていまいます。

    卵子の数が減れば、当然、妊娠の確率も下がります。

    卵子の「質」も! 加齢とともに低下する

    卵子の「数」もさることながら、その「質」も不妊の大きな要因です。

    一般社団法人日本生殖医学会 提供(ドナー)卵子と自身の卵子を用いた生殖補助医療による治療実績

    上の表の青い線は自分の卵子を使って体外受精や顕微授精をした際の、1回の胚移植で妊娠・出産にいたる確率です。30代後半からどんどん低下しているのが分かります。

    一方の赤い線は若いドナーから卵子の提供を受けた場合の数値。こちらは提供を受けた側の女性が40代後半になっても、妊娠・出産にいたる率は20代とほとんど変わっていません。

    つまり、女性の体や子宮が年齢を重ねても、卵子さえ若ければ、妊娠が可能ということになります。
    臨床現場では、卵子提供によって50代の女性が妊娠・出産された例も数多くあります。

    卵子の数というよりも、
    卵子の年齢が非常に重要
    だということがわかります。

    不妊の原因の半数は男性にも!

    男性が原因に関わる不妊は全体の48%

    女性の加齢により、卵子の数や質が低下することはわかりましたが、一方の男性の側はどうなのでしょうか。

    近年、初婚年齢が上がったこともあり、実は男性が原因の不妊も非常に増えているのです。

    じつは男性のみが原因の不妊は24%、男女ともに原因がある場合を合わせると、実に半数近い不妊の原因が男性にも関係しているのです。

    加齢とともに、精子の状態も悪くなる!

    一般的な男性の検査項目
    ・精液量
    ・精子濃度
    ・総精子数
    ・前進運動率
    ・総運動率
    ・正常精子形態率
    ・白血球数

    男性のなかには、不妊治療のクリニックに出向いて検査をすることに抵抗がある方も少なくないようです。

    しかし、生理周期ごとに行うため時間がかかる女性の検査に比べて、男性の検査は1回で終了することがほとんど。自身で精液を採取し、医師が自動分析装置を使って、精液の量や濃度、精子の数や運動率などを調べます。

    ここで一番問題になるのがまず、精液の中に精子があるかないかということ。次に重要なのが精子の運動率。WHO(世界保健機関)では、動いている精子が40%以上、前進運動率32%以上を正常値と定めていますが、年齢とともにこの数値も下がってくることが多いのです。

    年代別に精液の数値はどう変わる?

    女性に比べて、男性はいくつになっても子供を持つことが可能な印象がありますが、実際に精液の状態は年齢によってどう変化するのでしょうか。

    例えば精液の量は40歳未満の平均値が約3.7㎖ですが、50歳以上になると、約2.1㎖。30代に比べて3~22%低下しています。

    また、妊娠に大きくかかわる精子の運動率も、50歳以上の平均値は30代に比べて3~37%も低下しています。

    男性も加齢によって、精子の状態が悪くなり、妊娠しにくくなることがわかります。

    女性はもちろん、
    男性にも「生殖適齢期」があるのです。
    つまり、男女ともにタイムリミットがあり、
    それまでのリードタイムも短くなってきています。

    女性だけの妊活から、「ふたり」の妊活へ

    これまで妊活といえば、女性が毎日基礎体温を測って、排卵日を予測し、子宝に恵まれやすい食材をとるなど、女性主導で行われるイメージでした。

    しかし、不妊の原因の約半数は男性にもあり、年齢とともに精子の質も低下することが判明した今、男性もただサポートするだけでなく、自ら積極的に不妊治療に参加することが望まれます。

    最近はスマホで精子のセルフチェックができる「Seem」(製造販売元:株式会社リクルート)といった、男性でも自宅で手軽にできる妊活ツールも開発されています。

    女性だけに任せるのではなく、男性もスタート時からぜひ自分ごととしてとらえたいですね。

    子供を望むカップルはぜひ
    「ふたり」で妊活をしましょう。
    それが妊娠への一番の近道なのです!

    取材協力/株式会社リクルートライフスタイル

    取材・文/岩村優子

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