体験談

    特別養子縁組を選んだ瀬奈じゅんさん&千田真司さんと妊活セキララ座談会/不妊治療のやめどきって?

    公開日:2021.04.03 / 最終更新日:2021.04.07

    特別養子縁組を選んだ瀬奈じゅんさん&千田真司さんと妊活セキララ座談会/不妊治療のやめどきって?

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    2年間の不妊治療(7回の体外受精)の末、3年前に特別養子縁組で男の子を迎えた、元宝塚歌劇団月組のトップスターで女優の瀬奈じゅんさん、千田真司さんご夫妻。

    あかほしのメルマガ会員さんに参加希望者を募り、厳正な選考のうえ、2名のかたとのオンライン座談会が実現しました。
    不妊治療のこと、特別養子縁組のこと、読者代表からのさまざまな質問におふたりが真剣に答えます!

    妊活・不妊治療について座談会スタート!

    瀬奈さん:今日はみなさん治療で大変ななか、ご参加いただきありがとうございます。

    千田さん:僕たちでお役に立てることがあれば、なんでも聞いてください。まずは簡単な自己紹介からお願いします。

    A美さん:私はもともと子宮内膜症があり、2年前に不妊治療を始めました。不妊の検査では、抗体がかなり強く、卵管も詰まっていると言われました。2度の採卵をへて、もうすぐ6回目の体外受精をするところです。

    A美さんプロフィール(千葉県 39歳)妊活歴2年1カ月●
    パートナーの年齢 42歳、子宮内膜症や卵管閉塞を乗り越えて、6回目の体外受精にチャレンジ中!

    ナナさん:私は今33歳です。妊活を始めたときはタイミング法ですぐ妊娠するかと思ったけれど恵まれず、現在は人工授精に挑戦中です。みんなに「まだ若いから大丈夫だよ」と言われますが、子どもは2人欲しいのであせっています。

    ナナさんプロフィール(大阪府 33歳)妊活歴1年3カ月●
    パートナーの年齢 34歳、男性不妊で人工授精を3回しましたが、そろそろ体外受精も気になります。

    瀬奈さん:すごくわかります。若いから大丈夫とは言い切れないし、年齢に関係なくつらいものはつらいですよね。私も治療中は周囲に「次は大丈夫だよ」と言われても、「あなたには私の気持ちはわからない!」と思っていました。心の闇がありましたね。

    男性のほうがメンタル弱い!?

    千田さん:差し支えなければ、不妊の原因を教えてください。

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    ナナさん:うちは男性不妊で、医師から精索静脈瘤の手術をすすめられましたが、夫は最初、局部にメスを入れることに抵抗があったようです。しかし人工授精を数回しても精子のデータが厳しいと知り、ようやく先週手術を受けてくれたばかりです。

    千田さん:手術を決意するのは勇気がいったと思います。僕のパパ友にも男性不妊のかたがいて、それを知ったときは立ち直れないくらいショックだったと言っていました。

    瀬奈さん:一般的に男性のほうがメンタル弱いですよね。私も不妊治療中は自分のことに精いっぱいでしたが、最後の体外受精が陰性だったときは夫もいっしょに大泣きして、彼も相当傷ついていたんだと気づきました。きっとナナさんのご主人も男性不妊ということですごく傷ついていると思います。やさしくしてあげてくださいね。

    ナナさん:わかりました!

    笑顔で過ごせば免疫力もアップ!

    A美さん:私は今、サプリメントを飲むなど、妊活にいいと言われていることはいろいろ試していますが、何かおすすめの方法はありますか。

    瀬奈さん:私も妊活中はイソフラボンをとったりしましたが、今振り返ると、当時もっと明るく楽しく過ごしていたら、何かちがっていたかもと思うことはあります。体外受精でリセットするたびに落ち込んで、ソファに寝て一日中天井を見て、気づいたら夕方になっていたようなつらい日々でした。

    特に今、コロナ禍でみなさん先が見えない不安が続くなか、笑いってたいせつだなと思います。笑顔でいれば、免疫力も上がり、子宮もフカフカになって、お空にいる赤ちゃんが下りてきたくなるんじゃないかなぁと思って。

    A美さん:それってすごく大事ですね! 治療がうまくいかず、妊婦さんはみんな幸せそうでいいなぁと、他人をうらやましく思っていましたが、今のお話を伺えてすごくよかったです。

    ナナさん:私も最近、同時期に結婚した友だちから妊娠の知らせを聞いて、よけいにあせっています。おめでたいことなのに、素直に喜べない自分を責めてしまって…。

    瀬奈さん:それは当たり前の感情だし、見たくないものをわざわざ見なくていい。しばらくは会わなくてもいいと思いますよ。

    A美さん:私も友だちが妊娠して、おなかが大きくなっていくのを見ているのはつらかった。不妊治療に成功した友だちと、失敗している自分を比較すると、どうしても劣等感がありました。でもそのおかげで、つらい人の気持ちがわかるようになりました。

    瀬奈さん:私も不妊治療をしていちばんよかったのは、そこですね。
    10代で宝塚に入って、トップスターをめざして頑張ってきて、夢を叶えることができました。それまでは本当の意味での挫折を知らなかったけれど、不妊治療を経験することで、少しは人の痛みがわかる人間になれたと思います。

    治療中はもっとこうすればよかったと、自分を責めてしまう毎日でしたが、今ふり返ると、あのときは本当に頑張ったなと思います。おふたりも今はつらいと思いますが、絶対にいい経験になるはずです。

    みんな悩む、不妊治療のやめどき「この気持は一生消えないと思う」

    A美さん:私は今39 歳、体外受精も次で6回目になり、心身ともに、経済的にも疲弊してきました。見えないゴールに不安しかありません。

    もうここまでというゴールを決めたほうがいいのかなと思っているのですが、不妊治療をやめる勇気はまだありません。やめるキッカケの見つけ方はありますか。

    瀬奈さん:人それぞれ状況や考え方はちがうので、何ともいえませんが、実際に私がやめたきっかけは、不妊治療を続けてきた友人の妊娠の知らせを聞いたことです。そのときは心からおめでとうと言えたけど、このまま治療を続けていたら、たいせつな人の幸せを喜べなくなるかもしれないと思い、そうなる前にやめようと決めました。

    やめどきはむずかしいけれど、身も心も、経済的にも限界に達する前に決断されたほうがいいような気がします。

    私は正直、養子を迎えた今でも、あのときもう少し治療を頑張ればよかったかなと思うことがあります。多分、この気持ちは一生消えないでしょう。でも確実に言えるのは、どの道を選んでも、最後には絶対に幸せになれるということです。

    千田さん:A美さんはなんとなくここまでという期限は決めているのですか?

    A美さん:治療を始めたときは40歳までと思っていました。
    40代になると妊娠率も下がると聞いたので。今39歳ですが、コロナ禍で治療内容や日程も制限されてしまい、精神的にも追い詰められてきました。
    もう今年いっぱいでやめようかと悩み中です。

    千田さん:パートナーはなんと?

    A美さん:夫も無理して治療を続けることには反対です。夫はもともと結婚も子どももあきらめていた人で、治療も私がやりたければやっていいよというスタンス。私に決定権があるので、責任重大ですが、私の意思を尊重してくれることには感謝しています。

    瀬奈さん:やさしいかたですね。

    「特別養子縁組」を頭の片隅に置けばラクになる

    ナナさん:うちの夫はとにかく子ども好きで、この先治療を続けても妊娠しなかったら、特別養子縁組を考えようかと思うこともあります。
    ただ、千田さんのように保育の資格を持っているわけではなく、本当に大丈夫なのか不安です。

    千田さん:僕が持っているチャイルドマインダーというのはベビーシッターができる資格で、保育士のような国家資格ではありません。授業で習った特別養子縁組の情報を知っていただけで、いざ養子を迎えて子育てをしたら、思いどおりにならないことばかりで、試行錯誤の連続です。

    ふたりで子どもを育てたいという気持ちがあれば、資格は関係ないですよ。

    ナナさん:日本ではまだ特別養子縁組の認知度は低いですよね。実は夫の母親が養子で、それを今も気にしているようで、抵抗があるのかもしれません。息子さんを受け入れると決めたとき、おふたりの周囲の反応はどうでしたか。

    瀬奈さん:私の母は大賛成でしたが、父は違和感があったようです。お前たちの選択は応援するが、その子がかわいそうだと正直に話してくれました。

    かわいそうという感覚はわからなくもないですが、実際には生後すぐに生みの親と引き離され、乳児院で3カ月過ごしたあとは、孤児院に移ってと、何度もお別れを繰り返さないといけないことのほうがかわいそうなのかもしれません。そんな父も息子を迎えてからは自分の孫としてすごくかわいがっています。

    私たちは仕事柄、養子を迎えたことを世間に公表しましたが、友人・知人からもネガティブな反応はひとつもなく、私たちも幸せにさせてもらい、いいことずくめでした。もちろん最初は不安もあると思いますが、不妊治療中も特別養子縁組という制度があるということを頭の片隅に置いておくだけでも気持ちがちがうと思いますよ。

    千田さん:参考までに僕の家族の反応もお伝えしますね。母の言葉が心に残っているのですが、せっかく親になれるチャンスがあるなら、なってみるのもいいよねと、背中を押してくれました。3人の子どもを育てた母の言葉の重みを受けとりました。

    ただ、妹は大反対で、夫婦だけでも幸せなのに、養子までもらって、その子がかわいそうだと言われました。結局妹を納得させることはできませんでしたが、息子を迎えてからは、遠方からおもちゃを持ってしょっちゅう会いにきてくれます。

    ナナさんの不安もわかるし、僕たちは全員に特別養子縁組をすすめる気はまったくないのですが、こういう家族の形もあるということを知ってもらえたらと思います。

    A美さん:私も特別養子縁組に興味はあって、役所で冊子をもらってはきたのですが、まだ治療の途中なのでそこまで考えられなくて。ナナさんはすごいなと思います。私は治療をやめてから考えようかなと。もう少し時間が必要です。

    瀬奈さん:あせらずじっくり考えたほうがいいと思います。人それぞれタイミングはちがうし。さっき言おうかどうか迷ったのですが、A美さんが妊婦さんはみなキラキラして見えるとおっしゃいました。

    でも、世の中には妊娠したことが幸せと思えないかたもいます。そんななかでみんなが幸せになるための選択をすることがいちばんだと思います。私たちにはその選択肢が特別養子縁組だったんです。

    千田さん:先ほど治療のやめどきの話が出ましたが、僕たちも特別養子縁組という選択肢がなかったら、今ごろどうなっていたかわかりません。みなさんもご主人と納得いくまで話し合って、ベストな選択をしてほしいと思います。

    A美さん:コロナ禍で治療がうまく進まず、落ち込んでいるときだったので、今回いろんな経験をされているみなさんのお話を聞けて、なんだか元気が出ました。そういえば最近、夫のフォローもしていなかったので、今日あたりいろいろ話してみたいと思います。

    ナナさん:仲のいい友だちとも不妊の話はしにくいので、今回こういう場を設けていただいて、とてもよかったです。おふたりがおっしゃるように、特別養子縁組を頭の片隅に置いておくだけでもつらい治療が少し楽になる気がします。体外受精、そして特別養子縁組についても明るい未来の選択肢として前向きにとらえることができるようになりました。どうもありがとうございました。

    妊活・不妊治療/オンライン座談会を終えて

    「今回みなさんとお話しして、コロナ禍の影響をひしひしと感じました。自分の治療経験に当てはめてみると、今はこれもできない、あれも制限されているんじゃないかなと想像がつきます。不妊治療にはタイムリミットもあるし、みなさん大変な思いで過ごされていることと思います。

    私も当時は自分を責めてばかりいて、殻に閉こもっていましたが、気持ちの持ち方ひとつで免疫力や体調も変わってくるはず。先が見えず、不安もあると思いますが、こんなときこそどうぞ無理にでも明るく前向きに過ごしてみてください。

    私もインスタなどで楽しく笑えるようなものを発信していきたいと思っています。みんなで心をひとつにして、頑張っていきましょう。私も応援しています。」

    瀬奈じゅん

    「特別養子縁組で迎えた息子も3歳になり、最近はお兄ちゃんパンツをはくようになりました。おもらしもほとんどせず、うちの子は天才なんじゃないかと親バカぶりを発揮しています(笑)。最近は息子の成長についていくのに必死で、特別養子縁組のことを意識する瞬間も減り、当たり前のようにわが子と幸せに過ごしています。

    僕たちも不妊治療中は目の前のことをこなすのに必死で、余裕がありませんでした。でもひとつ言えるのは、この治療を一生続けることは絶対にないということです。夫婦でとことん話し合い、真剣に向き合うことで、そのつらかった経験もいつかきっとプラスになるはず。一人でも多くのかたが愛するわが子に出会えることをお祈りしています。」

    千田真司

    瀬奈じゅんさん

    元宝塚歌劇団月組トップスター。
    1992年宝塚歌劇団に入団。『この恋は雲の涯まで』でデビュー。退団後は女優として活躍。菊田一夫演劇賞 演劇賞、岩谷時子賞 奨励賞をW受賞。千田真司氏と結婚後は特別養子縁組で子どもを授かったことを公表し、「特別養子縁組制度」について理解を広める活動を行っている。

    千田真司さん

    2008年「さらば我が愛、覇王別姫」にて舞台デビュー。俳優、ダンサーとしてキャリアを積み続ける。現在は振付師としても活動しながら、自身の主催するダンススタジオ「FABULOUS BUDDY BEAT」を運営するなど幅広く活動中。2014年チャイルドマインダー取得。2018年にandfamily株式会社を立ち上げ、特別養子縁組の啓蒙活動を始める。https://andfamily.jp/

    『ちいさな大きなたからもの』(方丈社)は瀬奈さん、千田さんの共著
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