「不妊原因がわからない」ほかにできる検査はありませんか?【不妊専門Dr.がお答え】|妊活webマガジン 赤ちゃんが欲しい(あかほし)
不妊治療
男女それぞれのカラダのこと、受精について…。「赤ちゃんが欲しい」と思い、不妊治療をスタートすると、今までは気にならなかった、ささいな疑問もでてきますよね。
はじめてのクリニック受診から、今の体調まで。不安はつきませんよね。
このままの治療でいいのかな? ほかの治療法もトライした方がいい?
妊活をしているみなさんが抱える疑問や不安に、不妊治療専門のドクターが答えてくださいました。
33歳 排卵があったりなかったりする。クラミジア陰性、精液異常なし。人工授精のあと治療はお休み中
最初はクロミフェンやデュファストンなど、薬を服用してのタイミング法でした。次に排卵誘発剤の注射を打ち、卵胞が10個もできましたが妊娠しませんでした。
人工授精も3回失敗に終わり、ドクターから「何が原因かわからない」と言われ、ショックが大きく治療を休むことに。
その後もふつうに夫婦生活を送っていますが、妊娠できていません。
私のような場合は、ほかにどんな検査があるでしょうか? 体外受精をしたほうがいいのか悩みます。
実際に診察をしていないので断言はできないのですが、排卵があったりなかったりすること、また排卵誘発剤の使用で10個の卵胞ができたということから、多嚢胞性卵巣症候群の疑いがあります。
これは排卵障害の1つで、卵胞が成熟せず排卵が起こりにくくなります。その結果、卵巣は多くの未成熟卵でおおわれてしまいます。
今の状態でタイミング法や人工授精を繰り返すと、多胎妊娠やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがあり十分な注意が必要です。
一方で、さまざまな検査を受けて問題がなく、タイミングもあっているのに妊娠しない場合は、卵巣から排卵する卵子を卵管側がうまくキャッチできないピックアップ障害の可能性も考えられます。
このような卵管機能の問題は、卵管造影検査や腹腔鏡検査ではわからない場合も多いのです。
まずは前述の多胎妊娠やOHSSの発症に十分注意して、人工授精をあと2~3回繰り返してみてください。人工授精を計5~6回しても妊娠しない場合は、人工授精での妊娠は難しいと判断し、体外受精へのステップアップをおすすめいたします。
『赤ちゃんが欲しい2020春号』より
まとめ/伊藤絵里子
山下レディースクリニック
院長
山下正紀先生
奈良県立医科大学卒業。京大産婦人科入局。舞鶴市民病院産婦人科医長を務める。オーストラリア・アデレード大学で体外受精の基礎を学び、帰国後、舞鶴市民病院にて近畿発のGIFT法による妊娠に成功、体外受精もスタート。神戸中央市民病院に着任(産婦人科医長、体外受精チーフ)。平成9年4月 山下レディースクリニック 開業。平成16年(神戸三宮磯上通)にクリニックを移転。
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