【不妊治療専門医に聞いてみた】多嚢胞性卵巣の体外受精、どうすればいいの?選択肢は?|妊活webマガジン 赤ちゃんが欲しい(あかほし)
不妊治療
男女それぞれのカラダのこと、受精について…。「赤ちゃんが欲しい」と思い、不妊治療をスタートすると、今までは気にならなかった、ささいな疑問やお悩みが出てきますよね。
こんなこと病院で聞いていいことなのかな、主治医にはちょっと聞きづらいな…
そんな、妊活中の体や治療に関する気がかりに、不妊治療専門ドクターが答えてくれます。実際に妊活メディア”あかほし”に寄せられたお悩みなので、ご自身に似た相談があるかもしれません。ぜひヒントにしてみてくださいね。
質問者データ/30歳、多嚢胞性卵巣、子宮卵管造影検査異常なし、精液検査問題なし
顕微授精を予定
私は多嚢胞性卵巣(PCO)で、人工授精を7回、体外受精には1回トライ。卵巣過剰刺激症候群 (OHSS)の症状が出たため、何周期か休んだあと顕微授精をする予定です。
タイミング法、人工授精のときからクロミッド(クロミフェン)と注射の排卵誘発ですが、徐々に量がふえました。
体外受精ではフォリスチム注射で卵巣を刺激し、採卵3日前に排卵を抑えるガニレスト、採卵2日前には排卵を促すゴナドトロピン5000を注射。
28個採卵できたものの、受精はゼロ。医師は「次回は注射の量を減らし、顕微授精を」とのこと。注射ではなくクロミッド服用か、排卵誘発剤を使わない自然周期は意味がないですか?
クロミッドが効きにくい私は、強い刺激法で採卵するしかないのでしょうか。
不妊治療専門医ANSWER⇨方針に大きな問題はないようですが、さまざまな方法が考えられます。
卵巣刺激の方法と受精卵が得られなかったということは、分けて考える必要があります。授精法について次回は顕微授精にするのは当然だと思います。
ただし、今回についても28個の卵子の中に、何個ぐらい成熟卵子が得られたかが重要な問題です。成熟卵子が少なかったのであれば過剰刺激 (OHSS)を気にするあまり、HCGを打つ時期が早すぎたことも考えられます。
卵巣刺激についてはさまざまな方法があります。今回のアンタゴニスト刺激法は多嚢胞性卵巣(PCO) のかたには最適だと思います。クロミフェン内服のみというのは、あまり現実的ではないと思います。PCOのかたの卵子がよくないということはありません。
次に多嚢胞性卵巣(PCO)のかたの体外受精について選択肢を書いてみます。
1.PCOのかたでは耐糖能検査(HOMA-R) をして異常があればメトホルミンという糖尿病の薬剤を併用することも効果があることがわかっています。
2.卵巣刺激にクロミフェンやフェマーラのような内服薬とFSHのような注射薬と併用し、卵胞が大きくなればアンタゴニストを追加する方法もあります。
3.最後の注射についてはHCGではなくアゴニスト製剤(スプレキュア)を使う方法があります。この方法により成熟卵子がふえる可能性もありますが、卵巣過剰刺激を予防する効果もあります。
4.先にも書きましたように、今回は一般体外受精(媒精法)で受精卵が得られなかったのですから、次回は顕微授精がいいと思います。顕微授精を選択することで成熟卵子がどれくらいあるかもわかります。また媒精法による、たまたま受精しない、ということもなくなります。
5.あまり多くの施設ではされていませんが、未熟卵体外受精(IVM)と呼ばれる、過剰刺激の危険性のまったくない方法もあります。
PCOのかたの体外受精にもいろいろな選択肢があります。可能性は十分にありますのであきらめずに頑張ってください。
院長
京都大学医学博士
福田愛作 先生
1978 年 3 月 関西医科大学卒業,京都大学医学部婦人科学産科学教室入局。1984 年 4 月 京都大学大学院医学研究科博士課程
1998 年 7 月 IVF大阪クリニック勤務、2003 年 4 月 IVF大阪クリニック院長
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