子宮内膜症ですが「人工授精」にトライしてもいいの?【不妊治療専門ドクターQ&A】|妊活webマガジン 赤ちゃんが欲しい(あかほし)
不妊治療
タイミング法の次のステップアップとして行われることが多い人工授精(AIH)。
積極的に人工授精にとり組むドクターに、豊富なデータのもと、人工授精に関する疑問に答えていただきました。
今回は「子宮内膜症」を患っているという方からの質問です。人工授精にトライしてもいいの?にズバッと回答。
梅ヶ丘産婦人科 院長
辰巳賢一先生
1979年京都大学医学部卒業後、長浜市立病院産婦人科部長をへて、京都大学病院へ。
同病院の不妊外来、体外受精チームの中心メンバーとして活躍。1991年梅ヶ丘産婦人科副院長。
2004年から現職。医学博士。
タイミングを見はからって性交渉しても、なかなか妊娠しないときの次のステップが人工授精です。
「人工」という名前がついているために、なんとなく不自然な治療のようなイメージを持たれがちですが、医療が加わるのは精子を子宮内に送り込むところだけ。精子と卵子の出合いをサポートしたその後は、受精も着床も、自然妊娠となんら変わりはありません。
①超音波検査で卵子の成長ぐあい(卵胞の大きさ)をチェック
②尿中の黄体形成ホルモン(LH)の量を検査薬で調べ、排卵日を予測して、人工授精を行う日を決定
③人工授精当日、自宅またはクリニックで夫の精液を採取。精子調整を行って、元気な精子を選別
④カテーテルを用いて、子宮内に精子を注入
という流れで行います。
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が本来あるべき場所以外の卵巣や卵管、腹腔内などにできてしまう病気です。強い月経痛や、月経時以外にも腹痛、腰痛、性交痛などが特徴です。
排卵ができていれば、タイミング法や人工授精でも妊娠が期待できないわけではありません。
ただ、内膜症があると卵管の癒着などが起きることも多いので、体外受精を考えているなら、早めにそちらにステップアップしたほうがよいと思います。
『赤ちゃんが欲しい20夏』より
月経のときに体外に排出されるべき子宮内膜が、 なんらかの原因で、腹腔内や卵巣、卵管などで増殖 するトラブル。発生する場所で最も多いのは卵巣(チ ョコレート嚢胞)で、そのほか、卵管やダグラス窩か(子宮と直腸の間のくぼみ)など。子宮や卵巣以外の臓 器に発生することも、まれですがあります。場所によっ て、月経痛、腰まわりが痛い、排便痛など、違和感や 痛みの感じ方にちがいが。
子宮内膜症の原因ははっきりわかっていません が、月経中にはがれ落ちた子宮内膜の一部が体外 へ出ず、逆流して別の場所に移動し、子宮内膜細胞 が増殖するのではないかといわれています。自覚症 状は「痛み」がメイン。子宮内膜以外の部位にできる ので、月経量の多さは自覚症状には入りません。
『クリニックガイド2020』より
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