study妊活の基礎知識

    精子を採取して子宮に注入する方法【人工授精】

    精子を採取して子宮に注入する方法【人工授精】

    精子を子宮に注入し、卵子と出会うための移動距離を短くすることで授精の可能性を高める方法が人工授精。精子が子宮内に入るプロセスが人工的なだけで、授精や着床などの流れは自然妊娠と同じです。

    精子を子宮に注入して体内で自然妊娠を目指す

    病院指導のタイミング法で妊娠しなかった場合の次のステップが人工授精です。マスターベーションによって採取した精液を洗浄・濃縮し、カテーテルを使って精液を子宮内に送り込みむ人工授精。運動率が高くて元気な精子だけど濃縮して支給に届けることができる他、精子の移動距離が短いので妊娠が成功する可能性が高くなります。

    人工授精という言葉のイメージから難しい治療なのではと思いがちですが、受精から着床までの流れは自然妊娠と同じです。費用は病院によって異なりますが、2万~3万円が一般的。

    人工授精が適しているケース

    タイミング法で妊娠に至らなかった場合の次のステップが人工授精。男女それぞれの状態で下記の内容に当てはまるケースは人工授精に進んだほうがよいとされています。

    ●頸管粘液が少ない
    女性の子宮体部と膣の間の頸管に粘液(おりもの)が少なく乾いた状態の場合。このような状態だと精子を子宮に送り込むことが難しくなります。

    ●射精障害・勃起障害
    ストレスや多忙などが原因で射精障害や勃起障害が起こり、セックスができないカップルの場合。

    ●精子にトラブルを抱えている
    精子の数が少ない乏精子症、精子の進む力が足りない精子無力症、精液が少ない乏精液症など、男性側の機能に問題がある場合。

    ●フーナーテストの結果が悪い
    精子と経験粘液(おりもの)には相性があり、その相性が悪い場合。相性が悪いと射精後の精子が膣を通り抜けていけない精子粘液不適合に。

    ●機能性不妊
    基本的な不妊検査では原因が分からない場合。早目に人工授精や体外受精にステップアップすることも

    受精の可能性を高めて成功へ導く!人工授精の流れ


    1:超音波検査で排卵日を予測
    超音波検査で卵胞の大きさを確認し、さらに尿検査や血液検査で排卵に関わるホルモンの値を調べて排卵日を予測。より確実に排卵日をつかむために通院回数が増えるケースも。

    2:人工授精の日を決定
    超音波検査やホルモン検査で排卵日が近づいていることを確認したら、人工授精を行なう日を決めます。より正確な排卵のタイミングを作るために薬を用いることも。

    3:精子を洗浄して濃縮
    自宅か病院で採取した精液を顕微鏡で確認してから培養液に入れ、遠心分離機にかけて洗浄・濃縮します。未熟な精子や細菌などを除菌し、質のよい精子だけを残します。

    4:精子を子宮に注入
    超音波で卵胞を確認後、専用のカテーテルで処理した精子を子宮の奥に静かに注入します。安静時間を含め10~15分で終了。感染予防の抗生剤が処方されることもあります。

    5:排卵チェック
    人工授精を実施してから数日後、きちんと排卵されたかどうかを超音波でチェック。必要に応じて妊娠を継続させる働きのある黄体ホルモンの処方や注射をすることもあります。

    人工授精が成功する確率は年齢などによって異なります

    排卵誘発剤などを使わない場合は、1回あたりの妊娠率は5~10%と言われています。排卵誘発剤を使うとやや高くなります。人工授精を数回行なうと、10~20%の人が妊娠しますが、これはあくまで平均的なデータで、年齢などによって異なります。

    精子を注入するときは痛みはあまり感じません

    精子を子宮に注入するカテーテルは樹脂製で柔らかいので、注入時の痛みはあまりありません。ただ、人によっては違和感を感じることも。人工授精後に痛みを感じる場合もありますが、これは排卵痛のことが多いよう。

    先天性の奇形などが起こる確率は自然妊娠と変わりません

    先天性の奇形などが起こる確率は、自然妊娠の場合と変化はありません。施術については、採取した精液をそのまま子宮に注入すると女性が感染症を起こす危険性があるので、必ず精子の洗浄処理を行ない、念のために抗菌剤も服用します。

    人工授精にトライしながら夫婦生活も大切に♡

    一般的に、病院指導のタイミング法を3~6回続けて授からない場合は(年齢によって回数は異なります)人工授精へステップアップ。人工授精は体への負担が少なく、極めて自然妊娠に近い治療法で、費用もさほど高額ではないので抵抗感も少ないよう。

    ただし、人工授精をしているからセックスはしなくてもいいという考え方は間違い。妊活は「夫婦仲良く」が基本なので、コンスタントに夫婦生活を持つことが大事です。

    Advice

    木場公園クリニック
    院長 吉田 敦先生

    産婦人科医、泌尿器科医。愛媛大学医学部卒業。東京警察病院などを経て、1999年より現職。不妊をカップルの問題と捉え、男女両方の診察にあたる。