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    体外受精&顕微授精の成功のカギは【卵巣刺激法】

    体外受精&顕微授精の成功のカギは【卵巣刺激法】

    体外受精や顕微授精では、「卵巣を刺激して複数の良好卵子を育て、卵胞を成熟させてから排卵させる」目的のために、排卵誘発剤を使った自分に合う排卵巣刺激を行ないます。

    自分に合う卵巣刺激法が成功を左右する

    体外受精や顕微授精では、排卵に問題がない場合でも採卵をする時に排卵誘発剤を使います。通常の月経では1周期に排卵するのは基本的に1個の卵子ですが、「卵巣を刺激して複数の良好卵子を育て、卵胞を成熟させたから排卵させる」目的のために排卵誘発剤が用いられます。

    卵巣刺激法を選ぶ基準となるのが「前胞状卵胞」の状態

    排卵誘発剤を使った卵巣刺激法を選ぶ基準として重要なのが「前胞状卵胞」。前胞状卵胞とは月経時に卵巣内で確認される卵胞のことで、超音波検査でその状態をチェックできます。体外受精の周期や、その前の周期に前胞状卵胞がいくつあるのか、どのような状態なのかによって卵巣刺激法が変わってきます。

    4パターンの卵巣刺激法から自分に合った方法を選択

    排卵誘発に使われる代表的な薬剤には、卵胞の状態をコントロールして排卵を抑えるGnRHアゴニスト製剤、卵胞を成長させるhMG製剤、排卵を促すhCG製剤などがあります。

    これらの薬剤が有効的に作用するよう、体外受精や顕微授精では「ロング法」「アンタゴニスト法」「ショート法」「自然周期法」といった卵巣刺激法(排卵誘発法)があります。どの排卵誘発法を選ぶかは、年齢や治療経過、卵巣や子宮の状態、体質などをチェックしてから決定。場合によっては副作用が出ることもあるので慎重に行ないます。

    ロング法

    体外受精を予定している前周期の高温期から排卵コントロール(GnRHアゴニスト製剤点鼻薬)を開始する方法。卵巣を刺激することで、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)の分泌を抑えるのが目的です。月経周期に入ってから、hMG製剤またはFSH製剤を注射して卵胞を成熟させ、hCG製剤(注射)で排卵を促します。その後、約38時間後に採卵をします。

    排卵誘発法のなかでも、排卵日のコントロールがしやすいロング法ですが、前周期からスタートするため前周期に避妊が必要になります。また、高温期を確認するために基礎体温をつける必要も。点鼻薬の投与から採卵日までの期間が長いのもロング法の特徴です。

    【ロング法に向いている人】
    年齢が37才以下
    体外受精を受けるのが初めて
    前胞状卵胞が8個以上
    卵巣刺激の反応がいい

    アンタゴニスト法


    短時間で強い効き目のGnRHアンタゴニスト製剤で排卵を抑制しながら卵巣刺激を行なう方法。前周期の検査と採卵の周期の月経1~3日目の前胞状卵胞数やLH値(黄体化ホルモン)により注射の種類と量を決定し、月経3日目頃から注射開始。卵胞が直径14mmになったらアンタゴニスト製剤を注射し、さらに注射を続けて卵胞を成熟させます。アンタゴニストの効果は約30時間。卵胞が直径20mmになったら採卵します。

    GnRHアゴニスト製剤の代わりにGnRHアンタゴニスト製剤を使うこの方法。費用面ではアンタゴニスト法のほうが高額ですが、hMG製剤の投与量が少なくてす済むので卵巣へのダメージが低いとされています。

    【アンタゴニスト法に向いている人】
    ロング法で失敗した経験がある
    前胞状卵胞が7個以下
    多嚢胞性卵巣症候群がある
    卵巣過剰刺激症候群(排卵誘発で起こる副作用のひとつ)の可能性がある

    ショート法

    採卵を行なう周期の月経1日目または3日目からGnRHアゴニスト製剤の点鼻薬をスタートし、卵巣刺激の注射を月経2~4日目から開始する方法。体外受精の周期の月経1~3日目に超音波で前胞状卵胞数を確認。注射の選択や使い方はロング法とほぼ同様です。卵胞が直径16~17mmになったら(ロング法よりやや小さい)hCG注射をして採卵へ進みます。

    GnRHアゴニスト製剤を使うと性腺刺激ホルモンが大量に分泌されますが、ショート法はその現象をうまく利用して短期間で卵胞を刺激します。短期間で済む、薬の量が少なくて済む一方で、LH(黄体化ホルモン)がたくさん分泌されることで卵胞の質が悪くなる場合もあります。

    【ショート法に向いている人】
    年齢が38才以上
    ロング法で失敗した
    前胞状卵胞が7個以下
    卵巣刺激の反応が鈍い

    自然周期法(低刺激法)

    クロミッドなどの飲み薬を服用しながら、自然の力で成熟する排卵直前の卵子を採取して体外受精にトライする方法。自然周期法は卵巣機能が低下している人や、なるべく薬を使いたくない人向けの方法ですが、全く薬を使わないケースもあります。

    月経1~3日目の前胞状卵胞の状態とホルモン値から、その周期に体外受精を行なうかどうかを決定。卵胞発育のための注射は必要であれば行なう場合がありますが、回数は2~3回程度。卵巣や体に負担がかからない自然周期法は、自然に排卵している人であればできる方法ですが、刺激しても複数の卵子が取れる見込みがない、他の刺激法で妊娠しなかった場合に適応される刺激法です。

    【自然周期法に向いている人】
    年齢が40才以上
    他の方法でうまくいかなかった
    前胞状卵胞が3個以下
    卵巣の機能が低下している
    薬を多用することに抵抗がある

    卵巣刺激による卵巣刺激症候群(OHSS)に注意

    排卵誘発剤を投与すると卵巣はたくさんの卵胞を育てます。また、卵胞から出るエストロゲンというホルモンが多量に生成されると血管の通過性が増し、人によっては卵巣が肥大して水分が溜まり、腹部のむくみや膨満感を覚えたり、ひどいときには腹水や胸水がたまったりします。そのうえ、血液が濃くなることで血栓ができやすい状態に。これらの症状を総称して「卵巣刺激症候群(OHSS)」と呼びます。

    卵胞の数やホルモンの数値などを細かく観察しながら卵巣刺激をコントロールすることで、重篤なOHSSを避けることが可能です。副作用による体の変化は日頃から注意し、変化があればすぐに受診しましょう。

    Advice

    陣内ウィメンズクリニック院長
    陣内彦良先生
    千葉大学医学部卒業。ニューヨーク・アルバートアインシュタイン医科大学不妊内分泌研究員。東邦大学医療センター大森病院勤務の後、2003年自由が丘に「陣内ウィメンズクリニック」を開院。日本産科婦人科学会・日本生殖医療心理カウンセリング学会・日本女性医学学会・日本生殖医学会等所属。

    陣内ウィメンズクリニック
    https://jinnai-womens.com/

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