不妊治療

    死産の原因や兆候とは?予防法は?また妊娠できるの?〜産科医歴45年の浦野理事長「お母さんのせいではありません」〜

    公開日:2021.06.29 / 最終更新日:2021.09.06

    死産の原因や兆候とは?予防法は?また妊娠できるの?〜産科医歴45年の浦野理事長「お母さんのせいではありません」〜

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    「妊娠は病気ではない」とよく言われますが、新しい命を育む妊婦さんの体には大きな負担がかかります。そのため妊娠中にはさまざまなトラブルが起こり、ごくわずかの確率ではありますが、死産になることもあります。気になる死産の原因や兆候、予防法などについて、妊婦さんに寄り添い、安全で自然なお産ができる産院として評判が高い育良クリニックの理事長・浦野晴美先生に妊活・不妊治療メディア『赤ちゃんが欲しい』編集部が伺いました。

    死産とは?

    日本産科婦人科学会では、流産を「赤ちゃんがおなかの外に出ても生きていけない妊娠22週より前に妊娠が終わること」と定義しています。これに対して、死産は、「妊娠22週以降の妊娠中絶による死亡胎児の出産」と定義されています。この「中絶」は、人工妊娠中絶だけではなく、妊娠が途中で途絶えることを意味しています。

    また、生まれてから1週未満で赤ちゃんが亡くなった場合を「早期新生児死亡」といい、死産とあわせて、「周産期死亡」といいます。

    >>【妊娠超初期の流産・不育症】何が原因?流産後の妊娠率は?経験者の体験談も!
    >>化学流産とは?原因や症状と起きる時期、次の生理と妊娠の可能性を知りたい!

    死産になる原因は?

    死産になる原因は、①主に母体側に原因がある場合②赤ちゃん側に原因がある場合③胎盤や臍帯に原因がある場合④原因不明の4つに分けられます。

    いずれも、妊婦さんのせいではないので、死産になったからといってお母さんが自分を責める必要はありません。

    ①主に母体側に原因がある場合

    妊娠高血圧症候群または高血圧合併妊娠

    妊娠をきっかけにして高血圧になった場合を「妊娠高血圧症候群」、もともと高血圧があったり、妊娠20週までに高血圧がわかった場合を「高血圧合併妊娠」といいます。この場合の高血圧とは、収縮期(最高)血圧が140mmHg以上、拡張期(最低)血圧が90mmHg以上です。

    妊娠高血圧症候群のうち、高血圧のみの場合は「妊娠高血圧症」、高血圧に加えてたんぱく尿がある場合は「妊娠高血圧腎症」と分類されています。重症化すると、けいれんなどのほか、赤ちゃんの発育が悪くなったり、胎盤がはがれて赤ちゃんに酸素や栄養が届かなくなったりする「常位胎盤早期剥離」などを起こすこともあるので、注意が必要です。

    妊婦さんの20人に1人に見られるトラブルですが、もともと糖尿病や高血圧などがある、肥満、40歳以上、双子や多胎妊娠などに該当する場合や、以前の妊娠で高血圧症候群を経験している妊婦さんの場合に多く見られます。それ以外の妊婦さんでは、それほど心配する必要はありません。

    高血圧症候群や高血圧合併妊娠と診断された場合の治療は安静にすることで、場合によっては入院が必要となります。重症になると、妊娠中でも服用できる降圧剤を使って治療をすることもありますが、血圧を下げ過ぎると赤ちゃんの状態が悪化することがあるので、慎重なコントロールが必要です。

    妊娠糖尿病

    妊娠をきっかけにして糖尿病になった場合を「妊娠糖尿病」といいます。妊娠初期に血液検査を行い、血糖値が高い場合はさらに検査を行って診断します。妊娠週数が進むとおなかの赤ちゃんに栄養を与えるために胎盤から血糖を上げるホルモンが出され、血糖を下げるホルモン・インスリンが効きにくくなるので、妊娠中期にも再度血液検査を行って確認します。

    妊婦さんが高血糖になると、妊娠高血圧症候群などの合併症が起こりやすくなります。さらに、おなかの赤ちゃんも高血糖になるため、流産や巨大児になる、胎児死亡などの可能性も高くなります。

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    また、妊娠前から糖尿病だった場合も含め、血糖値が高くなると免疫機能が低下して感染症にかかりやすくなり、それが原因で胎児が死亡することも。

    妊娠糖尿病や糖尿病の妊婦さんは、インスリン注射で治療を行い、血糖値をコントロールします。個人クリニックではなく、総合病院で診察を受けたほうがいいでしょう。

    感染症

    ヒトパルボウイルスB19

    ヒトパルボウイルスB19は、子どもによく見られるリンゴ病(伝染性紅斑)の原因ウイルスとして知られています。リンゴ病は春から夏にかけて流行する感染症で、4~5年周期で流行があります。両方の頬に赤い発疹が出るのが特徴で、それ以前に風邪のような症状が見られ、咳やくしゃみによる飛沫感染やウイルスが付いた手で口や鼻に触れることによる接触感染でうつります。

    子どもの場合はかかっても重くならないことがほとんどですが、妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通しておなかの赤ちゃんに感染し、胎児水腫や胎児死亡が起こることがあります。

    このウイルスに対しては特に治療法がなく、2011~2012年に行われた厚生労働省の全国調査によると、おなかの赤ちゃんへの治療として輸血が行われたものの、効果は高くありませんでした。この調査では、家族、特に子どもからの感染が多いという結果が出ているので、家族が感染した場合、妊婦さんは十分に気をつけましょう。

    梅毒

    性感染症の1つである梅毒は、近年20代の女性で感染が増えています。唇や陰部、肛門周辺などに発疹やただれなどができ、放っておくと皮膚だけでなく、リンパ節がはれたり、臓器などにも症状が現れることがあります。ただし、感染していても無症状の場合も。

    妊婦さんが感染すると、おなかの赤ちゃんにも感染して胎児死亡を引き起こしたり、赤ちゃんの神経や骨などに後遺症が出ることもあり得ます。そのため、妊娠初期の検診で梅毒抗体検査を行い、梅毒と診断された場合は、すぐに治療を始めます。

    治療としては妊娠している、いないにかかわらず、ペニシリンを4週間服用し、4週ごとに検査を行って治癒したかどうかを確認します。

    ②主に胎児側に原因がある場合

    遺伝的・形態的異常

    赤ちゃんに染色体異常があると流産になることが多いですが、ダウン症(21トリソミー)の場合は出産に至ることも少なくありません。ただし、ダウン症では心臓に奇形があることも多く、妊娠中期や後期に胎児死亡になることもあります。

    ダウン症ではなくても、心臓に先天的奇形があると体内の循環機能が低下して、胎児死亡につながりやすくなります。

    胎児溶血性疾患

    おなかの赤ちゃんとお母さんとは、胎盤を通して血流や栄養、老廃物などを交換しています。お母さんの血液型がRh-で赤ちゃんがRh+だったり、お母さんがO型で赤ちゃんがA型など、赤ちゃんの血液型がお母さんの血液型と異なる場合、赤ちゃんの血液がお母さんの体内に入ると異物とみなされて抗体がつくられ、その抗体が赤ちゃんに移行します。すると、赤ちゃんの赤血球と抗体が結合して赤血球が壊され、赤ちゃんが貧血になってしまいます。

    貧血がひどくなると、赤ちゃんの循環機能が低下して、心不全や胎児水腫などが起こり、胎児死亡になることがあります。

    ③主に胎盤や臍帯に原因がある場合

    常位胎盤早期剥離

    通常、胎盤は出産時に赤ちゃんが生まれてからはがれて、外に排出されます。ところが、子宮の正常な位置に付いている胎盤が何らかの原因で妊娠中にはがれてしまうことがあり、これを「常位胎盤早期剥離」といいます。

    軽症の場合は母子ともに問題がないことがほとんどですが、重症になると妊婦さんがショック状態になったり、大出血を起こしたり、胎児死亡になることも。

    妊娠高血圧症候群と診断されていたり、以前の妊娠で常位胎盤早期剥離になったことがある場合には、特にリスクが高くなるので注意が必要です。

    臍帯真結節・臍帯過捻転

    おなかの赤ちゃんと胎盤とはへその緒でつながっています。一般的に、へその緒の長さは約50cmほどですが、へその緒が長かったり、赤ちゃんが激しく動いたりすることで、結び目ができる「臍帯真結節」や、ねじれすぎる「臍帯過捻転」を起こすことがあります。

    へその緒が固く結ばれたり、ねじれ方が激しいと血流が滞ってしまい、赤ちゃんに栄養や酸素が届かなくなって、赤ちゃんの発育が遅れたり、胎児死亡に至る場合があります。

    胎児母体間輸血症候群

    おなかの赤ちゃんは、胎盤に無数にある絨毛の働きで、お母さんの血液から栄養や酸素をもらい、老廃物を排出しています。その際、通常はお母さんの血液が赤ちゃんに大量に流入したり、赤ちゃんの血液がお母さんに大量に流入したりすることがないような仕組みになっています。

    しかし、何らかの原因によって絨毛がうまく機能しなくなると、赤ちゃんの血液が妊婦さんに流入し、赤ちゃんが貧血になってしまいます。この場合、胎児溶血性疾患と同じように、貧血がひどくなると心不全や胎児水腫から胎児死亡を引き起こすことがあります。

    羊膜絨毛膜炎

    おなかの赤ちゃんは、羊膜と絨毛膜、脱落膜の3つからできている卵膜に包まれています。膣の中には常にさまざまな種類の細菌がいますが、細菌が子宮内に達して卵膜に感染すると、「羊膜絨毛膜炎」を起こします。

    羊膜絨毛膜炎は妊娠中期以降に起こることが多く、子宮が収縮したり、子宮の入口がやわらかくなって子宮口が開いたりして、早産の原因になります。さらに、常位胎盤早期剥離を引き起こしたり、羊水や胎盤からおなかの赤ちゃんに感染して胎児死亡につながることもあります。

    おなかの中で胎児が亡くなって死産になってしまう確率は?

    死産の確率は?

    少しデータが古くなりますが、2001~2004年の日本産科婦人科学会周産期登録データベースをもとにした資料によると、死産率は0.9~1.1%。年齢別にみると、20歳未満と40歳以上で、ほかの年齢層よりも確率が高くなっていました。

    また、この資料では、原因がハッキリしているうち、多い順に常位胎盤早期剥離が17%、次が胎児の形態異常で16%、臍帯の圧迫など臍帯が原因のものが16.1%、多胎・双胎間輸血症候群が8%、羊膜絨毛膜炎などの感染が2.9%、妊娠高血圧症候群が2.6%となっており、それ以外の原因不明が25%と最も多くなっています。

    ※参考文献:佐藤昌司:日本の死産の疫学‐日本産科婦人科学会周産期登録データベースから. 産科と婦人科.75(4).413‐417.2008

    死産の兆候は?

    死産につながることもあるおなかの赤ちゃんの異常を知らせるサインには、次のようなものがあります。赤ちゃんが亡くなる前に前兆をとらえて、おなかの中から出してあげられるのが一番ですが、実際にはなかなかむずかしいケースが少なくありません。

    胎動が少なくなる

    胎動は、妊娠5~6ヶ月(18~20週)前後から感じ始める妊婦さんが多く、妊娠7ヶ月ぐらいになると、1日に何度も胎動を感じるようになります。

    妊婦さんが胎動から「赤ちゃんに異常がある」と判断するのはむずかしいですが、毎日感じていた胎動が少なくなってきたり、胎動を感じなくなった場合は、トラブルの可能性もあります。かかりつけ医に相談して、必要があれば受診しましょう。

    心拍の減少や波形の異常

    妊娠中の定期健診では、超音波検査やドップラー検査を行い、おなかの赤ちゃんの様子や赤ちゃんの心音を確認します。そのとき、たまたま心拍が減少しているなどの異常が発見されることがあります。

    妊娠36週以降にはNST(ノンストレステスト)といって、赤ちゃんの心拍と妊婦さんの子宮の収縮具合を確認する検査を行います。分娩監視装置という機械を使い、出てきた波形グラフによって、赤ちゃんが元気かどうかを判断します。このときに異常が見つかることもあります。

    出血やおなかの張り、痛み

    常位胎盤早期剥離が起こると、胎盤が子宮からはがれた部分が出血します。その多くははがれた部分に留まりますが、出血量が多くなると膣から血液が流れ出るようになります。おなかが板のように硬くなってその状態が続く、おなかが痛いなども、常位胎盤早期剥離の症状です。

    ただし、出血やおなかの張り、おなかの痛みなどは、切迫早産や陣痛などでも見られる症状で、妊婦さんにはわかりにくいかもしれません。迷った場合は、自分で判断しないで、かかりつけ医に相談してください。

    また、すでにおなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合、妊婦さんの体は赤ちゃんを排出しようとします。そのため、子宮が収縮しておなかの痛みが起こったり、子宮口が開いて出血が見られることがあります。

    死産の医療処置は?

    常位胎盤早期剥離以外の場合

    おなかの赤ちゃんが亡くなったと確認された場合、妊娠14~15週以降であれば、通常の分娩とほとんど同じ経過になるように処置を行います。

    妊娠週数が満期に達していたり、それに近い週数であれば、子宮口が成熟してやわらかく、開きやすくなっていますが、死産の場合はまだ成熟していないことがほとんどです。そこで、「ラミナリア」という海藻でできた管を子宮口に何本か入れ、自然に近い形で1~2日かけて子宮口を広げていきます。

    子宮口がある程度開いたら、次は赤ちゃんを排出できるように、プロスタグランジンの腟錠で子宮頸管の成熟を促したり、オキシトシンの点滴で子宮を収縮させます。赤ちゃんが排出されると、自然なお産の場合は胎盤がはがれてきますが、死産の場合ははがれてこないため、人工的にはがします。

    入院期間は、通常のお産と同じで数日間です。通常のお産では、退院後、家で3週間ほど安静にして体を休める必要がありますが、死産の場合も同様です。ただ、妊娠週数が進んでいない場合はそれほど長く休まなくても回復するでしょう。

    常位胎盤早期剥離の場合

    常位胎盤早期剥離でも、それほど重症でない場合は子宮口の開き具合や妊婦さんの状態を見て、通常の分娩と同じ経過になるように処置をします。ただし、子宮内に出血が続いている場合は、妊婦さんの命を助けるために緊急帝王切開になることがあります。

    常位胎盤早期剥離で出血していると貧血になるため、手術後に貧血に対する治療も必要です。出血が多くて輸血することも少なくありません。

    死産後、また妊娠することはできる?

    赤ちゃんを亡くしたばかりではなかなか次の妊娠を考えることはできないかもしれません。ほとんどの人は「次の妊娠は大丈夫だろうか?」と不安に思うでしょう。

    しかし、死産を経験した人の半数以上は、その後1年以内に妊娠することができ、その多くが無事に赤ちゃんを出産できたという研究結果があります。必要以上に心配しすぎないようにして、かかりつけの病院の医師や助産師に相談しながら、まずは気持ちが落ち着くまでゆっくり過ごしましょう。

    万が一、死産になってしまったら……

    死産とは?

    「死産」の産科婦人科学会と法律上の定義の違い

    日本産科婦人科学会では、死産は「妊娠22週以降の妊娠中絶による死亡胎児の出産」と定義していますが、法律上はこれと異なり、昭和21年に出された厚生省令第42号により、「妊娠12週以降に死亡した胎児を出産すること」と定義されています。

    死産後の手続き

    妊娠12~22週までの死産の場合

    おなかの赤ちゃんが妊娠12週以降に亡くなった場合は、亡くなった日から7日以内に「死産証書」または「死胎検案書」を添えて居住地または死産となった病院のある市区町村に「死産届」を出さなくてはなりません。

    死産の届出は、原則的に父が行います。万一やむを得ない事情で父が届出をできない場合は、母、同居人、死産に立ち会った医師や助産師、その他の立会人の順番で行うことができます。

    この時、届出には亡くなった赤ちゃんの名前は必要なく、戸籍にも記載されません。

    妊娠22週以降の死産の場合

    妊娠22週以降であっても、おなかの中で赤ちゃんが亡くなった場合は、妊娠22週までと同じように死産届のみを提出し、赤ちゃんの戸籍も作られません。

    ただし、妊娠22週以降に赤ちゃんが出生してから亡くなった場合は、「出生届」と「死亡届」を居住地または出産した病院のある市区町村に提出します。これは、妊娠22週以降になると、母体の外でも生きる能力があるとされているためです。

    出生届を提出する際には、亡くなった赤ちゃんの名前が必要になります。出生届を提出すると戸籍が作られ、死亡届によって除籍されます。

    火葬が必要

    妊娠12週以降の赤ちゃんが亡くなった場合に死産届が必要になるのは、たとえおなかの中にいたとしても人間とみなされるからです。そのため、火葬が必要になります。

    死産届を提出すると、赤ちゃんの火葬許可証が渡されますが、その際に火葬の日時や場所を決めておく必要がある場合も。居住地または死産のあった病院のある市区町村の役所に確認してください。

    お母さんの身体的・精神的ケア

    おなかの赤ちゃんが亡くなったとしても、身体的な面では通常のお産と変わりはありません。子宮の状態は通常、産後6~8週で元に戻るので、それと同じか、死産になったときの妊娠週数によってはそれよりも早く回復すると考えられます。人によっては乳汁分泌が見られることもありますが、ブロモプリクチンやカバサールなど、乳汁分泌を促すプロラクチンの働きを抑制する薬を使って抑えます。

    死産のあとは、そうした身体的なケアはもちろん、精神的ケアが特に重要になります。通常のお産であれば、お産で疲れたとしても、赤ちゃんに授乳したり、触れあったりすることを通じて、幸福感や達成感を得られ、将来への希望を持つことができます。しかし、死産ではそれがないばかりでなく、「自分が悪かったのではないか」「あれがいけなかったのでは」「もっと早く受診すればよかった」と、罪悪感を強く持ってしまうお母さんが少なくありません。

    育良クリニックでは、死産になってしまったお母さんの体と心のケアを助産師さんが中心となって行っています。赤ちゃんを取り上げた助産師さんが、その後1年に渡って担当を続け、医療者としてではなく1人の人間として、お母さんの気持ちに共感し、その話をよく聞くことで、お母さんが前を向いていけるよう、心をくだいています。浦野先生も、その様子を「産科医にはできない、助産師さんのすごいところ」と尊敬していると語ります。

    パートナーや夫、まわりの家族も、待ち望んでいた赤ちゃんを亡くして心の余裕がない状態に変わりはないでしょう。でも、一番つらいのは、それまで日々胎動を感じていた赤ちゃんを亡くしたお母さんです。死産になったのはだれのせいでもありません。夫や家族はお母さんに寄り添いながら、将来の希望が持てるように静かに見守ってあげることが大切です。

    浦野晴美先生からのメッセージ

    育良クリニック理事長 浦野晴美 先生

    お産とは、赤ちゃんを産むとは、どんな意味があるのでしょうか。子どもを産むまでやお産自体、その後の育児には、肉体的にも経済的にもさまざまなたいへんさがあります。子どもを産まなければ、育児に使う時間も、育児や教育にかかる費用も自分たちで使えます。

    では、なぜ赤ちゃんを産むのかというと、「かけがえのない存在」だと思うからではないでしょうか。私は産科医になって45年たちますが、赤ちゃんを抱いて授乳しているお母さんの姿を見ると、今も神々しさを感じます。それは理屈では説明できないものです。

    いま妊娠中あるいは妊活中で将来子どもが望んでいる方が「もし死産になったら」と考えると、不安になるかもしれません。でも、私の産科医としての経験からすると、1年に1例あるかどうか。めったにないことなので、どうかむやみに心配しないでください。

    死産という、まれながらたいへんなご経験をされた方には、くり返しになりますが、「母体側のせいではないため、死産になったからといってご自身を責める必要はありません」とお伝えしたいです。いずれチャンスがあったら、赤ちゃんを抱く幸せをぜひ味わっていただきたいと思います。私たち産科医、助産師も全力でお手伝いします。

    妊活メディア『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』編集部より

    育良クリニックの歴史をさかのぼると、死産のご経験後、しばらくして妊婦さんとして戻られ、無事に出産された方も多いとのこと。45年も妊婦さんに寄り添いつづけてきた浦野先生の「まずはご自身の心と体をゆっくりといたわって」「ときにはプロである医師、助産師の私たちを頼って」という言葉が印象的です。当事者の女性、家族をとり巻く私たちは、静かに見守りつづける姿勢が大事だと感じました。

    取材・文/荒木晶子

    監修

    育良クリニック理事長
    浦野晴美 先生

    育良クリニック理事長。産婦人科専門医・医学博士・母体保護法指定医。熊本大学卒業後、日本赤十字社医療センター産婦人科に入局。医局長をへて1996年に東京都目黒区に育良クリニックを開院。「安全な環境のもとでの自然分娩」をモットーに、産む人自身が希望するお産をサポート。産みたい産院として、妊婦さんらの信頼と支持を集め続ける。最新刊に『育良クリニックの軌跡 医師、助産師、妊婦さん……絆でつむいだ25年』がある。

    医療法人社団 晴晃会
    育良クリニック

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    医療法人社団 晴晃会 育良クリニック東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー4F
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