妊活の基礎知識

    流産は防げる?妊娠の成功率UPの着床前診断について知りたい!【不妊治療専門医監修】

    公開日:2019.08.20 / 最終更新日:2019.08.27

    流産は防げる?妊娠の成功率UPの着床前診断について知りたい!【不妊治療専門医監修】

    妊活中の医学的な気がかりには、頼れる専門家からのアドバイスが必要です。

    そこで『赤ちゃんが欲しい』読者のみなさんから寄せられた悩みに、不妊治療専門医がお答えします。

    今回は体外受精後、2回流産を経験した女性が相談者です。流産を防ぎ、妊娠という結果を得るにはどうしたら?

    着床率を70%強に向上し、流産率は約10%という、不妊治療専門ドクター・神戸 ARTレディスクリニック院長大谷徹郎 先生の応援メッセージ、受け取ってくださいね! 人気連載『教えて先生』より、信頼性が高いとよく読まれているQ&Aをご紹介します。

    Question
    流産がこわくて次の治療に進めません。流産を防ぐことはできないの?

    これまで体外受精を2回行いましたが、2回とも陽性判定後、流産してしまいました。先生からは「次、がんばりましょう」と励まされましたが、また流産するのではないかと思うと、こわくて次に進めません。流産を防ぐことはできませんか?

    大阪府/32才
    赤ちゃんが欲しい歴3年

    流産が起こるのはどれくらいの割合?

    精子と卵子が出会って子宮に着床すると妊娠が成立するのですが、残念ながら子宮に着床したすべての受精卵が順調に育ってくれるわけではありません。なかには、途中で受精卵の発育が止まって「流産」と診断されることもあります。
    日本産科婦人科学会は、流産を「妊娠22週未満の妊娠の中断」と定義しています。全妊娠の10〜15%に生じるとされていますから、妊娠した女性100人のうち10人から15人は流産を経験していることになります。数字だけ見ると、流産は珍しいことではないことがおわかりいただけるでしょう。

    流産によって体にどんなダメージがあるの?

    流産を繰り返すと精神的にも身体的にも負担になります。流産によって子宮に傷がついて子宮内膜が薄くなったり子宮内癒着を起こすリスクが高まるからです。子宮内膜が薄くなったり子宮内癒着が起こると、着床が妨げられて妊娠しにくくなったり、流産のリスクがますます高くなることもあります。

    流産が起こる原因としてどんなことが考えられるの?

    流産の原因として、胎児側にある場合と母体側にある場合に大きく分けることができます。胎児側のおもな原因は、染色体異常です。おなかの中で大きく育つことのできない宿命を背負った受精卵がたまたま子宮に着床して妊娠したものの、途中で力尽きてしまったものです。
    流産してしまった胎児の染色体を分析すると、染色体異常は全体の約70%。さらに母体の年齢が40才を超えると、染色体異常の割合は約80%にまで増加します。つまり、高齢女性の流産の原因の多くは受精卵の染色体異常に起因していることがわかります。
    体外受精はほかの不妊治療にくらべると妊娠率の高い治療法ですが、それでも年齢が上がるほど受精卵はうまく着床しなくなりますし、妊娠後に流産に至ることが多くなります。体外受精では胚盤胞のグレード(見た目)のよいものから移植していくのが一般的ですが、染色体異常を持った受精卵は、顕微鏡で観察しただけでは正常な受精卵と全く区別がつきません。そのため、グレードの高い受精卵を子宮に戻してあげても、着床しないという状況が起こってしまいます。

    「着床前診断を受けてみては? 流産を予防し妊娠の可能性が高まります」~大谷先生

    Question
    着床前診断とは何ですか? どんなことをするの?

    着床前診断は、受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する前に、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる医療技術です。
    体外受精では、卵子と精子が受精すると3日後には受精卵は8分割卵になり、5日目ごろには0.2㎜程度の胚盤胞になります。その段階で、胚盤胞の胎盤になる部分の細胞を数個傷つけずに採取し、次世代シーケンサーという器械にかけ、受精卵の染色体の数に異常がないかどうか調べます。その結果を受けて、胎児として発育できる受精卵だけを子宮に戻すことで、着床率も上がりますし、流産をできるだけ回避することができるのです。

    胚盤胞の細胞を採取して赤ちゃんに影響はないの?

    アメリカでの研究で、胚盤胞まで成長した受精卵から、胎盤になる部分の細胞を数個採取しても、着床率にはほとんど影響を与えないことがわかっています。また、ヨーロッパ不妊学会やその他の研究で着床前診断の新生児への安全性は確認されていますので、安心してください。 着床前診断でデメリットがあるとすれば、体外受精の治療と同様に健康保険が適用されないことでしょう。体外受精の費用に加えて、着床前診断の費用も必要になります。
    また、高齢になるほど移植が可能な受精卵を見つけられない割合も高くなるため、移植ができない場合もふえます。当院の検査を受けられた患者様当たりのデータでは、最終的に移植可能な受精卵が見つからなかった割合は、35才未満は5%、35〜35才は8%ですが、38〜40才になると22%、41〜42才では37%、43才以上ですと69%と、半数以上で移植ができない場合があります。

    着床前診断はどんな人でも受けられるの?

    当院で着床前診断を受けていただく場合は、事前にご夫婦そろって2時間近くかけて遺伝カウンセリングを行ないます。
    不妊治療は、肉体的にも精神的にもストレスがたまるものです。私自身が、不妊で7年間苦しんだ経験がありますから、患者さんの気持ちはよくわかります。なかでも流産は喜びの絶頂から、悲しみの底に突き落とされるようなつらい経験です。ご本人にとってもご家族にとっても、本当に悲しいことだと思います。
    当院では10年以上前から着床前検査にとり組んでおり、数多くの症例経験を通じて、成功率を高めてきました。実際、当院での単一胚移植あたりの着床率は70%強に向上し、流産率は約10%に下がっています。
    「また流産するかもしれない」と不安を感じていたり、なかなか着床しないと悩んでいるかたは、一度ご相談いただきたいですね。

    「受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる技術。当院での着床率は70%強です」~大谷先生

    監修

    お答えいただいたのは

    神戸 ARTレディスクリニック
    院長 大谷徹郎 先生

    1979年神戸大学医学部卒業。1984年神戸大学医学部大学院博士課程修了 医学博士。1995年神戸大学医学部附属病院助教授。2000年大谷産婦人科不妊センタ一院長。2018年4月より神戸ARTレディスクリニックに改称。

     

    採卵や胚移植のあとに体を休めるリカバリールーム。

    白を基調にしたシンプルな待合室。

    診察室とは別のフロアにもキッズルームが。クリニックは三宮駅徒歩すぐのミント神戸15階。受診後にショッピングをすれば気分転換になりそうです。

    患者さんの大切な卵子や精子、受精卵を扱う培養室。最新設備を導入し、日々研鑽を重ねる培養士がそろっています。

     

    神戸ARTレディスクリニック

    住所 神戸市中央区雲井通7-1-1 ミント神戸15階
    アクセス JR「三ノ宮駅」より徒歩1分、各線「三宮駅」徒歩すぐ
    電話 078-261-3500

    https://akahoshi.net/clinic/hyogo/detail315.php

     

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