受精卵着床のベストタイミングを調べて妊娠率UP!【不妊治療専門医監修】|妊活webマガジン 赤ちゃんが欲しい(あかほし)
不妊治療
妊活中の医学的な気がかりには、頼れる専門家からのアドバイスが必要です。
そこで『赤ちゃんが欲しい』読者のみなさんから寄せられた悩みに、不妊治療専門医がお答えします。
今回はタイミング法、人工授精を経て、2回目の体外受精にチャレンジするも、2回ともうまく着床しなかったという女性が相談者です。
着床できる最適な時期を表す「着床の窓」とは? 着床がうまくいかない原因を知るための方法は? 山下湘南夢クリニック副院長 吉田雅人先生が詳しく教えてくださいました。先生の応援メッセージ、受けとってくださいね!
人気連載『教えて先生』より、信頼性が高いとよく読まれているQ&Aをご紹介します。
タイミング法、人工授精を経て、2回目の体外受精に挑戦しました。受精卵を移植することはできたのですが、2回ともうまく着床しませんでした。 先日、妊活仲間から「『着床の窓』を調べてもらったらずれていた」と聞いたのですが、いまひとつ理解できません。
神奈川県/38歳
赤ちゃんが欲しい歴5年
「着床の窓(Window of implantation:WOI)」が開いているのは、排卵して5~7日後くらいの2日間程度といわれています。
これまでは「着床の窓」を知る手段として子宮内膜日付診(組織学的基準に基づく方法)というものが一般的でした。しかしこの検査は痛みを伴い検査結果も一定しないため、最近ではあまり行なわれなくなりました。そして、胚盤胞移植は経験則から排卵後5日目に行なわれるのが一般的です。
この「着床の窓」が開いているかどうかを調べるのが、最近話題のERA検査で、次世代シーケンス法 (高度な遺伝子解析) により着床期に子宮内膜上に発現している236個の遺伝子を同定し、その発現パターンを解析することによって、その人にとって最適な胚移植のタイミングを特定できるようになりました。
従来まではグレードのよい胚盤胞を繰り返し移植し、着床が期待されたものの、妊娠反応が出なかったり、着床してもホルモン値が低く、すぐ消えてしまったりする反復着床不全(RIF)の場合、移植する胚盤胞になんらかの問題があると考えられてきました。
現在は、受精卵が着床できる時期には個人差があることがわかっているので、このようなケースのなかに、移植の時期がその人の「着床の窓」と合っていない可能性も考えられるようになりました。
もちろん、移植胚に問題がある場合が多いので、「着床の窓」だけが理由とは限りませんが、ほかに着床がうまくいかない原因を知るうえでは、ERA検査は有用な検査となりうるでしょう。
当クリニックのデータでは、ERA検査を受けた44名のうち、着床時期が排卵後5日目でぴったり受容期(Receptive)だった人が14名でした。一日早かった受容期前(Pre-Receptive)が16名、12時間早かった人(Early-Receptive)が11名、12時間遅れた人(Late-Receptive)が1名で、約66%の人の「着床の窓」がずれていたことになります。
検査結果を踏まえ、受容期だった人の胚盤胞は通常どおりに移植を行ない、移植最適日がずれていた人は、それに合わせて胚移植を行ないました。
順調に妊娠が継続し、卒業した人も含めると、受容期14名のうち約36%にあたる5名が妊娠。受容期前の人は16名中、25%にあたる4名が妊娠。12時間早かった人は11名中、約45%にあたる5名が妊娠しています。
ERA検査導入後、なかなかうまくいかなかった患者さんで、妊娠、卒業されるかたがふえつつあります。やはりベストの時期に、良好な胚盤胞を戻せれば、良い結果に結びつくのではないかと思います。
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