不妊治療

    クロミッドの効果・副作用・飲み方までくわしく!男性不妊にも使うの?【不妊治療専門医監修】

    公開日:2019.10.31 / 最終更新日:2019.11.05

    クロミッドの効果・副作用・飲み方までくわしく!男性不妊にも使うの?【不妊治療専門医監修】

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    クロミッドは、クロミフェンという薬剤の商品名です。同じような効果を持つ薬としてセロフェン、セキソビットなどがありますが、その中でも不妊治療の現場で最もよく使われている薬です。飲んでいる妊活女子が多いことから、「どんな人が服用するの?」「私に合ってる?」「飲み忘れたときは?」「使いすぎると子宮内膜がペラペラになるってほんと?」など、ソボクな疑問がたくさん。不妊治療専門医にお答えいただきました。

    クロミッドとはどんな薬?

    クロミフェンという薬剤の商品名がクロミッドです。

    クロミッドの効果は「卵胞発育促進」と「卵巣刺激」

    妊娠の仕組みを大まかに説明すると、次のようになっています。

    ①卵巣の中でいくつかの卵胞(卵子を包んでいる細胞)が大きく育つ
    ②最も大きく育った卵胞が十分に成熟すると、中の卵子が卵胞の壁を破って外に飛び出す
    ③飛び出した卵子は卵管で精子と出会い受精する
    ④受精卵は細胞分裂を繰り返し、成長しながら子宮へと運ばれる
    ⑤受精卵が子宮内膜に着床すると、10日ぐらいで妊娠反応が出る

    クロミッドは、妊娠の仕組みのになんらかの問題がある場合に使われます。
    一般的にクロミッドは排卵誘発剤と言われますが、のように卵胞がうまく育たないトラブルにも作用します。その働きは、「排卵誘発」と言うよりも、「卵胞発育促進」と言うほうがしっくりきますね。

    また、クロミッドは排卵障害がなくても使われることがあります。卵胞の発育をしっかり起こしたり、複数個の卵胞の発育を促すのが目的で、これを「卵巣刺激」とよびます。排卵にいわばアクセルを入れてやるイメージです。

    クロミッドがこうした働きをするのは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促すからです。このホルモンがしっかりと分泌されることで、卵胞が十分に育ち、排卵のタイミングになった時にはグンとアクセルがかかってスムーズに排卵されるのです。

    使いやすく、副作用が少ない

    クロミッドは最もよく使われている排卵誘発剤ですが、それにはいくつかの理由があります。

    1日30~60円と安い

    クロミッドの薬価は1錠100円ぐらいです。服用は1日1~2錠ですから、健康保険3割負担の人なら1日30~60円ほどの出費です。不妊治療には多くのお金がかかりますから、この安さは魅力的ですね。
    もちろん、「安いけれど効果がない」では意味がありません。一定の効果が認められるからこそ、広く使われているのです。

    副作用が少ない

    不妊治療では、ホルモン分泌に働きかけるさまざまな薬が使われます。そのため、気分が悪くなったり便秘やじんましんが出たりする人もいます。どんな薬にも副作用の可能性はありますが、クロミッドは副作用が比較的少ない、おだやかに作用する薬です。長い間使われてきた実績があり、大きな副作用のないことがわかっています。

    手軽に使える

    注射には通院が必要です。排卵誘発剤を体に入れるために毎日通院するのは、時間的にも肉体的にも負担が大きいですね。自宅で錠剤を飲むだけのクロミッドは、その簡便さからも広く使われています。

    クロミッドの使い方・いつからいつまで飲むの?

    「使い続けると効果がなくなる」などと言われることがあるクロミッド。いつ飲むのか? どのくらい続けるのか? やめどきはあるのでしょうか。

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    卵胞が育つ時期に飲む

    クロミッドは、卵胞をしっかりと育てて排卵がスムーズに行われるようにサポートする薬。ですから、卵胞が育つ時期である月経開始後5日~9日目に服用するのが一般的です(医師によっては3日目からの服用を勧める場合もあります)。
    卵胞の成熟具合を確認するために、服用後に受診を指示されることもあるでしょう。受診の回数は、それまでの経過や治療のステージなどによって異なります。

    飲み忘れた時は

    クロミッドは、効果が薄れるまでに比較的長い時間がかかります。1日飲み忘れたぐらいなら、大きな問題はありません。治療のステージにもよりますが、2日以上飲み忘れた場合はリセットすることになるかもしれません。

    お酒を飲んでも大丈夫?

    お酒とクロミッドの効果には関係がありません。ビールを飲んだからクロミッドの効果がなくなる、といったことは心配しなくても大丈夫。お酒以外の特定の食品がクロミッドの効果に影響を与えることもありません。

    使い続けると効果がなくなる?

    クロミッドを使い続けても、効果がなくなるわけではありません。
    比較的おだやかな作用を持つ薬ですから、しばらく使って効果が見られない場合は、別の薬に変えたり治療をステップアップしたりということはあります。それが「使い続けると効果がなくなる」と誤解されているのではないでしょうか。
    クロミッドを続けるのが悪いことではないし効果がなくなるわけでもありませんが、続けても意味がない、と判断されることはあるでしょう。

    クロミッドの副作用

    クロミッドに限らず、どんな薬にも副作用の可能性はあります。クロミッドの副作用が、妊活に悪影響を及ぼすことはないのでしょうか。

    一時的に不調が出る可能性はある

    クロミッドを飲むと吐き気がする、頭痛がする、眠気が強くなる、おなかが痛くなる、イライラする、という患者さんは少なからずいます。ホルモン分泌に作用する薬では、このような症状が出ることは珍しくありません。

    医学的にはクロミッドの副作用は強くありませんし、頻度は低く、一時的なものとされています。

    でも、不調の感じ方は人それぞれです。どんなに「軽い副作用です」と言われても、ひどくつらいと感じる人はいるでしょう。つらさからくるストレスは妊活によくありませんから、遠慮せずに医師に相談してください。同じような作用を持つ別の薬に変えるなどの対処ができるかもしれません。

    子宮内膜が薄くなる、頸管粘液が減る

    クロミッドは卵胞の成熟を促すために、エストロゲンというホルモンの働きをブロックします。エストロゲンには、胎児のベッドである子宮内膜を厚くする作用があるので、クロミッドを飲むとこの作用が働かず、子宮内膜が薄くなることがあります。
    「妊娠するための薬なのに子宮内膜が薄くなるのはおかしい。着床しにくくてかえって妊娠できないのでは?」と思っても不思議はありません。
    理屈はその通りなのですが、薬の作用と副作用には複雑な関係があります。効果と不利益を秤にかけながら、できるだけ確率の高い方法を探っていくのが不妊治療なのです。

    飲むとすぐに内膜が薄くなるわけではない

    クロミッドを飲んでも必ず子宮内膜が薄くなるわけではありません。また、すぐに副作用が出てくるわけではなく、連続して何回かの月経周期で使い続けているとその可能性が出てきます。

    薄くなった内膜は元に戻る

    以前は、一度薄くなった子宮内膜は元に戻らないと言われていました。でもこれは間違い。特に1日1錠の服用の場合、クロミッドを飲むのをやめれば問題なく回復します。1日2錠を長期間飲み続けた場合は、まれに戻りにくくなる人がいます。

    こうしたことから、「クロミッドを飲むと子宮内膜がペラペラに薄くなって妊娠できなくなる!」とあわてて心配する必要はありません。頸管粘液が減る副作用についても同様です。効果の出方を見守りながら使い、場合によっては休薬期間を設けるなどしながら、医師と二人三脚で妊活を続けていきましょう。

    卵巣がんになりやすい?

    クロミッドを飲み続けると卵巣がんのリスクが高まる、という報告が出たことはあります。しかし一方で、「高まった卵巣がんのリスクは、ピルを1周期飲めばリセットされる程度」という報告もあります。
    排卵が起きる時には、卵巣の壁が破られて傷がつきます。ですから、排卵の回数が多いほどがんが発生しやすいとは言えるでしょう。でもそれは、クロミッドを飲まない排卵でも同じこと。クロミッドが卵巣がんのリスクを高めるという仮説は、現在では否定されています。

    双子の可能性がやや高まる

    クロミッドを飲むといくつかの卵胞が同時に育って排卵することがあります。それらが受精すると多胎児を妊娠することになりますね。クロミッドを飲むと、多胎児を妊娠する確率が通常の妊娠より5%ぐらい高まると言われています。
    また多胎妊娠の確率は、若い人ほど高い傾向にあります。日本人のデータでは双子が多く、三つ子以上はかなりまれなことになります。

    クロミッドを使ってはいけない人は?子宮筋腫があるけど大丈夫?

    クロミッドを絶対に使ってはいけないのは、乳がんや子宮内膜がんにかかっている人、乳がんや子宮内膜がんの疑いがある人、肝障害がある人、などです。子宮筋腫の人は含まれません。

    婦人科系のトラブルがある人には慎重に投与

    ただし、クロミッドは女性ホルモンの分泌に影響を及ぼすので、婦人科系のトラブルを悪化させる可能性があります。

    子宮筋腫、子宮内膜症、チョコレート嚢胞、卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣症候群などがある場合には、経過を見守りながら慎重に使う必要があります。

    不妊治療では、最初に必ずこうした体のトラブルの検査をします。婦人科系に問題がある場合は、医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。

    排卵障害が強い人には効果がない

    クロミッドは比較的おだやかな作用の薬なので、排卵障害が強い人には効果がありません。こうした人には、別の薬で治療を行います。

    男性不妊の治療にも使うの?

    クロミッドはホルモン分泌に作用する薬です。

    男性不妊の原因はさまざまですが、ホルモンバランスの異常によって精子が少ないケースなどには、クロミッドの効果が期待できます。事実、以前は男性不妊にクロミッドを使うことがありました。しかし現在、クロミッドを男性に使うのは一般的ではなくなっています。

    注射の方が効果的

    クロミッドを飲んで精子が作られるのは、3~4ヶ月先。ですから、女性のように月経周期の5日間飲んで終わり、というわけにはいきません。数ヶ月にわたって飲み続けなければいけないわけで、効率的にも確率的にもあまりおすすめできないのです。
    ホルモンバランスに問題がある男性不妊の場合、ホルモン分泌に作用する薬を週に3回、自己注射する方法がとられることが多いでしょう。テストステロンの分泌や精子の運動を促すもので、数ヶ月にわたってクロミッドを飲み続けるよりも高い効果が期待できます。

     

    まとめ

    通院中によく処方されるのがクロミッド。薬の役割について理解を深め、納得のいく治療を進めたいですね。

     

    監修

    フェニックスアートクリニック

    院長
    藤原敏博先生

    東京大学医学部卒業。医学博士。国際医療福祉大学大学院教授、山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター長などを経て、2018年に開院した現クリニック院長に。日本不妊カウンセリング学会理事長でもあり、患者の思いにていねいに向き合う治療が高い信頼を得ている。体外受精の第一人者として常に最新の情報をチェックし、最適・最短の治療を心がけている。

     

    取材・文/中根佳律子 

     

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