子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫はどんな病気?妊娠できる?【産婦人科医監修】|妊活webマガジン 赤ちゃんが欲しい(あかほし)
不妊治療
女性に生まれたからには、子宮や卵巣トラブルは他人事ではありませんよね。
赤ちゃんを授かりたいあかほし読者さんは、意識したい重要キーワードです。子宮筋腫、子宮内膜症ってどんな病気?トラブルがあっても妊娠できるの?
成城木下病院の木下智恵先生(産婦人科医)に伺いました。
子宮筋腫や子宮ポリープなどのトラブルがあると、 子宮自体の形が変形するので、 受精卵の着床の妨げになることがあります。
子宮内膜症では、それが原因で臓器の癒着が起こることが。また、大きな卵巣嚢腫があることで、卵管の動きが悪くなることもあります。
これらの病名だけ聞くとドキリとしてしまいますよね。 でも、子宮内膜症については、妊活中の女性の10 人にひとりがかかっているという学会データもあるほど、 女性にとっては身近なトラブルといえます。
大事なのは、 トラブルを放置しないこと。 重症化していないから様子見でいいと言われていても、 定期的なチェックは欠かさずに、 主治医と相談しながら適切な治療を進めることが、妊娠への第一歩です。(木下先生)
子宮の筋層にできる良性の腫瘍(こぶ)のこと
月経量が増える、下腹部痛、腰痛など(圧迫症状)、妊娠しにくい
子宮筋腫は子宮筋層にできるこぶで、いわゆる良性の腫瘍です。大きく3つのタイプに分類されます。
【①漿膜化筋腫】は、子宮筋層の外側をおおう「漿膜」付近にできて発達した筋腫。
【②筋層内筋腫】は子宮の筋肉にできる筋腫。
【③粘膜下筋腫】は、子宮の内部をおおう粘膜の近くにできて発達した筋腫。
子宮筋腫ができる原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンのエストロゲンの作用によってできるといわれています。子宮筋腫は良性の腫瘍なので、悪性腫瘍に変化することはほとんどありません。
しかし、筋層内筋腫や粘膜下筋腫のように、子宮の内側に凹凸ができると着床の妨げになることがあるので、切除が必要な場合も。
場所や大きさによって手術かを決定子宮筋腫の大きさや個数が多く、粘膜下筋腫など明らかに妊娠の妨げになる場所にあれば、手術。
粘膜下筋腫が小さい場合は子宮鏡での処置が可能です。小さな筋腫は、とり除いたとたんに自然妊娠するケースもあります。
腹腔鏡手術をした場合は、妊娠にトライする時期は主治医と相談のうえ慎重に進めていくのがいいでしょう。
※手術適応は、手術を行う施設により異なります。大きさや個数の見解も施設ごとに違いがあります。
子宮以外の場所でなぜか子宮内膜が増殖する
月経痛、 骨盤痛 排便痛、 下痢、 性交痛、妊娠しにくい
月経のときに体外に排出されるべき子宮内膜が、なんらかの原因で、腹腔内や卵巣、卵管などで増殖するトラブル。発生する場所で最も多いのは卵巣(チョコレート嚢胞)で、そのほか、卵管やダグラス窩か(子宮と直腸の間のくぼみ)など。
子宮や卵巣以外の臓器に発生することも、まれですがあります。場所によって、月経痛、腰まわりが痛い、排便痛など、違和感や痛みの感じ方にちがいが。
子宮内膜症の原因ははっきりわかっていませんが、月経中にはがれ落ちた子宮内膜の一部が体外へ出ず、逆流して別の場所に移動し、子宮内膜細胞 が増殖するのではないかといわれています。
自覚症状は「痛み」がメイン。子宮内膜以外の部位にできるので、月経量の多さは自覚症状には入りません。
子宮内膜症が不妊の原因になることは多いといわれています。
ピルなどで月経を止めることで女性ホルモンの分泌を抑えて、その間に病巣を小さくすることが改善策です。しかし、不妊治療をしている間は排卵を止めることはできないので、病巣が大きくなったり、症状が悪化した場合は、腹腔鏡での手術が選択肢の一つに。
しかし、チョコレート嚢胞の場合は、手術をすると卵巣機能に影響が出ることがあります。再発もしやすく、何度も手術をすると卵巣へのダメージが大きくなるので、チョコレート嚢胞の対処は慎重に行ないます。
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