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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 妊活ライフ いい「おりもの」は、妊娠可能なサイン【中医学リプロダクティブヘルス】集中特訓#05

いい「おりもの」は、妊娠可能なサイン【中医学リプロダクティブヘルス】集中特訓#05

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妊活ライフ
2021/10/29 公開
2023/05/12 更新

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妊娠したい女性&カップルなら、ぜひ知っておくべき!漢方・中医学による妊活アプローチについて、「学び」を深める連載。妊活を始めたばかりの人も、なかなか妊娠しないと不安な人も、「読むだけ」で妊娠しやすい身体づくりをめざすことができる!そんな妊活の基本をまとめています。

教えてくださるのは中医学講師の張(ちょう) 立也(りつや)先生。『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』編集部とともに、さぁ、授かりに向けて学びのトビラを開きましょう。

第5回のテーマは「おりもの」。日ごろあまり気にかけない人は多く、また、おりものの存在に不快感をもつ人もいますが、妊活を意識している女性にとって、おりものはとても重要な役割を果たしています。

▼これまでの集中特訓はこちら
#01 妊娠したいならまず「体質タイプ」を学ぼう
#02 漢方のベーシック妊活「周期調節法」について知りたい
#03 基礎体温で身体を知ることが妊活の第一歩
#04 月経とうまくつきあって、妊娠できる体質に!

中国の古典にも、おりものについて書かれている

「おりもの(下り物)」は、腟から出る分泌液のことを言いますが、子宮や腟、腺体などから出る粘液や分泌物、古くなった細胞など、いろいろなものがまじっています。

中国の婦人科に関する古典の中では、おりもの(帯下・たいげ)は「精の余り」で、「白帯、胞水、水陰」とも呼ばれ、「清らかな水で、常に女性の陰戸を潤すもの」と書かれています。このように、おりものは、女性のみずみずしさと、おおいに関連があります。

また、「氤氳(いんうん)のとき(排卵期)に、帯下量はふえ、透明で伸びる粘液になることが多い。卵子の成熟のしるしでもある」と記されています。女性の毎月のサイクルの中に必ずある、この氤氳の時期をねらって夫婦生活を持てば、子どもができる、と昔から教えられてきたのです。

月経周期とおりものの変化


月経が終わったあとの低温期、おりものはまだ少なく、さらっとしています。時間が経過すると、卵子の成長とともにエストロゲンの影響で、おりものの量がふえ、徐々に卵白のような透明なゼリー状になります。

このときのおりものは、子宮の入り口である子宮頸管から分泌される頸管粘液が中心です。おりものを親指と人さし指ではさんで伸ばしたときに、10mm(1cm)以上伸びるようなら、エストロゲンの分泌もピークで、排卵が近いと考えられます。

排卵後の高温期(黄体期)には、おりものの量は少なくなり、それまで透明だったものが、白濁した状態に変わっていきます。ねばりけも徐々になくなります。下着についたときには、黄色っぽく見えることもあります。月経前まで減少がつづき、月経直前になると少し量がふえることも。

もし妊娠した場合には、妊娠を維持するホルモンが多量に分泌される影響で、水っぽい状態のおりものが、排卵期と同じくらい多く出るようになります。妊娠が成立しないで、いつものように月経が始まるときとは、おりもののようすが違うことに気づく人もいるかもしれません。

中医学では、月経の日数とおりものの日数には、一定の法則があるともいわれます。月経の日数が「7・5・3」なら、おりものを感じる日数は「5・3・1」です。つまり月経が7日間あるときは、おりものを感じる日数が5日、月経期間が3日でも、少なくとも1日はおりものを感じる日がある、という説です。

おりものの役割は主に2つある

ふだん女性の腟内は酸性に保たれています。おりものも排卵期以外は酸性で、外部からさまざまな雑菌が腟内に入るのを防ぎ、腟内を清潔に保ちます。

一方、排卵期のおりもの(頸管粘液)は、酸性度が低く、腟内はアルカリ性に傾きます。そのため、酸に弱い精子が子宮内に入るのに有利な状況になります。精子は豊富なおりものの中を、ちょうど海を泳ぐように進んでいきます。この時期のおりものを顕微鏡で見ると、縦の筋状の模様が見られます。精子はこの縦のトンネルの中をくぐりぬけ、子宮に向かっていくのです。

おりものが十分に分泌されず、頸管周辺が乾燥していると、精子は子宮内に入ることができず、そこで死んでしまいます。不妊治療で排卵誘発剤(クロミッドなど)を多用していると、頸管粘液が減ることは、よく知られています。

おりものが少ないのは、いい排卵がないことと同じ


ふだんのおりものの量には個人差がありますが、月経のサイクルにしたがって量に変化があるようなら、正常と判断してさしつかえありません。おりものが少ないと不安なときは、トイレで清潔にした指を奥まで入れて、子宮口にふれてみましょう。それでねばねばしたおりものがあることがわかれば大丈夫。

しかし、自分でおりものが出ていることを感じられないようなケースは、妊活ではかなり問題があります。おりものは妊娠のための潤滑剤で、精子の通過を助けるものです。妊娠のグッドタイミングの把握のためにも欠かせません。おりものが少ないのは、卵がきちんと成熟していないことを示しています。

また、年齢が上がるにつれて、おりものの量は減少する傾向があります。40代以降でおりものが減るのは「腎虚」「脾虚」の状態で、妊娠に必要な「精」が少なくなる兆候です。

おりもののトラブルは「湿邪」と関係している

おりものは正常なときは無臭透明ですが、色がついたり、においが強くなったり、急に量がふえたりすることがあります。

中医学では、おりものに問題があるのは、ほとんどの場合「湿邪(しつじゃ)と関係していると考えています。不規則な食事や疲労、ストレスなどが原因で、胃腸の機能が低下すると、水分を全身に運ぶことができなくなり、体内に余分な水分や汚れが停滞し、「湿邪」が生まれます。おりものの異常だけでなく、疲労感や食欲不振、下痢、むくみなどの症状があらわれることもあります。

余分な水分が停滞する「湿邪」の状態が長くつづくと、熱をおびて「湿熱(しつねつ)」が発生することがあります。この場合のおりものは黄色みや赤みがあり、ねばりけやにおいが強くなります。

婦人科系の炎症によって、おりものに異常が出ることも

おりものに青緑の色がついたり、白いカスのようなものがまざるときは、細菌感染が起こっていることがあります。外陰部のかゆみが強かったり、発熱や下腹部痛が出ることも。これら、カンジダなどの細菌による腟炎や膀胱炎、卵管炎などが原因で、おりものに異常が見られることは少なくありません。おかしいなと思ったら、早めに病院を受診して、対処しましょう。

おりものの状態の改善に役立つ漢方は

病院で検査を受けて、特に問題がなければ、おりものの異常は体内の不調が原因と考えられます。そのときには体質に合った漢方薬を服用して、積極的な改善を心がけましょう。

おりものの量や色を正常に戻すとき、重要なのは「補腎」「健脾」です。加齢とともに衰える「腎」の機能を養い、また余分な「湿」をとり除いて、弱った「脾」をいたわることがたいせつです。どれを用いるのがよいかは、体質や症状によっても変わるので、くわしくは、漢方薬局で相談することをおすすめします。

 【おすすめの漢方薬】
イスクラ双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)

ロクジョウやニンジンなど動物・植物計14種類の生薬を配合した丸剤。プラスチック製の容器に入れ蝋封したものです。虚弱体質、肉体疲労、病後の体力低下、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症の場合の滋養強壮を目的としています。6丸。

イスクラ健脾散エキス顆粒(けんぴさんえきすかりゅう)

ニンジン、サンヤク、ビャクジュツなど10種類の植物性生薬から抽出されたエキスを顆粒としたもの。体力虚弱で、胃腸が弱く、痩せて顔色が悪く、食欲がなく下痢が続く傾向があるかたの食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、疲労倦怠、消化不良、慢性胃腸炎に。90包。

イスクラ瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)

中国の医書に収載されている竜胆瀉肝湯に基づいて製造された漢方製剤。リュウタン、オウゴン、サンシシなど9種類の植物性生薬から構成されています。体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるかたの、排尿痛、残尿感、尿のにごり、おりもの、頻尿に。90包。

イスクラ瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)

六味地黄丸にチモ、オウバクを加えた処方で、8種類の生薬から抽出したエキスを丸剤にしたもの。体力中等度以下で、疲れやすく、胃腸障害がなく、口渇があるかたの、顔や四肢のほてり、排尿困難、頻尿、むくみの改善を目的としています。360丸・720丸。

日常生活も見直して快適に


おりものは健康のバロメーターでもあります。おりものの自浄作用が低下すると、腟炎などの細菌感染が起こりやすくなります。睡眠不足やアンバランスな食事を避け、しっかりと体力を養いましょう。「湿邪」は「陰」にあたるので、身体を冷やさないようにすることもたいせつです。

おりものが気になるときは、通気性のいい素材の下着を選び、むれを防ぎます。市販のおりものシートを使うなら、つけっぱなしにせず、まめに交換して、常に清潔な状態を保つように心がけます。

においが気になるからと、外陰部を洗いすぎてしまうことがありますが、腟内を守る菌が少なくなると、かえって雑菌が繁殖する原因に。石けんなど刺激の少ない洗浄剤を選び、ひんぱんに洗いすぎないように気をつけて。

漢方では、菖蒲は胃を健やかにし、邪気を発散する薬草として使われています。アロマテラピー効果も期待できるので、ときには菖蒲湯をゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

自分のおりものを、毎周期チェックしましょう


あなたのおりものは、毎回ちゃんと出ていますか? 月経と月経の間に、1~3日間くらい、卵白のように透明で、ねばりけのあるおりものを感じることができますか?

月経は、今回は妊娠しなかったという残念な信号ですが、正常なおりものは、排卵を知らせてくれるうれしいサインです。自分のおりものの状態や変化に関心をもてば、より妊娠に近づけます。もし、これまであまり気にしていなかったのなら、これからはぜひおりものに注目してください。

ご紹介した漢方薬は、日本中医薬研究会の薬局・薬店で購入できます。症状や体質は一人ひとり異なりますので、薬局・薬店でよくご相談のうえ、お求めください。

お問い合わせ先/イスクラ産業株式会社
お客様相談室 03-3281-3363(土日祝日を除く)
お近くのお店を探すことができるサイトも便利!https://chuiyaku.or.jp/

▶次回の集中特訓【月経痛&PMS(月経前症候群)とじょうずにつきあう#06】はこちら

取材・文/山岡京子

教えてくれたのは
教えてくれたのは

中医学講師。中国・遼寧中医薬大学卒業。同大学に医師、大学講師として勤務。1996年に来日し、埼玉医科大学にて医学博士号取得。日本中医薬研究会講師。不妊カウンセラー。著書に『中医非薬物療法の基礎と臨床』など。やさしくも的確なアドバイスにファン多数。

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