【第8回】仕事と治療の両立。みんなが望む妊活サポートって?|最新妊活レポート

最新妊活レポート

第8回

仕事と治療の両立。みんなが望む妊活サポートって?

不妊治療をする人にとって、悩ましいことの一つが、仕事と治療の両立。

あなたは、どうしていますか?

不妊当事者の団体であるNPO法人Fine(ファイン)が「仕事と治療の両立についてのアンケート」を実施し、2265人の声を集めました。

それによると、2152人の不妊治療経験者(全体の95%)の92%が「仕事と治療の両立が困難」と感じているという結果に。

やはり・・・というのが、正直なところでしょう。こうして数字にすると、圧倒的な数に驚くと同時に、あらためて納得します。

つまり、みんな、本当に治療と仕事の両立に苦労しているのです。

特に体外受精・顕微授精をしている場合、高額な治療費を捻出するためにも仕事を続けたいという人が多いもの。

しかし、この治療では、注射や卵胞チェックのために何度も通院したり、採卵や胚移植の日程は直前まで決まりません。当初の予定とそのときの治療の流れ、これに仕事のスケジュールを調整するのは、大変なことです。

そして、1回目の治療で妊娠するとは限らず、何度も治療を繰り返して、治療が長期化することも。

ますます治療費が必要になるのに、通院のために遅刻や早退・欠勤を重ねて、職場で居心地が悪い思いをする人も少なくないでしょう。

最近では、不妊治療について休暇や治療費の融資などの支援を行なう企業もありますが、まだまだ少数派。

Fineの調査でも、「職場に不妊治療のサポート制度がある」と回答した人は、約6%にとどまりました。

また、調査で「仕事と治療の両立が困難」と感じた人のうち、治療との両立で就業状況に変更があったのは、4割以上にあたる836人でした。その内訳は、退職527人(63.0%)、転職121人(14.5%)、休職104人(12.4%)、異動84人(10.0%)。

その理由について聞いています。

就業状況が変わった理由は何ですか?
(n=836人、複数回答)

通院回数が多い

568人

診察・通院に時間がかかる

534人

精神的に負担が大きい

446人

治療をしながらでは、責任のある仕事ができない

386人

体力的に負担が大きい

335人

職場で治療に対する協力やサポートを得づらい

333人

職場で治療に対する理解を得づらい

303人

その他

54人

*NPO法人Fine「仕事と治療の両立についてのアンケート」(2015年)より。

●当事者が求めるサポートは、意外にも・・・

では、当事者は具体的に、どんなサポートを求めているのでしょうか。

職場からどのようなサポートが欲しいですか?
(n=1,385人/1,385人、複数回答)

休暇・休業制度

1045人

就業時間制度

1029人

治療費の融資・補助

659人

再雇用制度

399人

支援要員の雇用制度

318人

情報提供や啓発活動

285人

カウンセリング機関の設置

163人

その他

29人

*NPO法人Fine「仕事と治療の両立についてのアンケート」(2015年)より。

アンケートでは、時短勤務やフレックスタイム制、雇用形態の一時変更といった、フレキシブルな就業・雇用環境を求める人が多いという結果でした。

そして、該当する設問の自由記述欄には、400以上ものコメントが寄せられています。

それを読んでいくと、実は新たな制度よりも、「有給休暇を利用できる職場」「時短・フレックス制度の利用」、そして「長時間労働の是正」といった声が多いことがわかりました。

つまり、現在の職場環境を改善することで達成できる要望も多いということ。また、現状の制度を気兼ねなく使うことができる環境が望まれています。

さらに、不妊や不妊治療への理解を深めるための管理職研修や全社的な教育の機会を望む声も多かったといいます。

確かに、「なぜ、そんなに何回も通院するのか?」「1回で成功しないのか?」といったことも、不妊治療やそれによる妊娠率などを知ってこそ、わかること。

自分たちカップルにとっては、不妊治療についてちゃんと理解することが、納得して治療を受けることのポイントになります。

そして、周囲にとっては、不妊(治療)について正しく理解することが、サポートへの第一歩といえるでしょう。

このアンケート結果を発表したところ、早速、日経新聞や産経新聞、共同通信など、多数のメディアで取り上げられました。多くの人に、現状を知るきっかけになったことでしょう。

また、Fineでは、この結果を添えて国に要望書を提出する予定。アンケートという形で集まったたくさんの声が、当事者団体を通して国へと届けられます。個人で訴えたいと思っても、なかなかできないこと。

ひとり一人の思いを集めて国と社会へ届ける、Fineの今後の動きにも要注目です。

NPO法人Fine(ファイン)

「仕事と治療の両立についてのアンケート」

・設問
https://j-fine.jp/cgi-bin/mail/mail.cgi?id=shigoto

・結果
http://j-fine.jp/activity/enquate/shigoto_anke2015.pdf

・プレスリリース
http://j-fine.jp/prs/prs/fineprs_ryoritsu1508.pdf

これまでのアンケート調査の一覧
http://j-fine.jp/activity/enquate/index.html

Profile

高井 紀子

編集者&ライター。自らの不妊経験を生かし、2000年より不妊に関する単行本やムック、雑誌、ウェブサイトなどの編集・執筆等を手がける。趣味は温泉めぐりと空を眺めること。不妊体験者を支援する「NPO法人Fine」スタッフ。