【第10回】ステップアップ? ステップダウン? 治療の考え方|最新妊活レポート

最新妊活レポート

第10回

ステップアップ? ステップダウン? 治療の考え方

●不妊の原因や年齢によって治療の選択肢は変わる

不妊治療では、タイミング法、人工授精、体外受精・顕微授精と、段階的に治療を進めていくことを、治療の「ステップアップ」といいます。

タイミング法は、妊娠しやすい排卵日を推測して性交渉を持つこと。
人工授精は、マスターベーションで採取した精液を病院で処理してから、子宮に注入する方法。
体外受精は、精子と卵子を体外でいっしょにして、受精した受精卵を子宮に戻す(胚移植)方法。
顕微授精は、顕微鏡を使って1個の精子を卵子に直接注入する方法。

不妊治療は、基本的には精子と卵子を出会いやすくするものです。

タイミング法や人工授精では、精子と卵子が受精したかどうかはわかりませんが、体外受精・顕微授精は受精卵を子宮に戻すので、タイミング法や人工授精より妊娠率は高くなります。

年齢や不妊期間などにもよりますが、一般的にはタイミング法を3~6回、人工授精を3~6回トライした後、体外受精へのステップアップを提案されることが多いようです。

しかし、最近はステップアップにこだわらずに最初から体外受精を選ぶ人も多く、また、治療を「ステップダウン」するケースも。

「できれば自然に」と望んでも、両方の卵管が詰まっている、精子の数が極端に少ないといった場合には自然妊娠はむずかしく、体外受精や顕微授精が第一選択肢になることもあるのです。

また、精子の数が極端に少ない場合、顕微授精をすることが多いのですが、その原因が精巣につながる静脈にこぶができる精索静脈瘤であれば、手術により精液検査の結果がよくなるケースが考えられます。
第一子は体外受精・顕微授精をしたとしても、第二子は人工授精に切り替えられる場合があり、これも治療のステップダウンといえます。

まずは、女性も男性もちゃんと検査をすることが大事です。

●妊娠しやすい時期に可能性の高い治療にトライする

体外受精では、女性の年齢が若いほど妊娠しやすく、年齢が上がるほど妊娠率は下がり、流産率が上がります。

年齢が高い人はタイミング法、人工授精を短期間にして、あるいは飛び越して、体外受精を行なうことも。妊娠の可能性の高い治療を優先するという考え方です。

また、妊娠しやすい若い年齢のうちに体外受精にトライする、という考え方もあります。

体外受精を何度か繰り返すことになれば、その間は人工授精やタイミング法をとり入れることも可能です。

体外受精のメリットの一つには、卵子の状態や精子と卵子が受精するかなど、今までの検査ではわからない不妊原因が見つかることも。
もしも受精しなかったら、次回は顕微授精を選ぶことができるのです。

また、複数の受精卵ができれば、凍結して、次周期以降に胚移植することができます。

妊娠・出産すれば、二人目の妊活は凍結しておいた受精卵を戻すことが可能です。

体外受精・顕微授精を受けると、国と自治体による「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の助成金が申請できます。

助成金額は1回の治療につき15万円まで(採卵を伴わない凍結胚移植は7.5万円まで)、平成26年以降に新たに申請をする場合は、妻の年齢が40歳未満のときには通算6回まで助成を受けられます。
(*平成28年4月1日から助成範囲・回数が変わります。下記のHPを参照)

この助成を受けられる年齢を考えて、早めに高度治療をしようという人も。

とはいえ、いきなり体外受精をするのは、心理的にハードルが高いのもたしか。
身体的・経済的に負担の大きい治療ですし、妊娠率が高いとはいえ若いカップルでは治療費の捻出もたいへんかもしれません。

クリニックの説明会を利用したり、医師の説明をよく聞いて、夫婦でしっかり話し合い、納得した上で治療を進めることが大事です。

不妊の原因はカップルごとに違いますし、夫婦の年齢やどこまでの治療を望むかなど、考え方も人それぞれ。
そうした点をふまえながら、今後の妊活を計画してみては。

もちろん、プランは途中で変更も可能です。

医師からステップアップの話が出なければ、こちらから聞いてもいいですし、ステップアップを進められても、納得できなければ無理にする必要はないのです。

不妊治療に限りませんが、これまで常識と思っていたことは、実は自分の思い込みかも。
正しい情報を得ながら、自分たちらしい妊活をしていきましょう。

◆不妊に悩む方への特定治療支援事業(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/shien/

◆制度改正周知に関するページ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000039733.html

Profile

高井 紀子

編集者&ライター。自らの不妊経験を生かし、2000年より不妊に関する単行本やムック、雑誌、ウェブサイトなどの編集・執筆等を手がける。趣味は温泉めぐりと空を眺めること。不妊体験者を支援する「NPO法人Fine」スタッフ。