多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵胞が育たず排卵が起こりづらくなる症状のこと。
原因はいまだ解明されていないことが多い多嚢胞性卵巣症候群だけど、上手に付き合えば妊娠の可能性は大いにあります!

多嚢胞性卵巣症候群の症状について

多嚢胞性卵巣症候群は「排卵障害につながる原因」の一つです

卵巣には生まれる前から卵子のもととなる原始卵胞があります。思春期以降、卵巣内で成熟して育った卵胞から卵子が飛び出して排卵し、月経が起こります。しかし、多嚢胞性卵巣症候群の場合は、「卵胞が成熟することができず排卵が起こりにくい状態」が続くので、卵巣の中には、排卵されずにいる途中まで発育した卵胞で覆われていまいます。

多嚢胞性卵巣症候群は病気ではなく生まれもっての体質ですが、排卵障害につながる原因の一つなので、適切な治療が必要。ただ、多嚢胞性卵巣症候群ははっきりとした原因がわかっていないので、排卵誘発を試みながら上手に付き合っていくことが、多嚢胞性卵巣症候群で妊娠する方法です。

【正常な卵巣】

毎月生理が近づくと、ホルモンの刺激によって卵嚢の中で原始卵胞が成長。卵胞は20mmほどに成長すると卵巣からエストロゲン(卵胞ホルモン)が、脳からは黄体化ホルモン(LH)が分泌され、十分に成熟した「主席卵胞」の中の卵子が卵巣の外に飛び出します。

【多嚢胞性卵巣症候群の卵巣】

卵胞は発育するものの、一定以上の大きさには成熟せず小さいままで排卵できない状態。卵巣の中には排卵できないでいる卵胞がたまってしまい、卵巣全体も大きくなります。排卵が起こらないので、月経周期が長かったり不規則だったり、全く月経がこないケースも。

多嚢胞性卵巣症候群になる原因と受診の目安について

【原因】

まだはっきりとはわかっていません

多嚢胞性卵巣症候群は、生殖年齢の女性の6~21%に見られる症状。原因ははっきりとは解明されていませんが、内分泌の異常や、遺伝的な糖代謝の異常などが原因として推測されています。体内で血糖値を一定にするインスリンが、分泌はされているけれどそれに対する作用が低い“インスリン抵抗性”が関連しているといわれていますが、まだ研究段階です。

【受診の目安】

月経周期が長い、二相でないなら受診を

多嚢胞性卵巣症候群の兆候として自分で判断できるのは、月経異常です。排卵しにくいため月経周期が長い稀発月経だったり、基礎体温が二相にわかれず一相になっていたり、また、まったく月経がこない場合も。このようなケースが当てはまる人は、クリニックを受診したほうがいいでしょう。

多嚢胞性卵巣症候群の検査と治療について

【検査】

血液検査、超音波検査で見つかります

問診でこれまでの治療歴や月経周期について、基礎体温表などをチェック。その後、超音波検査や血液検査で多嚢胞性卵巣症候群かどうかを調べます。腟から細いブローブを入れて卵巣の中を確認する超音波検査をすると、多嚢胞性卵巣症候群だった場合、卵巣の外側に未熟卵胞が並んだ「ネックレスサイン」が見られます。

ネックレスサインとは?

多嚢胞性卵巣症候群の人が超音波検査をすると、卵巣の表層部(いちばん外側)に10mm以下の育ちきらない原始卵胞が12個以上並んで見えます。これがネックレスのように見えるため、「ネックレスサイン」と呼ばれています。

【治療】

正常な排卵を促すため排卵誘発にトライ

排卵誘発剤で成熟卵の排卵を促し、タイミング法や人工授精にトライ。多嚢胞性卵巣症候群の場合、排卵誘発剤はクロミッドよりフェマーラが有効といわれています。排誘発剤による過剰反応で卵巣が腫れたり(卵巣過剰症候群)、注射を多く使わなければいけない場合などは、卵胞の発育をコントロールできる体外受精に進みます。

多嚢胞性卵巣症候群は生まれもった体質。この体質と上手に付き合いながら適切な治療を受ければ妊娠は可能なので、悲観しないことが大事。また、よりよい卵子を育て排卵を促すには、生活習慣や食生活の見直し、なるべくストレスを軽減するような過ごし方もたいせつです。

医療法人社団JWC
陣内ウィメンズクリニック

理事長 陣内彦良先生

千葉大学医学部卒業。ニューヨーク・アルバート・アインシュタイン医科大学内分泌研究員。2003年に東京・自由が丘に「陣内ウィメンズクリニック」開院。「笑顔あふれる妊娠希望治療を」の信念から、ストレスをやわらげ、リラックスできる治療体制に心をくだく。陣内先生総監修の『妊活 治療と生活アドバイス』(主婦の友社)も絶賛発売中。