体外受精の「自然周期採卵」「低刺激周期採卵」とはどんな治療ですか?【Natural ART Clinic 日本橋】
これから妊活をはじめる人、はじめたばかりの人にとって、今やるべきこと、これからとり組んだほうがいいことなど、分からないことだらけ。
妊活の気になる疑問やお悩みを、ドクターや専門家にお答えいただきました!
お答えいただいたのは…
Natural ART Clinic 日本橋(東京都中央区)
院長 長田 尚夫 先生
1979~81年ドイツマインツ大学でmicrosurgeryによる卵管形成術、体外受精、腹腔鏡手術を習得。1984年国内4人目の体外受精児の誕生に成功して以来、日本の生殖医療の黎明期より第一線で治療にあたる。日本大学医学部卒。日本大学教授、加藤レディスクリニック、Shinjuku ART Clinic院長をへて、2016年よりNatural ART Clinic日本橋院長に就任。現在、加藤レディスクリニック顧問。日本受精着床学会理事、Intl.Assoc.A-PART理事長、世界体外受精学会顧問、日本生殖医学会認定生殖医療専門医など。
Q1.体外受精の「自然周期採卵」「低刺激周期採卵」とはどんな治療ですか?
A1.自分のホルモンの働きを生かした、体にやさしい治療です
〝保険診療による体外受精〞を優先的に行います!
地下鉄日本橋駅改札B6に直結しているNatural ART Clinic 日本橋は、高島屋隣のビル8階にあります。当院では、これまで自費診療と保険診療による体外受精を行ってきましたが、患者様のご要望に沿って保険診療を優先的に行うことになりました。
タイミング指導、ヒューナーテスト、人工授精などの一般不妊から、出来る限り薬や注射を少なくし体に負担をかけない自然周期採卵または低刺激周期採卵を行い仕事と不妊治療が両立する治療を行っております。また精子に問題がある場合には、顕微授精や精巣内精子採取術(日帰り手術)など高度な生殖補助医療を行います。
なお保険診療には、年齢制限や移植回数制限などがありますが、患者様には出来る限り保険期間内で身体的、経済的、時間的にご負担をかけないで妊娠できるよう最短ルートによる治療をクリニックのモットーとしております。保険診療の適応外の患者様や保険診療では十分な効果が期待できない患者様には、ご理解を頂いた上で自費診療による本院独自の体外受精を行います。
〝小卵胞〞に注目し、自然周期・低刺激周期の弱点を克服!
自然周期採卵・低刺激周期採卵の問題は、高刺激周期採卵に比べて採卵数が少ないことですが、この問題を解決したのが、世界に先駆けて開発した〝小卵胞採卵〞による体外受精です※1。
本法は、高刺激周期と同等の採卵数が得られることから画期的な技術として世界からも注目されております。通常、採卵の対象となる卵胞は、13〜15㎜以上の大きさですが、当院では、細い採卵針を用いて3〜4㎜から12㎜の小卵胞からも採卵します。
HMGなどの排卵誘発剤は、本来、排卵障害のある人に排卵を起こす目的で使いますが、排卵誘発剤を多量に使用しても卵子の数は増えるわけではありません。採卵に排卵誘発剤を用いる目的は、小さい卵胞を大きくして採卵し易くするためですが、採卵後の会併症として腹水貯留や卵巣肥大を伴う卵巣過剰刺激症候群や出血などの重症な合併症を誘発することがあります。
当院が行なっている自然周期採卵・低刺激周期採卵は、このような合併症はほとんどありません。よって毎月の採卵も可能です。また採卵には、細い針を使用しますので麻酔は原則的に不要で採卵後の安静時間も30分間程度です。
革新的な技術である“小卵胞採卵”は世界的に脚光を浴びており、海外の不妊治療施設から医師や培養士が数多く来訪。培養室やコンピューター化された診察室などの設備にも驚きの声が上がるそう(写真は、デンマークProf. Lindenbergを囲んでの交流会)
胚盤胞まで培養して移植妊娠の最短ルートを目指す!
移植には、分割卵移植と胚盤胞移植があります。「採卵した卵の多くは、受精し分割卵になりますが、この時点では妊娠できる卵かどうかはわかりません。
たとえば高刺激周期採卵で10〜12個の卵を採卵できたとすると、およそ7〜10個は分割卵になります。これを全て凍結して移植していたら時間的、身体的、経済的負担は計り知れません。
分割卵移植の生産率は、35歳以下で16.1%、35〜37歳で14.4%、38〜40歳で8.0%、41〜42歳で2.3%、42歳以上では0%というデータがあります※2。
当院では、赤ちゃんになる可能性が低い分割卵移植は原則行わず、赤ちゃんになる可能性が高い胚盤胞まで培養してから胚盤胞移植(生産率50〜60%)を実施しております。短期間で妊娠を引き寄せるためには、治療方法を見極めることが大切です。
顕微授精は、1,000倍の高倍率で行うイムジーで実施している。
最適な採卵のために365日、年中無休で診療!
当院は、最適な採卵のタイミングを逃さないために、365日年中無休で診療にあたっております。自然周期をうたう施設でも年間約120日ある休日に採卵しなければ、最適な採卵時期を逃してしまうことになります。
自然周期採卵では最適な採卵のために採卵日を変えることはしません。薬によって排卵をコントロールするのではなく、医療が患者様の体に寄り添うことが必要だと考えています。
妊娠率を上げるための最新の検査と治療
不妊治療は、体外受精の成績向上のために、経験豊富なスタッフがきめ細やかな検査・治療を行います。
慢性子宮内膜炎:CD138検査が陽性の場合は、抗菌剤(ビブラマイシンなど)を2〜6週間服用することが一般的です。
当院では、慢性子宮内膜炎の原因は、細菌性でないことを突き止め、抗菌剤は一切使用せず、腹腔鏡手術によって原因を取り除く根本的な治療を行っております※3。
卵管水腫・子宮内膜症:移植の成否を左右する大きな因子です。クラミジアの治療歴がある、帯下が多い(シート常用)、生理痛が強い、嚢腫・筋腫・子宮外妊娠などの手術歴があるなどの場合には、子宮卵管造影やMRIを行い、着床障害・不育症の原因になる卵管水腫・卵管癒着・子宮内膜症などがあれば腹腔鏡検査を行います。
腹腔鏡検査・子宮鏡検査と手術:不妊原因がわからない場合、排卵があってヒューナーテストが正常な場合、何回移植しても妊娠しない場合(反復着床不全)、妊娠しても流産してしまう(反復流産)などの場合には、卵管水腫や卵管周囲癒着などを合併している可能性が高く腹腔鏡検査や子宮鏡検査が必要となります。
腹腔鏡検査によって異常を認めた場合には、同時に腹腔鏡下手術(卵管開口術、癒着剥離術、子宮内膜症除去術など)を行い、不妊原因を取り除くとともに子宮内の着床環境を正常に取り戻します。
卵管水腫の子宮卵管造影所見
仕事と治療の両立には自然周期・低刺激周期による採卵を
体外受精による不妊治療は、妊娠までに時間がかかり仕事と治療の両立は困難になる可能性があります。刺激周期採卵の通院日数は、ホルモン注射のために自然周期採卵に比べ2-3倍と多く、また卵巣肥大や腹水貯留など予期しない合併症や出血のために予定外の休みが必要になる場合もあります。
私たちが行なっている自然周期採卵の通院日数は、注射の回数が少ないことから採卵から移植まで4日~7日程度です。
さらに、私たちは、365日無休で診療を行なっておりますので、1年間で約120日ある土日祭日を利用すれば、更に短い通院で体外受精が可能となります。自然周期採卵による体外受精は、仕事と治療を両立させる為の理想的な方法であると言えます。
参考文献
※1 S Teramoto. Fertil Steril. 2016, 106:113‒8.
※2 P Patrizio. 2009, 91: 1061‒6.
※3 H Osada. Eur. J. Obstet. Gynecol. Reprod. Biol. 2023, 284: 143‒9.
Natural ART Clinic 日本橋(東京都中央区)
明るい陽射しが差し込む広々とした待合ロビー
住所
東京都中央区日本橋2-7-1東京日本橋タワー8階
問い合わせ
03-6262-5757
アクセス
東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線「日本橋駅」 B6出入口直結、JR線・東京メトロ丸ノ内線「 東京駅」日本橋・八重洲北口より徒歩10分。
ビル地下に有料駐車場あり。
公式HP
https://www.naturalart.or.jp
時間
月/8:00~12:00
火/8:00~12:00、15:00~18:00
水/8:00~12:00、15:00~18:00
木/8:00~12:00、15:00~18:00
金/8:00~12:00、15:00~18:00
土/8:00~12:00
日/8:00~12:00
祝/8:00~12:00
年中無休
年末年始・ゴールデンウィーク・お盆期間は午前診
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