「肥満の改善に注力。栄養指導や漢方薬などを使い、多様なニーズに合わせた診療方針を提案します」川越レディースクリニック/飯野好明先生【クリニックpick up】
2025年6月に開院した川越レディースクリニックは、川越駅西口から徒歩2分、ペデストリアンデッキ直結で雨の日でも傘をささずに受診できます。一般不妊治療のほか、婦人科疾患や更年期障害の治療も行い、「長期的な視点で女性の一生に向き合いたい」と話す飯野好明院長にお話を伺いました。
川越レディースクリニック
飯野好明 院長

1985年大分大学医学部産婦人科入局。埼玉医科大学総合医療センター助手、帝京大学医学部講師、上尾中央総合病院産婦人科部長などをへて、2025年6月より現職。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。
Q1.飯野先生が生殖医療を目指したきっかけは?
A.医師になりたてのころにスタートした生殖医療の先進性に魅力を感じて
今から30年以上前、大分大学医学部産婦人科にいたころは、生殖医療がスタートしてそれほど経っていない時期。所属していたグループで大分県での体外受精第1号が行われたころでもあり、その先進性に惹かれました。
当時は、経膣超音波の機械が今の3倍くらいの大きさで、外来から病棟まで、その大きな重い機械を運んでいたのが思い出です。
その後、埼玉医科大学総合医療センターに勤務し始め、自ら体外受精を行いたいと手を挙げました。年間数百件の採卵を1人で行なっていましたが、そのころはまだ胚培養士さんもいなかったので、採卵→受精→培養までを自分で担っていました。
Q2.川越レディースクリニックといえば?アピールポイントを3つ教えてください
ポイント①多様なニーズに合わせた診療スタイル
生殖医療がスタートしてから30数年、患者さんのニーズがどんどん変わっているのを肌で感じています。当院では、変化しているニーズをしっかりとらえて、それに合わせてアップデートした医療を提供していきたいと考えています。
ポイント②ヘルスケア用品も含めた多様な診療方針を提案
国が定めた診療ガイドラインがベストな診療かというと、そうではないこともあると思っています。
保険適用にならないヘルスケア用品にも優秀な商品は多いので、そういうものもあることをご提案しながら、より効率よく患者さんの要望をかなえるような診療をしていきたいです。
ポイント③多彩なパラメディカルスタッフが在籍

診療以外の多様なサポートも行いたいと思い、栄養士やカウンセラー、助産師など、さまざまなスタッフをそろえました。そうしたスタッフの力を集めて、今までおざなりになっていたような部分をもう一度見直していきたいと考えています。
今、一番力を入れているのは〈肥満の改善〉です。女性の肥満は妊娠しにくい、流産しやすい、妊娠しても難産になりやすいなどの理由から改善すべきというのはこれまでも言われていましたが、2025年の4月には、男性も肥満が不妊につながるため、改善に力を入れていこうと正式に発表されています。
ですが、「やせなければダメ」と言われただけでやせられる人なんていませんし、肥満は本人が悪いのではなく肥満因子のせいです。ですから、「肥満はホルモンの分泌にかかわって妊娠や分娩に影響する」ことに気づいていただいて、ここからは「ちょっと人生を変えてみましょう」とお伝えし、栄養士による栄養指導やダイエットに効果のある薬物治療を行っています
栄養指導は初診の月に2回ほど、その後は患者さんの状況を見ながら、不妊治療と並行して行っています。診療がないときはオンラインでの栄養指導もしているので、それだけのために来院していただく必要はありません。
それから、ホルモン異常で不妊治療をしていて妊娠・出産した場合、産後にまた生理不順に悩むことも少なくありません。当院では、妊娠された際に「出産後もホルモン状態を管理したほうがいい」とお伝えしています。産後に受診されたときには、乳腺炎を起こしているなど乳腺の悩みを抱えていることもあるので、その場合には助産師からアドバイスをしています。
Q3.飯野先生の趣味やストレス解消法は?
A.週1~2回のスイミングでリフレッシュ

週に1~2回、30分ほどジムで泳ぐことです。50歳のときに「五十肩」になり、手術ができないくらい手が上がらなくなってしまいました。たまたま、そのころよく会っていた友人がスイミングのインストラクター並みの実力の持ち主で、その友人からスイミングの「トータルイマージョン泳法(TIスイム)」を教わって、今も楽しんでいます。
トータルイマージョン泳法は、クロールで泳いでいて疲れたら背泳ぎになり、しばらく続けたらまたクロールになるという具合に、水の抵抗が少ない姿勢を保ちながら泳ぐ泳法で、長く泳いでも疲れないのがポイントです。
泳ぎながらスタイルを変えるのが目を引くようで、ジムのプールで泳いでいると、子どもたちに「くるくるおじさん」と呼ばれたり(笑)、プールサイドに上ると泳法について尋ねられたりします。みんなが注目してくれるので、それも気持ちいいですね。
Q4.患者さんと接するときに心がけていることは?
A.社会的な背景も考慮するとともに、泌尿器科と連携して男性の治療も重視
一番気をつけているのは、そのかたそのかたによって異なる社会的な背景があることを忘れないことです。同じ不妊原因でも、社会的な背景が異なれば治療のアプローチも異なるので、一律に決めつけないようにしています。
また、生殖医療に携わり始めたころからの大原則なのですが、妊娠率を高めるには女性側の治療だけでなく、精子の状態を良くすることが必要だと考えています。そのため、当院では男性不妊の患者さんが受診された場合は、さいたま市にある「泌尿器と男性不妊のクリニック」と連携を取り、治療にあたっています。
Q5.妊活されているかたへメッセージを!
A.不妊治療はストレスフル。孤独に向き合わないで
以前は「不妊治療専門クリニックに子ども連れで受診するのはいけない」というような風潮がありましたが、今は2人目不妊もポピュラーになり、そういうことは減ってきていると思います。でも、その一方で、孤独に不妊治療に取り組んでいる患者さんが多くなっている印象があります。不妊治療は本当にストレスフルなものですが、孤独に戦わないで、あきらめずに頑張ってほしいです。
そのためにも、患者さんのストレスを軽減できるような、ネットワークやコミュニティみたいなものができるといいなと思っています。以前在籍していた不妊治療専門クリニックでは、そこに通っていた患者さんに講演してもらったこともありました。当院では、まず不妊カウンセラーの資格を持つ看護師による勉強会を企画し、今後は月に1回行っていく予定です。
不妊カウンセリングも、受診後のスクリーニング検査が終わって治療計画書ができた段階で無料で1回受けられるようになっています。こちらもぜひ活用していただければと思います。
取材・文/荒木晶子
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