夫とセックスレスになりました「ぼくはあやつり人形じゃないんだ」【排卵日の呪縛】
妊娠するための基本はやはり男女のセックスです。「できれば不妊治療を受けずに妊娠したい」という人は多いのに、「セックスレスです」という声はけっして少数ではありません。
ママになりたい。パパになりたい。でも夫婦生活はちょっとツライ。
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“セックスなしで赤ちゃんができればいいのに”と思ったことはある?
赤ちゃんは欲しいものの、「夫の仕事が忙しく、毎晩帰宅が遅い」「自分も働いているので、平日はごはんを食べて寝るだけ。休日もそんな時間はとれない」など、すれ違いの日常。
また、「妊活を始めてからは、排卵日に狙いを定めたセックスになりがちでギクシャク」「自分も以前ほど気持ちがのらない」など、「いっそ、セックスなしで赤ちゃんができれば、それでもいい」「子どもは欲しいけど、したくない」と思っている人は少なくないようです。
Q セックスをしないで赤ちゃんを授かりたいと思うことがありますか?
とてもそう思うと答えた人と、何度か思ったことがある人を足すと、全体の半数以上に。一方、そうは思わないと答えた人は半分弱いました。
今回は、夫に避けられている?と不安になっている、『赤ちゃんが欲しい』読者・ぷうさんの事例をご紹介します。ドクターのアドバイスも参考にしてください。
タイミングの日に避ける夫。「赤ちゃんが欲しくはないの?」
【現在は顕微授精を頑張っている、ぷうさん(23歳)の場合】
排卵日に「お願いだから、してください」と頭を下げるように…
「ぼくはあやつり人形じゃないんだ」
病院に通い始め、タイミングをとっていた1~2年の間に、夫に避けられるようになりました。
せっかく注射をしてやっと排卵日になったのに、背を向けて先に寝られてしまったり、「疲れているからできない」「ぼくはあやつり人形じゃない」「ムリ。明日にして」などと言われました。悲しい気持ちと、せっかくのチャンスをのがすつらさで、毎回一人で泣いていました。
だんだん私からは言いにくくなり、「今日、排卵日なんだ。お願いだから、してください」と頭を下げるようになり、そんな自分が情けなくて…。しかも結果が出せない自分の体にも腹が立ちました。
話し合いは夫の機嫌のいいときを見はからって
何がいけないのか悩んで、セクシーなランジェリーをつけてみても何も変わりません。「子どもが欲しい」という気持ちの重さが、私と夫では違うんじゃないか。そんなマイナスの考えばかりがふくらみました。
そこであるとき、夫の機嫌のよさそうなときを見はからって、子どものことをどう考えているのかを聞いてみました。
話し合って気持ちが同じだと気づいた
彼は、私が苦労してたどり着いた大事な排卵日だということも、痛い注射をしてくれていることもわかってるんだと言ってくれました。でも「今日が排卵日!」と言われると、プレッシャーがかかり、気がめいってしまう。だから、できない。
男性不妊検査も、もし自分が原因だったらと思うと、一歩踏み出せない。そして、妻(私)が子どものことばかり考えて泣く姿を見るのはつらい、ということも。
赤ちゃんが欲しいという気持ちは、夫もいっしょでした。
それ以来、夫は病院にも来てくれたり、検査も受けてくれたりと変わってくれました。私も前向きな気持ちになれました。今は顕微授精にチャレンジしています。タイミングに縛られることがなくなったことで、セックスも以前のように楽しむことができています。
セックスと妊娠はどの夫婦においても課題です
「このご夫婦は、よく頑張って話し合われましたね」と志馬先生は言います。
「セックスに『妊娠』という役割が加わったとたん、夫婦それぞれが別の重いものをかかえてしまうもの。セックスと妊娠は、どんな夫婦においても常に大きな課題ですから、よく話し合い、お互いを思いやることができれば乗り越えていけるはずです」
排卵日のセックスを避けても子どもが欲しい気持ちは同じ
辻先生は、「このかたに限らず、夫がタイミングをとるのをいやがると『赤ちゃんを望んでいないのではないだろうか』と思う女性がとても多いのですが、それは絶対に違いますよ」と強く言います。
「このご主人も、排卵日を特定されてのセックスがつらかっただけです。 でも、タイミングを指示された日にセックスしたからといって、確実に授かるわけではありません。
それより、夫婦で『赤ちゃんが欲しい』気持ちを確認し合い、『排卵日のあたりにできるようにしよう』という程度のゆるやかな約束をして、日時にこだわらずセックスをしましょう。精子はふだんから出していないと、受精する力が低下しますよ」
監修・アドバイス
辻 祐治先生
男性不妊を専門とする医師。2003年、天神つじクリニック(福岡市) を開設。2008年、恵比寿つじクリニック(東京)を開設し院長に。日本でも数少ない、男性医師による男性不妊治療を行っている。
志馬千佳先生
志馬クリニック四条烏丸院長。産婦人科医・漢方医。
滋賀医科大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院産婦人科、越田クリニック(大阪市)産婦人科医長などをへて、2012年5月より現職。
*妊活メディア『赤ちゃんが欲しい』の記事を再編集しています。
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