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3ページ目(3ページ中) | 特別養子縁組を選んだ瀬奈じゅんさん&千田真司さんと妊活セキララ座談会/不妊治療のやめどきって?

2021/04/03 公開
2023/08/10 更新

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瀬奈さん:私の母は大賛成でしたが、父は違和感があったようです。お前たちの選択は応援するが、その子がかわいそうだと正直に話してくれました。

かわいそうという感覚はわからなくもないですが、実際には生後すぐに生みの親と引き離され、乳児院で3ヶ月過ごしたあとは、孤児院に移ってと、何度もお別れを繰り返さないといけないことのほうがかわいそうなのかもしれません。そんな父も息子を迎えてからは自分の孫としてすごくかわいがっています。

私たちは仕事柄、養子を迎えたことを世間に公表しましたが、友人・知人からもネガティブな反応はひとつもなく、私たちも幸せにさせてもらい、いいことずくめでした。

もちろん最初は不安もあると思いますが、不妊治療中も特別養子縁組という制度があるということを頭の片隅に置いておくだけでも気持ちがちがうと思いますよ。

千田さん:参考までに僕の家族の反応もお伝えしますね。

母の言葉が心に残っているのですが、せっかく親になれるチャンスがあるなら、なってみるのもいいよねと、背中を押してくれました。3人の子どもを育てた母の言葉の重みを受けとりました。

ただ、妹は大反対で、夫婦だけでも幸せなのに、養子までもらって、その子がかわいそうだと言われました。結局妹を納得させることはできませんでしたが、息子を迎えてからは、遠方からおもちゃを持ってしょっちゅう会いにきてくれます。

ナナさんの不安もわかるし、僕たちは全員に特別養子縁組をすすめる気はまったくないのですが、こういう家族の形もあるということを知ってもらえたらと思います。

A美さん:私も特別養子縁組に興味はあって、役所で冊子をもらってはきたのですが、まだ治療の途中なのでそこまで考えられなくて。ナナさんはすごいなと思います。私は治療をやめてから考えようかなと。もう少し時間が必要です。

瀬奈さん:あせらずじっくり考えたほうがいいと思います。人それぞれタイミングはちがうし。さっき言おうかどうか迷ったのですが、A美さんが妊婦さんはみなキラキラして見えるとおっしゃいました。

でも、世の中には妊娠したことが幸せと思えないかたもいます。そんななかでみんなが幸せになるための選択をすることがいちばんだと思います。私たちにはその選択肢が特別養子縁組だったんです。

千田さん:先ほど治療のやめどきの話が出ましたが、僕たちも特別養子縁組という選択肢がなかったら、今ごろどうなっていたかわかりません。みなさんもご主人と納得いくまで話し合って、ベストな選択をしてほしいと思います。

A美さん:コロナ禍で治療がうまく進まず、落ち込んでいるときだったので、今回いろんな経験をされているみなさんのお話を聞けて、なんだか元気が出ました。そういえば最近、夫のフォローもしていなかったので、今日あたりいろいろ話してみたいと思います。

ナナさん:仲のいい友だちとも不妊の話はしにくいので、今回こういう場を設けていただいて、とてもよかったです。おふたりがおっしゃるように、特別養子縁組を頭の片隅に置いておくだけでもつらい治療が少し楽になる気がします。

体外受精、そして特別養子縁組についても明るい未来の選択肢として前向きにとらえることができるようになりました。どうもありがとうございました。

妊活・不妊治療/オンライン座談会を終えて

瀬奈じゅん「今回みなさんとお話しして、コロナ禍の影響をひしひしと感じました。自分の治療経験に当てはめてみると、今はこれもできない、あれも制限されているんじゃないかなと想像がつきます。不妊治療にはタイムリミットもあるし、みなさん大変な思いで過ごされていることと思います。

私も当時は自分を責めてばかりいて、殻に閉こもっていましたが、気持ちの持ち方ひとつで免疫力や体調も変わってくるはず。先が見えず、不安もあると思いますが、こんなときこそどうぞ無理にでも明るく前向きに過ごしてみてください。

私もインスタなどで楽しく笑えるようなものを発信していきたいと思っています。みんなで心をひとつにして、頑張っていきましょう。私も応援しています。」

千田真司「特別養子縁組で迎えた息子も3歳になり、最近はお兄ちゃんパンツをはくようになりました。おもらしもほとんどせず、うちの子は天才なんじゃないかと親バカぶりを発揮しています(笑)。最近は息子の成長についていくのに必死で、特別養子縁組のことを意識する瞬間も減り、当たり前のようにわが子と幸せに過ごしています。

僕たちも不妊治療中は目の前のことをこなすのに必死で、余裕がありませんでした。でもひとつ言えるのは、この治療を一生続けることは絶対にないということです。

夫婦でとことん話し合い、真剣に向き合うことで、そのつらかった経験もいつかきっとプラスになるはず。一人でも多くのかたが愛するわが子に出会えることをお祈りしています。」

瀬奈じゅんさん

元宝塚歌劇団月組トップスター。
1992年宝塚歌劇団に入団。『この恋は雲の涯まで』でデビュー。退団後は女優として活躍。菊田一夫演劇賞 演劇賞、岩谷時子賞 奨励賞をW受賞。千田真司氏と結婚後は特別養子縁組で子どもを授かったことを公表し、「特別養子縁組制度」について理解を広める活動を行っている。

千田真司さん

2008年「さらば我が愛、覇王別姫」にて舞台デビュー。俳優、ダンサーとしてキャリアを積み続ける。現在は振付師としても活動しながら、自身の主催するダンススタジオ「FABULOUS BUDDY BEAT」を運営するなど幅広く活動中。2014年チャイルドマインダー取得。2018年にandfamily株式会社を立ち上げ、特別養子縁組の啓蒙活動を始める。https://andfamily.jp/


『ちいさな大きなたからもの』(方丈社)は瀬奈さん、千田さんの共著

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