野田聖子さん「不妊治療の“高齢化”と卵子提供でうまれた子のその後について」 石塚文平先生(不妊治療専門医)スペシャル対談②
約10年前に米国での卵子提供を受け、母として、政治家として活躍なさる衆議院議員の野田聖子さんと、早発卵巣不全の第一人者・ローズレディースクリニック院長 石塚文平先生のスペシャル対談第2弾です。
お二人が問題視する不妊治療の高齢化や、子の出自を知る権利について、たっぷりと語っていただきました。
※本インタビューは2021年9月時点の内容となります。
スペシャル対談【1】
>>国全体が不妊化している!?女性のいまを語る
野田聖子大臣プロフィール

1960(昭和35)年、福岡県生まれ。上智大学卒業後、帝国ホテルに入社。1987年、岐阜県議会議員。1993(平成5)年、衆議院議員初当選。1998年に戦後最年少大臣(当時)として郵政大臣に就任。その後、消費者行政推進担当大臣、自由民主党総務会長、総務大臣、女性活躍担当大臣、衆議院予算委員長等を歴任、現在は内閣府特命担当大臣(地方創生・少子化対策・男女共同参画)。米国での卵子提供を経て、男の子を出産。1児の母。真輝くんとの日常をつづったブログ「ヒメコミュ」。
石塚文平先生プロフィール

昭和大学医学部卒業、慶應義塾大学産婦人科、カリフォルニア大学留学を経て、聖マリアンナ医科大学産婦人科教授、同大学生殖医療センター長、同大学高度生殖医療技術開発講座特任教授を歴任、平成26年に同大学名誉教授、同年ローズレディースクリニック院長(東京都世田谷区)に就任。早発卵巣不全の研究と治療に長年取り組み、日本全国から患者が訪れている。妊活メディア『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』で連載中。
あわせて読みたい⇒ 石塚文平先生(不妊治療専門医)×野田聖子(衆議院議員)さんスペシャル対談①
不妊治療による親子関係の法律は、これまでなかった!
野田 私が不妊治療をしていた頃は、不妊治療を受けていることを世間には隠さないといけないような雰囲気がありました。子どもを持つことを手助けしてくださる医師の方に治療を受けることはできるけれど、それは表立ってやることではない、という感じ。
石塚 それは確かに、そういう雰囲気がありました。
野田 その点では、今はかなり変わってきましたね。
石塚 以前よりも治療を受けることをオープンにしやすくなったのは、ひとつは晩婚化で不妊に悩む人がとても多くなったからです。

野田 私は治療の当事者として、誰もが堂々と不妊治療を受ける権利があるという理念を、社会に広めたい。後ろめたい治療だとは思ってほしくない。そのことを法律を作るということで後押ししてきたのですが、ようやく2020年に民法の特例法ができて、これに基づいて、不妊治療を行っていいですよ、ということになりました。
“え、今ごろ?”という感じですよね(笑)。治療の技術はどんどん進むのに、法整備が追いついていなかったわけです。

石塚 卵子提供を受けて出産した場合は、産んだ人が母親になるということも明記されましたね。
野田 体外受精で生まれた子どもは、自分の子ども。その身分をきちんと保証しましょう、ということです。
私も10年前に卵子提供を受けて、息子を出産しましたが、当時日本には、法律がなかったので、実際にやっていいのかが曖昧な状況でした。
ただ、そのことで息子の立場が不利になることは絶対に避けたかったので、卵子提供を認める法律があるアメリカのネバダ州で行いましたが、技術的には日本でも可能だったと思います。
石塚 卵子提供による体外受精は、これまで日本では認められてこなかったから、多くの方は海外に行きます。
早発卵巣不全のかたでも、卵子提供を希望することが多いのですが、いまは主に台湾ですね。台湾では政府が認めていますから。東アジアでも行われていますが、そちらは実態がよくわからず、安全性などにも不安があり、それも大きな問題です。
野田 そういえば、私が出産するときに、産院の看護師さんから、「卵子提供での妊娠でも、全然構わない。ただそのことを伝えておいていただかないと、お産で何かトラブルが起きたときに適切な治療ができず困るんです。」と言われました。隠していることで、子どもの命に関わることもあるんですよね。
卵子提供を受けた親子のその後
石塚 実は現実には、卵子提供を受けたご夫婦や家族のその後は、うまくいっていることが多いんですよ。
野田 他人からの卵子であっても、十月十日、自分のおなかに入れて育てて、出産するのですから、母親は子どもを全力で守りますよ。

石塚 精子提供は卵子提供より技術的に簡単なので、日本でもずいぶん行われてきました。
野田 精子提供は、これまで子どもの出自を知る権利をないがしろにしてきたせいで、いろいろな問題が出てきています。それと、私が卵子提供による出産であることを公にしたときに、同じ立場のお母さん方から、ずいぶんとバッシングがありました。
野田 「寝た子を起こしてくれるな」と。でも、子どもの幸せを考えたら、きちんと卵子提供であることを本人に知らせたほうがいいと思うんです。
卵子提供で私の場合は、自分で卵子を選んではいません。紹介を受けたドクターに選択をお任せしたら、提供者はアメリカ人だということでした。だから息子は私には似ていません。そのこともオープンにしています。自分に似ていれば、このことを隠したくなったかもしれないけれど、その誘惑を最初から断ち切りました。
石塚 台湾でも卵子は選べません。でも一応、みなさん、リクエストはされることが多いそうです。
野田 子どもが自分の出自を知る権利はとても大切だということを、広く社会全体で認識してほしいんです。それに関する法整備もこれから進めていきたいと思っています。
石塚 生殖技術の進歩にともなって、家族や親子のあり方も多様化しますね。
野田 そのことで、社会のいろいろな矛盾があらわになる。たとえば体外受精なら、同性婚であっても、精子提供や卵子提供で子どもが持てます。
ですが、選択的夫婦別姓制度すらまだ認められていない日本で、同性婚の子どもを法律上どう位置づけるのかなど、問題山積。
私のようなタフな女でも、どうしたらよいのか、迷ってしまいます…。
石塚 でも社会が変わっていかないと、子どもは減るばかりで、人類は滅亡してしまいます。子孫が残せるかどうかの、いまは曲がり角ですね。
50歳で出産。でも、私はお手本ではありません
野田 日本の場合、不妊治療をずっと続けてしまうことも、実は問題の1つです。法の歯止めがないから、いつまでも続けてしまう。
石塚 私のクリニックにも、50代で排卵誘発を希望される人がいらっしゃいます。
野田 私が出産したのは50歳のときですが、ホルモンをコントロールして、出産することができました。
石塚 治療がうまく進めば、閉経後でも、出産は可能なケースもあります。

野田 でもやはり、出産は早いに越したことはないです。
よく言うのは、“私はお手本ではないし、高齢で産んだら、老眼で子どもの顔もはっきり見えないよ”と(笑)。私のようにならないよう、アドバイスとして言っています。
石塚 世界での最高齢の自然妊娠は中国で、55歳と言われていますが、真実かどうかはわからないです。
野田 治療費の負担を軽くしようとする保険適用も、ふわっとした倫理規定で済ませていたものが、法律の枠組みの中に入るとなると、良くなることはありますが、それによってできなくなることも出てきます。
石塚 助成金の拡充は、不妊治療を確実に後押ししました。
おそらく来春からは保険適用されるということで、それを期待して、いまから治療を開始する人たちもふえています。
野田 妊娠したい、子どもを持ちたいと思う人が増えるのは嬉しいことですね。
それから、先生方のお世話になっても、うまくいかないケースもあります。その場合には特別養子縁組という道があることも、特別養子縁組あっせん法にずっと取り組んできた私としては、より多くの人に知って欲しいです。
石塚 確かに、いつまでも妊活ができるわけではない、ということも、お伝えしていく必要はあります。
関連リンク:特別養子縁組って?年齢制限や費用は?体験談も
ホルモン補充療法で女性は美しく健康に
野田 ところで、先生は卵子の若返りについて、先駆けて研究していらっしゃったんですよね。
石塚 卵子の活性化についても、研究はつづいていますが、いま私が主に取り組んでいるのは、40歳未満で閉経してしまう早発卵巣不全という病気です。
女性のおおよそ1%がかかると言われていて、20代、30代の日本女性の人口比で計算すると約10万人ですから、決して少なくないんですが、まだあまり知られていません。
野田 閉経してしまうと、もう子どもは持てないのですか?

石塚 以前は妊娠は限りなくむずかしい状態でした。でも、いまは治療法が開発されて、35歳未満で治療を開始できて、かつ、無月経の期間が4年未満なら、約3割の人が妊娠できるようになっています。
野田 それはすばらしいですね! ところでこの早発卵巣不全という病気の原因は、そもそも遺伝的なものですか?
石塚 はい、多くはそうです。早発卵巣不全に関連する遺伝子も50個ほど特定されています。
ただ、それ以外にも原因があって、ひとつは卵巣の手術などの医療的なもの。それから、がん治療後の卵巣機能不全があります。抗がん剤や放射線治療は、卵巣機能に大きく影響してしまいますから。
野田 女性ホルモンの知識はあまり一般的に広まっていないので、苦しんでいる人も多いでしょう。
石塚 早期卵巣不全で、女性ホルモンの欠乏は、不妊だけでなく、一生の健康に関わるのだということがあまり理解されていません。
60代での死亡率が上がるとか、将来の認知症のリスクも高まると言われています。
野田 そうなんですね!子どもが持てなくなるだけでなく、生命に関係があることは知りませんでした。
石塚 貼り薬などでのホルモン補充療法が必要となりますが、2001年にアメリカで、ホルモン補充にはがん発症リスクや血栓症のリスクがあるという報告が出たために、グンと実施が減ってしまった。20年たってもまだリカバリーができていません。
野田 本当のところ、それらのリスクはどうなんですか?
石塚 きちんとコントロールし、検診を受けていれば、問題はないんです。それに、ホルモン補充療法をしているかたは肌つやがとてもきれいです。
野田 低用量ピルの認可のときも、体に悪いとか、いろいろと抵抗があって、日本では導入が遅れましたね。
女性たちをアクティブにしたくない勢力か何かがあるのかなと考えてしまいますね(笑)。
石塚 いや、女性が美しくて元気なほうが、世の中全体が楽しいですよ!
野田 そうですね。女性に寄り添う先生方には、ぜひこれからもご活躍いただいて、不妊治療に限らず、苦しんでいる方々を支えて応援してほしいですね。
取材・文/山岡京子
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