メリット・デメリットは?お金のことも不安かも…いまこそ知っておきたい!注目の「卵子凍結」の コト
「近い将来、子どもが欲しい」「結婚後、少しふたりの時間を楽しみたい」「仕事もあるし、妊娠はまだ先かな…」。そう考えている女性は多いのではないでしょうか。そこで、今、クローズアップされているのが「卵子凍結」です。気になるメリット・デメリットや費用などについて、探ってみました。
卵子凍結とは?
服薬や注射による排卵誘発を行ったうえで採卵した卵子を、-196度の液体窒素を満たした容器の中で凍結保存する方法です。
-196度では化学変化がほとんど起こらないため、凍結した卵子は劣化することなく、長期間保存することができます。通常、卵子は加齢とともに老化しますが、凍結した卵子は凍結時点での妊娠する力をもっています。
お話をうかがったのは
(左から、島田さん・杉山先生・上野さん)
杉山産婦人科 理事長
杉山力一先生
東京医科大学卒業。現在は杉山産婦人科世田谷、丸の内、新宿を束ねる。新宿院は土日祝日も診療、平日は19時まで治療など、仕事と不妊治療を両立する女性をサポート。不妊治療の保険適用の際には生殖医療の専門医として政府に提言も。
グレイスグループ 取締役CMO
上野千紘さん
2011年サイバーエージェント入社。卵子凍結保管サービス「GraceBank」を運営し、「子供を持ちたいと願う一人でも多くの女性の夢がかなう未来の創出」に取り組むグレイスグループに、22年より出向。自身も卵子凍結の経験者。
スルガ銀行
ダイレクトバンクパーソナルローン推進
アシスタントマネージャー
島田沙耶さん
「不妊治療サポートローン」「不妊治療サポートローンプラス」担当。「費用面で不安に思われる方も多い不妊治療や卵子凍結。治療に集中してもらえるようサポートしていきたいと思っています。ぜひ、お気軽にご相談ください」
不妊治療への保険適用で変わった? 変わらない?
――まずは、不妊治療の現状を杉山先生にお伺いします。不妊治療が保険診療となりましたが、受診される方の年齢や治療回数、患者さんが増えたなどの変化はありますか?
杉山先生 保険の適用というより、コロナ禍で変わりました。37歳前後だった初診時の平均年齢が、コロナ禍以後はやや下がりました。
体外受精の治療回数は、保険適用になって年齢制限ができましたが、あまり変化していません。受診される患者さんの数は、東京ではクリニック数が多いので目立ちませんが、クリニック自体が少ない地方では増えたと聞いています。
――今、未受精卵の卵子凍結が注目されていますが、杉山産婦人科でも、卵子凍結される方はいらっしゃいますか?
杉山先生 そうですね。「海外赴任になったので3年間卵子を凍結しておきたい」というような方は以前からいらっしゃいますよ。
未来のママ・パパをかなえる卵子凍結
――卵子凍結には、どんなメリットがあるのでしょうか?
杉山先生 一番のメリットは、卵子が年をとらないことです。凍結すると、技術的には一生涯同じ状態で保存しておくことができます。
女性の加齢とともに妊娠率は低下していきますが、将来受精させる場合の卵子の妊娠率は、卵子を凍結したときの年齢に比例します。
上野さん 妊活はパートナーとの話し合いが必要ですが、卵子凍結は女性1人で決められるのもメリットですよね。
島田さん ライフプランを考えるうえでも選択肢が増えますよね。
――いつかは子どもが欲しい人にとって保険のような考えができそうですね。
杉山先生 ただ、デメリットもあるんです。費用がかかる、採卵時に副作用が出ることがあるということ以外にも、卵子を凍結した状態で長く保存するほど、母体は年齢を重ねていくので、体力的に出産のリスクが高まることや育児が大変になることも考えられます。
卵子凍結は女性の可能性・選択肢を増やす方法
――グレイスグループでは、卵子凍結についてどのようにお考えでしょうか?
上野さん 私自身、卵子の妊娠する力が30代でがくんと下がるという感覚がありませんでしたし、加齢とともにどの程度妊娠しにくくなるかを具体的に知っている方はまだまだ少ないと思います。
子どもが欲しいと思ってから知る方も多いですが、そのときには仕事やパートナーとの関係などで、すぐに妊活できない場合も少なくありません。卵子凍結という方法があると知っていれば、選択肢が広がるのではないかと考えています。
――グレイスグループとしては、実際にどのような取り組みをされていますか?
上野さん 一般の方に向けては、オンラインセミナーやイベントを定期的に開催しています。卵子凍結や女性の体についての正しい知識を専門医にお話しいただくほか、個別相談もできます。卵子凍結経験者の体験談を聞いたり、直接質問できる場も好評です。
企業に対しては、福利厚生として卵子凍結の補助制度の設計を考えました。やはり、20~30代の女性にとって凍結にかかる費用は高いですからね。
――杉山先生、卵子凍結のその後の流れについて教えてください。
杉山先生 卵子凍結しても、それだけで妊娠できるわけではありません。将来、パートナーができた場合は、通常の不妊治療と同様にひと通りの検査を行ったうえで、精子を提供してもらい、卵子を融解させて体外受精を行います。
――凍結させた卵子は融解しても大丈夫なのでしょうか?
杉山先生 卵子の生存率は9割以上なので問題ありません。受精率も凍結していない卵子とあまり変わりません。ただし、凍結していない卵子に比べると、受精後にやや育ちにくいという印象があるので、その点は十分にご説明をするようにしています。
気になる費用のこといくら必要?
――費用が…というお話も出ていますが、実際、どのぐらいかかるのでしょうか?
杉山先生 不妊治療に保険が適用されるようになりましたが、未受精卵の卵子凍結の場合、採卵は自費診療になります。人によって卵巣刺激の方法や採卵できる数に違いがあるので、40万円プラスマイナス10万円くらいと考えてもらうといいでしょう。
――将来、体外受精するときにも費用がかかりますよね?
杉山先生 できる受精卵の数にもよりますが、おおよそ25万〜35万円になると思います。
――1回で支払うにはかなりの額ですね。
杉山先生 患者さんがどのようにお支払いされているか詳細に把握はしていませんが、クレジットカードのリボ払い、ローンを使っていらっしゃる場合もあるかもしれません。
島田さん 不妊治療業界に当社のような専用のローンがあると役立つでしょうか?
杉山先生 事前に患者さんがローンの存在を知っていると資金面で悩む患者さんには便利に活用されるかもしれませんね。
――グレイスグループでは、スルガ銀行の不妊治療のためのローンを導入されていると聞きました。
上野さん はい、やはり20~30代の方がポンと払える額ではなく、その点で悩まれている方が多い印象でした。費用の面を何とかすれば卵子凍結に関するハードルがずいぶん下がるのではないかと考え、導入を決めました。
支払いの新しい選択肢ローンも便利
――グレイスグループでも導入している、スルガ銀行の不妊治療のためのローンについて教えてください。
島田さん 2021年に「不妊治療サポートローン」を再開しました。再開当初は35歳以上の女性のローン利用が多かったのですが、保険適用後は、男性の利用も増えてきています。
その後、2022年からは、治療から予防の観点でも幅広く商品をご利用いただけるよう「不妊治療サポートローンプラス」を商品化しました。
――その2つの違いは何でしょうか?
島田さん 「不妊治療サポートローン」は治療に対する支払いが、通院ごとの支払いの方を対象にした商品で、「プラス」は卵子凍結のように支払いが1回となる場合にご利用いただく想定をしております。
両商品ともに子どもが欲しいと願う方の治療費への不安を軽減していただきたいという思いから商品化しました。お申込みに関しては、チャットやメールでのお問い合わせも可能です。お気軽にご相談くださいませ。
――スルガ銀行の今後の展望も含めてお聞かせください
島田さん 現在は、女性活躍という言葉が多く聞かれ、仕事でもキャリアを築きたい女性が増えていると思います。一方で、家庭も同じくらい充実したい、お子さんも欲しいというプライベートとのバランスがすごくむずかしいという現実があることも社内で多く耳にします。
この課題に取り組んでいくには、企業も積極的に関与していく姿が必要と考えます。これは私自身の展望にはなりますが、「不妊治療サポートローン」のサービスを提供するだけでなく、会社としてもしっかり日本が抱える課題と認識し、SDGsの観点からも「不妊治療サポートローン」の取り組みを積極的に行い、女性がより活躍できる社会づくりにこの商品が貢献できればと考えています。
不妊治療サポートローンプラス商品概要
年利:2.5%~7.5%
利用限度額:10万円~800万円
資金使途:不妊治療・卵子凍結サービスにかかる費用全般
※繰上返済がいつでも提携ATMで自由にできます
商品概要説明書はホームページでご確認いただけます
お問い合わせ スルガ銀行 アクセスセンター
➿ 0120-895-560
月~金曜日9:00~18:00(祝日を除く)
・ローンに関するお問い合わせは、スルガ銀行に直接ご連絡ください。
・2023年7月1日 現在
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