子宮筋腫や子宮内膜症、高年齢での妊活。専門性とチーム医療で一人ひとりにていねいに対応【聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター】
婦人科疾患から体外受精まで対応できる病院「聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター」にお話しを伺いました!
子宮筋腫や子宮内膜症、高年齢での妊活。専門性とチーム医療で一人ひとりにていねいに対応
監修
聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター(神奈川県川崎市)
大学病院産婦人科医長 洞下 由記 先生

2002年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学病院に勤務。大学病院産婦人科医長。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医・指導医。妊活の基礎知識や将来の妊娠を考えながら健康管理を行うプレコンセプションケアの普及に力を入れる。
2025年1月に全面リニューアル。多数の診療科と専門センターで地域の医療を支える
神奈川県川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院は、約50年にわたり地域の人々の健康を支えてきました。今年1月に大規模なリニューアル工事が終了し、病棟が新しくなりました。産科・婦人科や新生児科、小児科など35の診療科のほか、救命救急センター、夜間急患センター、総合周産期母子医療センター、腫瘍センター、ゲノム医療推進センターなど、44 のセンターを有し、専門的かつ先進的な医療を提供しています。
不妊治療を行う生殖医療センターもそのひとつ。最新設備がそろった新しい環境で治療を受けることができます。
「体外受精・顕微授精などの高度な治療をイメージされるかもしれませんが、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療も行っています。合併症のあるかたや、これまでなかなか妊娠に至らなかった難治性不妊の患者さんが多いのは当センターの特徴といえます」と、産婦人科医長の洞下由記先生。
受診されるかたの年齢は20代から40代まで幅広く、いちばん多いのは30代後半の女性とのこと。
「この時期で多い病気は、子宮筋腫や子宮内膜症です。病気の治療で手術が選択肢になる場合、同じ病院の中で治療できるのは大きなメリットです」

生殖医療センターの受付。病院の3階Aフロア。柱に設置された数字とアルファベットが目印です。
子宮筋腫や子宮内膜症の場合病気の治療と不妊治療、どちらを先にするか総合的に判断
子宮筋腫や子宮内膜症の場合、その病気の治療と不妊治療、どちらを先にするのか、悩む人は多いことでしょう。
「筋腫の大きさや病状の変化、卵巣予備能や今までの不妊治療の経過など、総合的に検討します。子宮筋腫や内膜症を治療したほうが妊娠の可能性が高くなると判断すれば、手術を提案します」
できるだけ時間をロスしないで妊娠したいと、だれもが思うことです。子宮筋腫の手術を受けたあと、回復までの時間は妊娠を避けなくてはいけませんが、もどかしく感じる人もいるのでは。
「ケースバイケースですが、回復を待つ期間に採卵は可能です。こうしたことも総合的に考え、患者さんに詳しくお話しして治療を進めていきます。一律な治療ではなく、そのかたに合ったオーダーメイドの治療ができるということです」
受診する人は他院からの紹介が多いものの、「検診で子宮筋腫が見つかって妊娠できるか心配だからと、ご自身で考えて受診されるかたもいます」とのこと。心配や不安があって妊活を始める際、最初になんでも相談できる病院は心強い存在です。

落ち着いた雰囲気の待合室。廊下から見えにくい配置で、プライバシーにも配慮。
合併症は妊娠による影響がないか妊活前から注意が必要
妊娠に影響する病気として、高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病、そして膠原病などがあるそうです。
「こうした病気は、妊娠する前から注意が必要です。というのは、病状によっては、妊娠すると状態が悪化する可能性があるからです。今の状態で妊娠していいのか、もともとの病気の治療と妊活をどのように進めていくのか、あらゆる可能性を考えます。妊娠中や出産後の経過についても多くの症例があり、先まで見据えて患者さんにお話しできるのも当センターの利点です。そして、一人ひとりを診る姿勢は、合併症がある人だけでなく、どの患者さんに対しても同じです」
不妊治療によって起こりうるリスクとしては、体外受精の採卵後にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症し、腹腔内に腹水がたまることがあります。実際、年に数回は近くの病院から患者さんが紹介されてくるそうです。
「土・日曜も産婦人科の当直医がいるので救急対応ができますし、必要であれば入院も可能です」
多くの診療科があり治療例が豊富なこと、そして24時間体制の医療は、大学病院ならでは。大きな安心材料といえそうです。

体外受精の採卵や胚移植の際に利用するリカバリールーム。天井から下がっているのは酸素の器具。すぐに使えるように生殖医療センター内の随所に設置されています。
無痛分娩に24時間対応など出産もできる安心感。専門家が集結するチーム医療
妊活中は「妊娠すること」ばかりに目が向きがちですが、「元気な赤ちゃんを産むことが目標」と洞下先生。不妊治療で妊娠したら、そのまま同じ病院で経過をみてもらい、お産もできれば安心です。
「不妊治療は遠方から通われているかたも多く、お産は近くの病院を選ばれるケースが多いですね。ただし、ハイリスク妊娠の場合には当院の産婦人科に引き継ぐことも。たとえば、糖尿病のコントロールがむずかしい、持病と超高齢妊娠が重なった場合などはリスクが高いといえます」
お産の際に麻酔で痛みをコントロールする「無痛分娩」は、一般的には予定を組んで行う計画分娩が主流。しかし、聖マリアンナ医科大学病院では、24時間体制で無痛分娩に対応しています。
「予定よりも早く陣痛がきて急なお産になった場合にも、病院には常に麻酔科医がいるので、24時間対応が可能です」
生殖医療センターの診察は婦人科専門医6名が担当、そのうち5名が生殖医療専門医、1名が臨床遺伝専門医。卵子や精子、受精卵を扱う胚培養士4名、そして看護師4名のうち1名は不妊症看護認定看護師。さらに臨床心理士2名が在籍し、1名は生殖医療相談士という、充実の構成でチーム医療が行われています。
「生殖医療に関する医師、看護師、心理の専門家がこれだけそろっているのは、大学病院では珍しいと思います。他科との連携、地域と連携しながら、専門性の高い医療を提供し、患者さんの妊活を多方面からサポートしています」
さらに、未来の妊娠へ希望をつなぐ、がん・生殖医療にも力を入れています。がん治療の前に採卵・凍結する妊孕性温存のとり組みは、2010年に聖マリアンナ医科大学病院が開始し、その後ガイドラインが作成され、全国に広がっています。

診察の様子。婦人科疾患のあるケースや早発卵巣不全など難治性不妊の相談が多いのも特徴。卵管不妊外来、不育症外来、更年期外来、遺伝カウンセリング外来も実施。

最新の機器を配置した培養室。顕微授精や受精卵の培養が行われています。
Message
大学病院のメリットを最大限に生かして、最短かつ安全に妊娠・出産までサポートします。合併症などの症例も多く、多数の診療科と連携し、医療体制がととのっているのは大学病院の特徴です。患者さんの状況と多数の症例からさまざまな可能性を検討したうえで、最適の選択を提案します。年齢が若いほど時間の余裕があるので治療の選択肢は増えます。一方、30代後半以降、特に時間は貴重です。回り道をしないためにも専門性や妊娠後まで見据えて、治療環境や実績を重視した病院選びをおすすめします。
住所:
神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
電話:
044-977-8111(代表)
アクセス:
小田急線向ヶ丘遊園駅・生田駅・百合ヶ丘駅よりバス約20分、新百合ヶ丘駅よりバス約30分東急田園都市線あざみ野駅よりバス約30分、宮前平駅よりバス約20分、鷺沼駅よりバス約25分、溝の口駅よりバス約35分、JR南武線武蔵溝ノ口駅よりバス約35分
診療時間:
月~金 9:00~16:00
※初診 9:00~11:00
休診日:
土、日、祝
HP:
https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/departments/reproductive_medicine
企画:サンワードメディア
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