2ページ目(3ページ中) | 〈仁科克基さんの男性妊活〉閉塞性無精子症の手術を経て、夫婦二人三脚で挑んだ不妊治療【中編】
男性もまずは検査を!
ここから顕微授精にトライすることになるのですが、閉塞性無精子症である僕の手術はこの1回で終わりです。授からない原因が男性不妊であっても、不妊治療の回数や、肉体的・精神的な負担は、どうしても女性のほうが大きくなります。
だからこそ、男性は検査を受けることを嫌がったり、抵抗したりしてはいけないと思うんです。個人差はあると思いますが、男性の検査は、基本的に1回です。もし手術が必要になっても、手術も多くの場合は1回で終わります。
「もし自分に原因があったら」と思うと不安になるし、「自分は大丈夫」という自信もあるかもしれません。でも、僕だって、それまで病気らしい病気をしたことはなかったし、自分が無精子症かもしれないなんて、これっぽっちも考えていませんでした。それに、そもそもどちらかに原因があったからといって、「夫が悪い」「妻が悪い」という話ではありませんよね。
まずはスタートラインに立つために、男性も検査を受けること。そして、もし何かトラブルが見つかっても絶望せずに、1%でも可能性があるならチャレンジすること。
自分自身の経験から、その大切さを実感しています。
妻への感謝を胸に、二人三脚の妊活へ
Micro-TESE手術ののち、僕たち夫婦は2022年10月に入籍しました。妻の治療をスタートしたのは、年が明けた2023年の1月からです。男性不妊で精子凍結をしているため、その後の治療は「顕微授精」一択となります。

夫婦になり不妊治療が始まりました。
治療に先立って妻に話したのは、精子を凍結できたのは現代医学のおかげであって、たとえば50年前だったら子どもを持つことは叶わなかった。もし顕微授精で子どもができなくても、それはある意味では当然のことで、妻が気にすることではない、ということです。
僕が無精子症でなければ不妊治療をする必要はなかったのかもしれません。だから僕にとっては、妻が不妊治療をしてくれること自体がありがたいことなので、治療を進めるにあたっては妻の体調や気持ちが最優先!「無理はしない」というふたりの妊活のスタンスを確認し、いよいよ採卵のための治療が始まりました。
毎回の通院では採血での検査、さらに排卵誘発のための薬の服用に自己注射と、妻は本当に頑張ってくれました。家でおなかに自分で注射(自己注射)を打っていたりするのを見ると、もう信じられない思いですよ。僕は世の中でいちばん注射が嫌いなんです。それを自分で打つんですから、妻への感謝と同時に「申し訳ない」という気持ちも湧き上がるわけです。
でも、妻は「私は大丈夫だから」と言って注射をしてくれている。大変な思いもすることをわかったうえで、僕と結婚し、妊活を頑張ってくれている。今振り返っても、彼女には感謝しかありません。

治療を頑張ってくれた妻に感謝!
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