体外受精と顕微授精の違いって?どっちを選ぶか迷ったらどうする?【医師監修/体外受精はコワくない】
illust/とげとげ。
画像ギャラリー顕微授精って、そもそも名前がコワそうで、安全なの?と思うかたも少なくないでしょう。体外受精との違いもよくわからないですよね。費用もかなり高額なので、顕微授精について、メリットをよく知ったうえで、治療をスタートしましょう。
世界最大の不妊・不育治療専門機関(IVF JAPAN)を開設し、現在は「HORAC グランフロント大阪クリニック」院長である森本義晴先生に教えてもらいました。
【不妊治療】体外受精と顕微授精なにがちがうの?
「体外受精」では精子をふりかけます
体外受精では、いくつかの精子を卵子にふりかけて、その中から自然に1個の精子が卵子の中に入り、受精するのを待ちます。ふつう体外受精には卵子1個あたりで5~10万個の運動精子が必要とされています。
「顕微授精」は精子1個を直接卵子の中に注入する方法
しかし、ふりかけるのに十分な数の元気な精子が得られない場合や、この方法では受精が起こらないケースに行われるのが「顕微授精」です。
世界ではじめての体外受精児ルイーズ・ブラウンさんが誕生したのは1978年ですが、顕微授精はそれより遅れて、1992年にイタリア人医師パレルモ博士によってベルギーで行われました。
顕微授精では、1個の精子を選んで、直径7ミクロンというごく細いガラス針の中に入れ、顕微鏡で見ながら、直接卵子の細胞質の中に注入します。
卵細胞質の膜はやわらかく、以前は精子を入れているつもりでも実はうまく入っていなかったこともありましたが、現在は顕微鏡や注入するための装置がさらに進化して、着実に精子を送り込むことができるようになり、成功率がアップしています。
この作業を行うのは医師ではなく、胚培養士と呼ばれる熟練の技師です。
卵子に針を刺して注入って、安全なの?
顕微授精は卵子を針で突くので、体外受精よりも卵子にかかる負担が大きい、と思っているかたもいますが、それは誤解です。
体外受精では、卵管内で卵子が精子と出合う自然妊娠の状況とくらべると、実は圧倒的に多い精子の中に卵子が置かれます。自然妊娠の場合は、精子が子宮頸管や卵管を通っていく間に、細菌などが洗われて減っていきます。
体外受精でも精子は洗浄されますが、精子がウヨウヨといる環境は卵子にとってストレスになっているかもしれません。技術が進んだことで、顕微授精の際に卵子にかかるストレスはずいぶん軽減されているので、体外受精と顕微授精、どちらが卵子にとってよりストレスフルか、明確な差はないと言えます。
また、体外受精とくらべて歴史が浅いことから、生まれてくる赤ちゃんへの影響が懸念されていた時期もありましたが、今では体外受精の場合と変わらないというデータが発表されています。
顕微授精に向いているのはこんなケース
①男性不妊
顕微授精になるカップルのメインは、精子の数が非常に少ない重度の乏精子症、精子の運動率が悪い精子無力症などの男性不妊症です。
頭部や尾部に奇形がある奇形精子症も、顕微授精になる大きな要因のひとつです。最近は男性不妊の割合がふえていて、昔は3割程度だったものが、今はおそらく5割くらいになっていると考えられます。
②受精障害
2つ目は、体外受精では受精しない「受精障害」の場合。受精障害は体外受精を行ってみないと、それ以前の検査では見つけることができません。
考えられる原因としては、精液検査で異常がなくても、実は精子に受精させる力がない隠れた男性不妊であったり、あるいは卵子の質に問題があるかもしれない、などが考えられますが、はっきりした原因を特定することは困難です。
貴重な卵子をむだにしないために顕微授精をおすすめすることも
これら2つが主な適応ですが、卵巣機能に問題があり、得られる卵子の数がとても少ない人は、貴重な卵子をむだにしないために、顕微授精をおすすめすることがあります。
また妻の年齢が非常に高いカップルも、ほかの要因がなかったとしても一定の適応になります。
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