子宮内フローラが乱れる原因としては、抗生剤の乱用や強いストレス、性感染症などの感染症があります。また、生活習慣の乱れにより女性ホルモン分泌が乱れることも防ぎたいことの一つ。
では、子宮内フローラの善玉菌をふやし、乱れをととのえるにはどうすればよいか。それがズバリ“腸活”なのです。
なぜなら、子宮内フローラは、腸内フローラと深く関係しているからです。腸内環境がととのっていくと、子宮内フローラも影響を受けて改善されていきます。
腸内環境は20代から30代、40代へと年を重ねるごとに、加齢により悪化してしまいます。善玉菌が優位の状態でいるには、「腸活」を意識した生活習慣をつづけることが大切!
食事では、以下を意識してみてください。
[妊活中にできる食事の腸活]
●低GIの(茶色い)穀類を選ぶ
●ヨーグルト、みそ、納豆、キムチなどの発酵食品を食べる
●野菜、果物、海藻から、善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖をとる
主食は「白」ではなく、食物繊維の多い「茶色」を選ぶ
炭水化物が「食後の血糖値をどれくらい上昇させるか」を数値化したのが、GI値です。精製度の高い「精製穀物」(白米、うどん、食パン、コーンフレークなど)はGI値が高く、精製度の低い「全粒穀物」(玄米、胚芽米、ライ麦パン、全粒粉パン、オートミールなど)はGI値が低いです。
茶色いごはんやパンは低GIなだけでなく、ビタミンB群や鉄などのミネラルを含み、栄養価が高いです。さらに食物繊維が多く、善玉菌のエサになって腸内環境もととのえてくれるから、いいことずくめ!
逆に、高GIの食事が妊娠能力の低下と関連しているとの研究(※2)もあるので、高GI食品を減らすことも心がけましょう。そして主食を選ぶときは「白」ではなく「茶色」と覚えておきましょう。
全粒穀物を多くとると、着床率&出産率がアップするという研究も
茶色い全粒穀物を食べると、着床率や出産率の向上につながるという具体的な研究(※3)もあります。
273名の女性(18~46歳)の全粒穀物の摂取量と、体外受精の治療実績(427治療周期)との関連を調べたものですが、それによると、全粒穀物の摂取量が最も少なかったグループ(Q1)の着床率が51%、出産率が35%だったのに対して、摂取量が最も多かったグループ (Q4)は着床率70%、出産率53%という結果に。
全粒穀物の摂取量が多いほど、胚移植時の子宮内膜が厚くなるという結果も出ています。
腸内環境をととのえる食事を意識すると、食物繊維はもちろん、ビタミン、ミネラル、抗酸化成分もとることができます。
そのため、子宮内の善玉菌がふえるだけでなく、高血糖による卵巣機能低下を防ぐことや、細胞がサビるのを防ぐ抗酸化、免疫機能の向上にもつながり、総合的に妊娠力を高めることが期待されています。
ただ、食生活を改善して一時的に妊娠力が高まっても、つづけないといい状態はキープできません。腸活・菌活の知識は、そのまま妊娠生活や子育てにも生かせるので、ぜひ「よりよく生きる」ために習慣化しましょう。
取材・文/水口麻子
※1 Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. Moreno, Inmaculada et al. American Journal of Obstetrics & Gynecology, Volume 215, Issue 6, 684 – 703.(2016) ※2 The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 112, Issue 1, July 2020, Pages 27‒38, ※3 Fertil Steril 2016; 105: 1503-1510