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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 妊活ライフコラム 「茶色い穀物」と「発酵食品」がキーワード!善玉菌が多い人は妊娠率も高い【妊活中の食事】

「茶色い穀物」と「発酵食品」がキーワード!善玉菌が多い人は妊娠率も高い【妊活中の食事】

妊活ライフ
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2025/05/21 公開
2025/06/04 更新

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妊娠できる体づくり・母子の健康向上のため、大学、病院、企業と組んで「卵巣年齢共同研究プロジェクト」「まるのうち保健室」「おやこ保健室」を実施するなど、精力的に活動している予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさん。

今回は子宮内フローラをととのえ、妊娠に近づく腸活・菌活について教えてもらいました。

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子宮内は無菌ではなかった!善玉菌が多い人は妊娠率も高い

みなさんは、子宮内の細菌叢を調べる「子宮内フローラ検査」について、聞いたことがあるでしょうか。2022年(令和4年)に「先進医療」として認定され、この検査を行うクリニックもふえています。

子宮のなかは無菌だといわれていたのですが、実は近年、多様な細菌がすんでいること、子宮内の細菌叢(フローラ)が妊娠に大きく関係していることがわかってきたのです。

なぜ子宮内フローラが妊娠に影響するのかというと、子宮内を弱酸性に保つことにより有害菌の繁殖を抑えていることや、子宮内膜の免疫環境をととのえることで受精卵の着床をサポートしていること、胎児を感染症から守ることなどが挙げられます。

ある研究(※1)では、子宮内に善玉菌(ラクトバチルス属の菌)が多いほど、妊娠率、妊娠継続率、生児獲得率が高いことが明らかになりました。子宮内フローラにおいて、ラクトバチルス属の菌が90%以上の状態が理想的といわれます。

ラクトバチルス属の菌が90%以上の人では、妊娠率が70.6%、生児獲得率が58.8%であるのに対し、ラクトバチルス属の菌が90%未満の人では、妊娠率が33.3%、生児獲得率が6.7%と大きな差があることがわかります。

子宮内フローラの乱れをととのえるには「腸活」を意識すること

 

子宮内フローラが乱れる原因としては、抗生剤の乱用や強いストレス、性感染症などの感染症があります。また、生活習慣の乱れにより女性ホルモン分泌が乱れることも防ぎたいことの一つ。

では、子宮内フローラの善玉菌をふやし、乱れをととのえるにはどうすればよいか。それがズバリ“腸活”なのです。

なぜなら、子宮内フローラは、腸内フローラと深く関係しているからです。腸内環境がととのっていくと、子宮内フローラも影響を受けて改善されていきます。

腸内環境は20代から30代、40代へと年を重ねるごとに、加齢により悪化してしまいます。善玉菌が優位の状態でいるには、「腸活」を意識した生活習慣をつづけることが大切!

食事では、以下を意識してみてください。

[妊活中にできる食事の腸活]
●低GIの(茶色い)穀類を選ぶ
●ヨーグルト、みそ、納豆、キムチなどの発酵食品を食べる
●野菜、果物、海藻から、善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖をとる

主食は「白」ではなく、食物繊維の多い「茶色」を選ぶ

炭水化物が「食後の血糖値をどれくらい上昇させるか」を数値化したのが、GI値です。精製度の高い「精製穀物」(白米、うどん、食パン、コーンフレークなど)はGI値が高く、精製度の低い「全粒穀物」(玄米、胚芽米、ライ麦パン、全粒粉パン、オートミールなど)はGI値が低いです。

茶色いごはんやパンは低GIなだけでなく、ビタミンB群や鉄などのミネラルを含み、栄養価が高いです。さらに食物繊維が多く、善玉菌のエサになって腸内環境もととのえてくれるから、いいことずくめ!

逆に、高GIの食事が妊娠能力の低下と関連しているとの研究(※2)もあるので、高GI食品を減らすことも心がけましょう。そして主食を選ぶときは「白」ではなく「茶色」と覚えておきましょう。

全粒穀物を多くとると、着床率&出産率がアップするという研究も

茶色い全粒穀物を食べると、着床率や出産率の向上につながるという具体的な研究(※3)もあります。

273名の女性(18~46歳)の全粒穀物の摂取量と、体外受精の治療実績(427治療周期)との関連を調べたものですが、それによると、全粒穀物の摂取量が最も少なかったグループ(Q1)の着床率が51%、出産率が35%だったのに対して、摂取量が最も多かったグループ (Q4)は着床率70%、出産率53%という結果に。

全粒穀物の摂取量が多いほど、胚移植時の子宮内膜が厚くなるという結果も出ています。

腸内環境をととのえる食事を意識すると、食物繊維はもちろん、ビタミン、ミネラル、抗酸化成分もとることができます。

そのため、子宮内の善玉菌がふえるだけでなく、高血糖による卵巣機能低下を防ぐことや、細胞がサビるのを防ぐ抗酸化、免疫機能の向上にもつながり、総合的に妊娠力を高めることが期待されています。

ただ、食生活を改善して一時的に妊娠力が高まっても、つづけないといい状態はキープできません。腸活・菌活の知識は、そのまま妊娠生活や子育てにも生かせるので、ぜひ「よりよく生きる」ために習慣化しましょう。

取材・文/水口麻子

※1 Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. Moreno, Inmaculada et al. American Journal of Obstetrics & Gynecology, Volume 215, Issue 6, 684 – 703.(2016) ※2 The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 112, Issue 1, July 2020, Pages 27‒38, ※3 Fertil Steril 2016; 105: 1503-1510

 

PROFILE
PROFILE

一般社団法人ラブテリ代表理事。
アメリカで最先端の栄養学を学び、 栄養アドバイザーの資格を取得。 医師、 栄養士による予防医療チーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」主宰。 食と母子の健康に関する共同研究を複数手がける。Instagram @momohosokawa

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