2ページ目(3ページ中) | 2人目妊活開始!と思ったら「がん」が見つかった【漫画家・松本ぽんかんさんインタビュー/前編】
『ママ5年目でがんなんて 手に入れた卵子と失った味覚』(竹書房)/松本ぽんかん
画像ギャラリー第2子妊娠はあきらめたほうがいいのか…
――がんの治療はどのような形で進めることになったのですか?
放射線治療と抗がん剤治療を併用する方法が提案されました。
ただ、のどのがんに高い効果のある「シスプラチン」という薬は、卵子の数を減少させる副作用があるんです。抗がん剤治療をしたら、自然妊娠は厳しくなる。主治医の先生からは「採卵して受精卵を凍結すれば、妊娠の可能性を残すこともできます」と言われたんですが、採卵するには3週間くらいかかるとのことで。
ステージⅠからⅡに上がった直後だったので、「そんなの待てないよ」と思いました。それで「妊娠はあきらめます」と即答したんです。
――妊娠周期に合わせて卵胞を育てて採卵するとなると、時間がかかります。治療を引き延ばすのは怖いですよね。
はい。ところが、診察室を出たら、がん患者の心理的サポートをしてくれる看護師さんが来て「本当にいいの?」と聞いてくれたんです。私は「もういいです」と答えたんですが、「一応、排卵日だけ確認してみようか」と言ってくれて、普段使っている妊活アプリをスマホで確認したんです。
すると、なんと「本日排卵予定日」って!

――すごい偶然ですね!
それで急きょ、同じ病院の産婦人科でエコー検査(超音波検査)してもらったんです。そうしたら、画面に卵子がちゃんと映ったんです。しかも2つ!
もう、涙が出ました。泣きました。
おなかの中に新しい命の可能性がある。だったら残してあげたい。残さなくちゃ!って思ったんです。
――それで採卵することに?
そうなんです。午前中に「妊娠はあきらめます」と言ったくせに、昼には産婦人科で検査して、午後にはもう採卵の話をしている(笑)。
病院に迎えにきた夫は、「え?子どもはあきらめるんじゃなかったの?」と仰天していました。
――その場で採卵というわけにはいかなかったんですよね?
妊娠率を上げるためには、卵巣にある卵子をもう少し成長させなければならなかったんです。卵子を育てる注射と、排卵を抑える注射の2本を1週間打ってから採卵することになりました。
がんの治療は4~5日後から開始予定だったので、2~3日延期するだけ。「だったら、治療を待つ間に採卵する!」と決意しました。

急に治療の予定を変更したのに、がんの主治医もまったくいやな顔をせずに「わかりました」と言ってくれて、患者ファーストだったのがありがたかったです。
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