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本格的な治療に入る前に知っておこう!不妊の原因となる疾患と治療【聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター】

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基礎知識
2025/08/19 公開

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私に合うクリニックがわかる!あなたの希望をかなえるおすすめのクリニック!「聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター」にお話しを伺いました!

本格的な治療に入る前に知っておこう!不妊の原因となる疾患と治療

監修
聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター
大学病院産婦人科医長 洞下 由記 先生

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原因がわかれば、治療できる!知っておくと安心です

不妊治療が保険適用になり、不妊に関する知識も今や多くの人々に浸透してきました。不妊の原因の約半分は男性にもあるというデータについても、すでにご存じのかたも多いと思います。WHOの調査では、女性のみに原因があるのが41%、男性のみに原因があるのが24%、男女ともに原因があるのが24%。「自分は大丈夫」だと思わず、まずはしっかりと検査を受けることがたいせつです。

そして、いざ検査を受けると、思いも寄らない原因が発覚する場合もあります。

たとえば、不妊に悩む女性の25〜50%にあるといわれている子宮内膜症。主な症状として月経痛がありますが、月経痛の悩みを抱えている女性は多いため、特に市販薬などで対処し、過ごしてしまっていることも多いです。また男性の不妊症は自覚症状がないことが多いので、精液検査で結果を見るまでわからないことがほとんどです。

女性も男性も自分に原因があることがわかると、落ち込んでしまうかもしれません。しかし原因が見つかったということは、そこを治療をすれば妊娠へ一歩近づくということ。前向きにとらえて治療へ進みましょう。

検査をしても原因が見つからない!?原因不明不妊

女性の不妊の原因には、排卵因子や卵管因子、子宮因子など、検査をすることによって原因がわかるものもありますが、実は検査をしても原因が見つからない「原因不明不妊」もあります。原因不明不妊のうち、大きな理由の1つが女性側の年齢です。

年齢が高くなると妊娠しにくくなりますが、これは加齢にともなって卵子の数や質に問題が出てくるからです。同じ年齢でも個人差がありますが、一般的に35歳を過ぎると年齢による原因不明不妊が増えてきます。卵子は生まれたときに持ってきた数が最大で、卵巣内に保存されていて、そのあと増えることはありません。

毎月排卵する卵子の数は1~2個ですが、月に数百個の卵子が自然消滅してきます。また卵子の質も年々低下していくことがわかっており、これらにより妊娠しにくくなるのです。

不妊の原因となる主な病気と手術法

女性

子宮内膜症
【どんな病気?】
子宮内膜は本来子宮の内側にあるものですが、なんらかの原因で子宮内膜またはそれに似た組織が別の場所で発生し、発育することがあります。これが子宮内膜症で、20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~34歳にあるといわれています。

【主な症状】
子宮内膜症の患者さんの約90%に見られるのが生理痛。ほかにも、腰痛、下腹痛、排便痛、性交痛などもあります。

【不妊になる理由】
おなかの中で癒着が起こることで卵管が機能しなくなったり、排卵がうまくできなかったり、着床を妨げたりします。

卵巣嚢腫
【どんな病気?】
卵巣嚢腫は卵巣にできる腫瘍のひとつで、卵巣腫瘍の8~9割は卵巣嚢腫です。卵巣内に液体や脂肪がたまってしまう良性の疾患ですが、大きくなるとまれに悪性化します。卵巣嚢腫はチョコレート嚢胞など4つの種類があります。

【主な症状】
卵巣嚢腫が小さいうちは自覚症状はなく、月経も順調です。大きくなるとおなかの張りなどの症状があります。ただしチョコレート嚢胞は子宮内膜症のひとつで、小さくても月経困難症などの症状が出ることがあります。

【不妊になる理由】
卵巣のう腫自体が不妊をおこすことはまれですが、手術によって卵巣機能が低下することがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
【どんな病気?】
卵胞がなかなか大きくならず、排卵が起こりにくくなる疾患。卵巣の中が成熟する前の小さな卵胞で覆われてしまうのが特徴です。

【主な症状】
不正出血を起こしたり、月経周期が長くなり、無月経になることもあります。

【不妊になる理由】
排卵が起こりにくく、排卵日がわかりにくくなります。

子宮筋腫
【どんな病気?】
小さなものも含めると30歳以上の女性の20~30%に見られる子宮筋腫。複数個できることが多く、人によって数や大きさ、できる場所はさまざま。粘膜下筋腫(子宮の内側)、筋層内筋腫(子宮の筋層の中)、漿膜下筋腫(子宮の外側)があります。

【主な症状】
主に生理痛と経血量が多くなることです。症状はできる場所と大きさに関係があり、子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、逆に子宮の外側にできた筋腫は大きくなっても症状が出ない傾向があります。

【不妊になる理由】
特に粘膜下筋腫は子宮内膜にダメージを与え、受精卵の着床を妨げる原因になります。

子宮内膜ポリープ
【どんな病気?】
子宮の内側に突出してできる腫瘍。比較的よく見られる疾患で、一般的には良性腫瘍であることが多いです。数ミリ程度のものから、直径3~4cmのものまでさまざまなサイズがあり、多数のポリープが見つかることもあります。

【主な症状】
症状がないことも多い疾患です。月経痛や経血量が多くなる、不正出血が起こるなどの症状が見られることもあります。

【不妊になる理由】
ポリープの位置によっては、受精卵の着床を妨げます。

卵管狭窄・卵管閉塞
【どんな病気?】
卵管が狭くなっていたり(卵管狭窄)、卵管が詰まっている(卵管閉鎖)状態のこと。子宮内膜症やクラミジア感染症などによって、卵管に炎症が起こることが原因です。

【主な症状】
自覚症状はなく、子宮卵管造影検査などで調べることができます。

【不妊になる理由】
卵巣から排卵された卵は卵管で精子と出合いますが、卵管にトラブルがあると受精できなくなってしまいます。

手術法

腹腔鏡手術
適応となる疾患:子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫
おなかに複数の小さな穴をあけ、そこから器具やカメラを通してモニターを見ながら行う手術。術後の痛みが少なく、回復も早いです。

子宮鏡下手術
適応となる疾患:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ
腟から器具やカメラを通して行う、子宮内に病変がある場合に行われる手術。おなかを切る必要がないので、体への負担が少ないです。

卵管鏡下卵管形成術(FT)
適応となる疾患:卵管狭窄、卵管閉塞
腟から器具やカメラを挿入して、詰まった卵管を広げる手術。おなかを切る必要がないので、体への負担が少ないです。

男性

精索静脈瘤
【どんな病気?】
精巣やその上の精索部にこぶができる病気で、男性の約15%に見られます。血流が多くなっているため睾丸の温度が上昇し、精子をつくる機能に影響します。精子の数、運動性あるいは頭部のDNAの損傷などが起こります。

【主な症状】
ほとんどが無症状です。

【手術法】
こぶの原因となっている逆流する精巣静脈をしばって、血管を遮断します。

無精子症
【どんな病気?】
精液中に精子が見当たらない状態。精子はつくられているものの、精子の通り道がふさがっている「閉塞性」と、通り道はあるものの精子がつくられていない「非閉塞性」があります。

【主な症状】
無症状です。

【手術法】
精子がつくられていない場合、陰嚢を1cmほど切開して、精巣内の組織を採取して精子を探し出す「TESE」が行われます。精子の通り道がふさがっている場合は「精路再建術」が行われますが、場合によっては「TESE」も同時に行われます。

企画:サンワードメディア

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監修

2002年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学病院に勤務。大学病院産婦人科医長。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医・指導医。妊活の基礎知識や将来の妊娠を考えながら健康管理を行うプレコンセプションケアの普及に力を入れる。

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