〈柔道家・杉本美香さんの妊活〉「重量級の私は妊娠する価値なし!?」厳しい現実を目の当たりにして【前編】
明るい人柄と満面の笑顔が印象的な柔道家・杉本美香さん。2012年のロンドンオリンピックにおいて、78kg超級で銀メダルを獲得したメダリストですが、そんなアスリートの杉本さんも不妊治療を経験したひとり。持ち前のポジティブ思考で乗り越えた約2年半の妊活ストーリーを、2回に分けてお届けします。
前編は、不妊治療クリニックへの転院や体重コントロールについてのお話しです。
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アスリートで体力には自信あり!でも、妊娠しない
〈妊活ヒストリー〉
2018年8月 34歳で結婚
2019年6月 婦人科でブライダルチェック。不妊治療専門クリニックを受診
2020年6月 卵管閉塞&子宮筋腫が判明
2020年7月 クリニック転院
2021年1月 子宮筋腫手術。体外受精に向けて採卵開始
2022年5月 移植1回目で妊娠
2023年1月 第1子出産
私も夫も大の子ども好きで、絶対に子どもは欲しいと思っていました。結婚するときも「子どもは何人欲しいか」という話を夫としたりして。ただ、私は当時、実業団柔道チームの監督をしていたので、とにかく忙しかったんです。それに、正直なところ、「そのうち自然に子どもができるだろう」とうっすらとした思いもありました。
けれど、結婚して1年近く経っても妊娠する気配がありません。当時、他競技のアスリート仲間には不妊治療をものすごく頑張っている知人はいましたが、私の周りの柔道仲間には「不妊治療をしています」と言っている人はいませんでした。でも、自分が不妊かもという現実を突きつけられて初めて、「柔道の重量級の先輩や仲間たちも、もしかしたら人知れず不妊に悩んでいたり、妊活や不妊治療をしていたりする人がいるのかも」と思うようになりました。
元々生理不順なこともあり、知人に紹介してもらった婦人科でブライダルチェックを受けることにしました。ちなみに、結果は特に異常なし。
私自身、現役中はプレッシャーやストレスを過度に受けることが多く、そんなときは、生理が予定日にこないことはザラでした。ただ、軽量級の人たちと比べて重量級の私は、そこまで過酷な食事制限やリバウンドを繰り返していたわけではなかったし、体力には自信があったので、現役時代は「将来的に子どもが欲しいと思えば授かれるだろう」くらいに思っていたんですよね。
でも、現実はそんなに甘くなかった…というわけです。
転院先での信頼できるドクターとの出会いが転機に
ブライダルチェックの結果を受け、それからほどなくして有名な不妊治療クリニックへ。
クリニック選びは、知名度の高さを重視しました。予約の取りにくさは人気ゆえと割り切って。実際にクリニックへ行くと、当時34歳という私の年齢や体のことを考慮し、ドクターと相談の上、最初から体外受精に挑戦することになりました。そんなとき、卵管閉塞と子宮筋腫が判明。ただ、この2つがそこまで悪さをする状態ではないとのことで、現状維持のまま、採卵を行うことになったんです。
そして、いざ、採卵の日。残念ながら卵子は採れませんでした。
ちなみに、このクリニックではドクターに体格のことを言われて悔しい思いも。すでに引退している立場でありながら、現役時代と同じ体重であることに苦言を呈されてしまいました。指摘されるにしても、言い方次第で受ける印象は違ったと思いますが、私はその言葉に傷ついてしまって。
そこで意を決し、1回目の採卵から約1ヵ月後に転院することに決めました。
2つ目の不妊治療クリニックの決め手は、自宅から近いこと。当時は仕事が忙しかったので、クリニックに頻繁に通うことになった場合、通院時間を確保するのが難しかったので、とにかく近くがいいと思ったんです。有名だからと選んでも、ドクターとの相性が微妙なことがあると知ったからこそ、2つ目のクリニックは、通いやすさやドクターとの相性を大事にして選びました。
転院先のドクターは第一印象からとても感じがよく、私が引退しているのに体格が大きい、つまり体重があることをどうこう言ってきませんでした。おかげで、「ここでなら信頼して不妊治療を頑張れそう!」と思えたんです。
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