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プロラクチンとは?「高プロラクチン血症」でも妊娠できますか?不妊治療専門医が解説

2026/05/30 公開
高プロラクチン血症

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不妊の原因の一つに「高プロラクチン血症」があります。プロラクチンは「乳汁分泌ホルモン」ともいい、月経や排卵を抑制する働きがあります。このホルモンがなんらかの理由で多く分泌されてしまうのが「高プロラクチン血症」。

プロラクチンが基準値より高くでも妊娠できるの?検査や治療方法は?不妊治療専門ドクターにくわしく解説していただきました。

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プロラクチンとは何?

プロラクチンは、体内で分泌されるホルモンのひとつです。

脳の前側下部には、小さく膨らんだ突起のようなものがぶら下がっています。ここが脳下垂体と呼ばれる場所。プロラクチンは脳下垂体から分泌され、血液に乗って全身に運ばれます。

排卵を抑える働きがある

プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれます。赤ちゃんを育てるための母乳を作るのに必要なホルモンで、その濃度は出産時に最も高くなります。

授乳中は月経が来ない時期が続きますが、それはこのプロラクチンの作用によるもの。プロラクチンには排卵を抑える働きがあり、月経が来にくくなっているのです。

常に一定量は血液に含まれる

体を巡るホルモンはさまざまに関係し合い、作用し合っています。プロラクチンも母乳分泌だけにかかわっているわけではなく、免疫や血管浸透圧の調整など、いろいろな働きをしています。ですから、授乳時にだけ分泌されるわけではなく、ある程度の量は常に血液の中に含まれています。

高プロラクチン血症とは

排卵痛

プロラクチンは常に血液中に含まれていますが、一定以上の濃度になったものを高プロラクチン血症といいます。

高プロラクチン血症でも妊娠できる?

プロラクチンには排卵を抑える働きがありますから、この濃度が高ければ排卵しにくい=妊娠しにくいのは確かです。でも、絶対に妊娠できないと断言はできません。程度が軽ければ、排卵が起きて自然妊娠することもあり得ます。

ただ、妊娠しにくいことがわかっているのにそれを放置しておくのは、効率的ではありませんね。自然妊娠にこだわりたい、治療はしないというなら仕方ありませんが、積極的に妊活するならしっかり治療しておきましょう。

血液検査でチェック

不妊治療にあたっては、必ず血液検査をします。その際、プロラクチンの値もチェックします。女性の場合、30ng/ml以下が正常値です。

一日の中での変動が大きい

ただ、プロラクチン濃度は一日の中でとても変動が大きいのです。ですから、たとえば32ng/mlとか33ng/mlなどなら、すぐに治療が必要!というわけではない場合もあります。明らかな高プロラクチン血症とまでは言えないけれど高めの数値の人は、経過を見ながら必要に応じて薬を使うこともあるでしょう。

検査は月経中に行うことが多いと思いますが、どの時期に測っても特に問題はないとされています。

下限は無視してよい

プロラクチンの値が0になることはありません。下限値も決まっていて、女性の場合は6ng/mlです。妊娠に関してだけいえば、たとえこの数値以下でも妊娠できます。

なぜなるの?高プロラクチン血症の原因

高プロラクチン血症になる原因はいくつかあります。

脳下垂体に腫瘍がある

脳下垂体にできる腫瘍の中には、必要以上のプロラクチンを作ってしまうものがあります。

脳腫瘍と聞くと怖くなりますが、高プロラクチン血症を引き起こしているのはほとんどが良性腫瘍で、がん(悪性腫瘍)ではありません。

良性腫瘍もがんと同様に少しずつ大きくなります。ある程度大きくなると、近くにある視神経を圧迫して視野が狭くなってしまうことがあります。でも、がんのように周囲の細胞を侵しながら広がったり、別の場所に転移したり、正常な細胞が必要としている栄養を奪ったりすることはなく、命の危険もありません。

甲状腺の機能が低下している

甲状腺からは、たくさんのホルモンが出ています。この働きが低下すると、脳から「しっかり働きなさい!」と指令を出す別のホルモンが分泌されます。そのホルモンにはプロラクチンの分泌を促す働きがあるため、血液中のプロラクチン濃度が高くなります。

薬の副作用

ある種の抗うつ剤、向精神薬、胃薬が高プロラクチン血症を引き起こすことがあります。

原因不明

高プロラクチン血症は、原因がわからない・不明というケースも多いものです。

乳製品の摂り過ぎが問題、飲酒が悪い、などと言う人がいますが、医学的な根拠はありません。ストレスが原因とも言われますが、どの程度影響しているのかはっきりとはわかっていません。

高プロラクチン血症と生活習慣に明らかな関連があるとは考えにくいです。

高プロラクチン血症の治療、どうすれば治るの?

人工授精

高プロラクチン血症と診断されたら、原因を見極めながら治療を行います。

薬で治療する

下垂体から分泌されたプロラクチンは、脳の別の場所から分泌されるドーパミンというホルモンによってその量をコントロールされています。高プロラクチン血症では、ドーパミンにしっかり働いてもらう薬を服用します。

むかつきなどの副作用が出ることも

現在、ドーパミンアゴニストとして最もよく使われているのは、カバサールです。
カバサールは週に1回飲めばよく、それまでよく使われていたテルロンやパーロデルのような毎日飲むものに比べて使いやすい薬です。

副作用も以前使われていた薬より減っていますが、服用直後のむかつきなどは比較的よく見られます。

*アゴニストとは、体が産生している物質と同じ働きをするものという意味。ドーパミンアゴニストとは「ドーパミンと同じような働きをする薬」のことです。

手術で腫瘍を取り除く

下垂体の良性腫瘍が高プロラクチン血症を引き起こしている場合、その大きさによっては手術で腫瘍を取り除くことが検討されます。放っておいても悪化するものではないのですが、あまり大きくなると視神経を圧迫して視野が狭くなるなどの障害が出ることがあるからです。

ただ、実際にそこまで腫瘍が大きくなることはあまりありません。プロラクチン濃度が数十~100ng/ml程度なら、薬で治療するのが一般的です。薬によってプロラクチンの濃度はコントロールされ、腫瘍自体もある程度は縮みます。

男性も高プロラクチン血症になる?

妊娠・出産をしない男性の場合、プロラクチンの濃度は女性よりも低いのですが、分泌はされています。

女性よりも基準値の上限は低い

女性のプロラクチン濃度の基準値は30ng/ml以下ですが、男性は13ng/ml以下。プロラクチンは乳汁分泌以外にもさまざまな働きをしており、男性にも必要なホルモンです。

精子の形成を妨げる可能性

男性が高プロラクチン血症になると、精巣の働きが弱まり、精子の形成が妨げられる可能性があります。原因として多いのは、脳下垂体の腫瘍です。男性の高プロラクチン血症も女性と同様に、薬による治療が標準的です。


不妊治療をすすめるにあたり、自分とパートナーの体について知ることは大前提となります。専門医に相談しながら、現状を把握し、治療法を見きわめていきたいですね。

取材・文/中根佳律子 ※『赤ちゃんが欲しい』の記事を再編集して掲載しています。

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監修
監修

フェニックスアートクリニック院長。東京大学医学部卒業。医学博士。国際医療福祉大学大学院教授、山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター長などを経て、2018年に開院した現クリニック院長に。日本不妊カウンセリング学会理事長でもあり、患者の思いにていねいに向き合う治療が高い信頼を得ている。体外受精の第一人者として常に最新の情報をチェックし、最適・最短の治療を心がけている。

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