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着床前診断について知っておこう【神田ウィメンズクリニック】

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不妊治療
2026/08/13 公開

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流産率を下げるなど、不安をとり除く検査「着床前診断」について知っておこう

神田ウィメンズクリニック
院長 清水 真弓先生

体外受精をする際に知っておくと安心です

不妊治療の中でも、最も妊娠率の高い治療法である体外受精(IVF)。卵巣から卵子をとり出し、精子と受精させて数日間育てたあと、状態の良い胚を子宮に戻します。ただし、「良い胚を戻したのに妊娠しない」「妊娠しても流産してしまう」といったことは珍しくありません。胚は見た目の良さで選ばれますが、それだけでは分からない問題がある場合があります。

その原因の多くは「胚の染色体異常」です。胚の染色体の数や構造に異常があると、ほとんどが着床しないか、あるいは化学流産で終わってしまいます。この見た目ではわからない染色体の異常を調べる検査が、PGT‐AやPGT‐SRといった「着床前診断(着床前遺伝学的検査)」です。これらの検査を行うことで、染色体異常のない胚を移植できるようになり、流産率を下げ、妊娠の可能性を高めることができます。

また、同じ着床前診断にはPGT‐Mもあります。こちらは特定の遺伝子に異常があるかを調べる検査です。筋ジストロフィーなどの遺伝性疾患をもつ親族がいる場合に行うことができ、お子さんが将来病気を発症するリスクを避けるために実施されます。

知っているようで、よくわからない!?
「遺伝情報に関わる、染色体と遺伝子ってなに?」

同じ着床前診断でも、PGT-AとPGT-SRは「染色体」を調べ、PGT-Mは「遺伝子」を調べる検査です。では、「染色体」と「遺伝子」はどう違うのでしょうか?人間の体は約37兆個の「細胞」でできています。皮膚も骨も筋肉も、すべて細胞の集まりです。そして、細胞の中には「核」があり、その中に「染色体」が入っています。

染色体は、体の設計図のような情報を持つ「DNA」がまとめられたものです。そして「遺伝子」は、そのDNAの一部分で、体の特徴や体質に関わる情報が書かれています。

◯細胞
人間の体を構成する最小のパーツで、約37兆個あります。細胞を「図書館」にたとえると、中央にある一番大切な部屋(書庫)が「核」にあたります。

◯染色体
DNAが折りたたまれた束で、たくさんの遺伝子を含んでいます。図書館でたとえるなら、大事な本が置かれている「本棚」です。人間は46本の本棚(染色体)を持っています。そして、その本棚に並んでいる、遺伝情報が書かれた本そのものが「DNA」です。

◯遺伝子
DNAの一部で、目の色や血液型、病気のリスクなど、体の性質(体質)を決める情報を持っています。図書館でたとえるなら、本(DNA)の中の「特定の情報が書かれた1ページ」が遺伝子にあたります。

着床前診断について、詳しく解説!

検査の方法
体外受精を行い、受精卵を胚盤胞まで育てます。その胚盤胞から、将来「胎盤」になる部分の細胞を数個だけ採取して、染色体や遺伝子の検査を行います。異常のない胚を選んで移植するため、流産のリスクを減らすことができます。検査は、日本産科婦人科学会に認められた施設で行われます。また、内容によっては専門の医師による遺伝カウンセリングが必要になります。

費用
基本的には自費診療です。PGT-Aは一部の医療機関で先進医療として行われており、保険診療と組み合わせて実施できる場合もあります。

【メリット】
・PGT-A / PGT-SR
胚移植1回あたりの妊娠率が向上し、流産率を下げられる。

・PGT-A / PGT-SR
妊娠にいたるまでの期間(不妊治療の期間)を短縮できる可能性がある。

・PGT-M
重篤な遺伝性疾患をお子さんに遺伝させるリスクを避けることができる。

【デメリット】
・一部の細胞を採取して調べるため、採取した部分に異常がなくても、別の部分に異常がある可能性を完全には否定できない(生まれてくる赤ちゃんに障がいがないとは言い切れない)。
・採取した細胞(将来の胎盤部分)に異常があっても、赤ちゃんになる部分の細胞は正常であるケース(モザイク胚など)もあり、判断が難しい場合がある。
・胚盤胞の細胞の一部を採取する検査であるため、受精卵が胚盤胞まで育たなければ検査自体を行うことができない。
・検査の結果、移植できる胚が1個もないということもありえる。

【PGT-A】胚の染色体「数」に異常がないかを調べる

どんな検査?
胚の染色体の「数」の異常を調べる検査です。通常の体外受精では、胚を見た目のグレードで判断して移植しますが、染色体の数の異常は見た目ではわかりません。それが着床しない原因になっていることがあるため、事前に数を調べるのがPGT-Aです。

対象者
・体外受精で胚移植を行い、2回以上妊娠が成立していない
・流産を2回以上くり返している
・女性の年齢が35歳以上の不妊症の方

【PGT-SR】染色体の「構造」の異常を調べる

どんな検査?
染色体の数の異常を調べるPGT-Aに対し、PGT-SRは染色体の「構造(かたち)」の異常を調べる検査です。ご夫婦のどちらか(または両方)に染色体の構造異常がある場合、同じ異常が胚に受け継がれていないかを調べます。染色体の一部が入れ替わったりくっついたりしている「転座」や、一部がひっくり返っている「逆位」などを確認できます。

対象者
・夫婦のどちらか、あるいは両方に染色体の構造異常が確認されている、習慣流産(不育症)や不妊症のカップル(※これまでに妊娠や流産の経験がなくても、構造異常がわかっていれば受けることができる)

【PGT-M】重篤な「遺伝性疾患」がないかを調べる

どんな検査?
染色体ではなく、「遺伝子」そのものを調べる点がPGT-AやPGT-SRと異なります。医学的に重篤な遺伝性疾患(一部の筋ジストロフィーなど)が遺伝することで、将来お子さんがその病気を発症する可能性のあるカップルを対象とした検査です。臨床遺伝専門医らによる入念なカウンセリングと、第三者機関を交えたカウンセリングが必要となり、日本産科婦人科学会へ申請して承認を得る必要があります。

対象者
・夫婦のどちらか、あるいは両方が、重篤な遺伝性疾患のお子さんが生まれる可能性のある遺伝子変異または染色体異常を持っていると確認されているカップル

企画:サンワードメディア

監修
監修

神田ウィメンズクリニック院長。
2000年信州大学医学部卒業。東京女子医科大学病院産婦人科学教室へ入局し2009年に医学博士取得。2010年より木場公園クリニック勤務。その後、荻窪病院虹クリニック、亀田IVFクリニック幕張などをへて、2020年神田ウィメンズクリニック開設。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

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