35歳からの妊活★不摂生しての１回も、体調をととのえての1回も、人工授精１回にカウントされます【一陽館薬局の子宝漢方NEWS】

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人工授精とは、洗浄・濃縮した元気な精子を、カテーテルで子宮に注入する方法。最初はためらう方も多いですが、排卵された卵子が卵管で精子と出会い、子宮内膜に着床する…という「妊娠の成り立ち」は自然妊娠と同じです。

人工授精を選択するケースは…

① タイミング法からのステップアップ

タイミング法をどのくらいの期間続けるかは、そのカップルの年齢や医師の指導によって異なりますが、妊娠に至らなかった場合、次の段階として人工授精をすすめられることが一般的です。

② 精子の状態があまりよくない場合

精液検査の結果、すぐに体外受精をしなければならないほどの数値ではないものの、自然妊娠はちょっとむずかしいという場合、人工授精が適応となります。
また、体外受精をしている段階で、移植がキャンセルになった場合や、お休み中の周期などに、人工授精を試みることもあります。

なぜ人工授精をするのか？わかったうえで治療を

前述のとおり、人工授精はおもに男性の精子の状態があまりよくない場合に用いられる治療法です。体や金銭面での負担が比較的軽いため、気軽にはじめられる第一段階の治療として周知されています。

ただし、みなが人工授精にトライできるわけではありません。女性の卵管が完全に詰まっている場合は、精子と卵子が出会うことができないため、人工授精は選択せず、体外受精へステップアップすることになります。

また、人工授精を４～６回繰り返しても授からなかったかたは、体外受精へ進むことが一般的です。高度な治療へ進むことで、検査ではわからなかった原因がわかることもあります。

こうした流れや意味を夫婦ともに理解した上で、人工授精を受けることをおすすめします。夫婦での共通理解があることで、うまくいかなかったときに、今後どう対処すべきかを二人で考えることができるでしょう。

「卵管の通りが悪い」これは１つのサインです

人工授精がなかなかうまくいかない要因の一つとして、「卵管の通りが悪い」ということがあげられます。

西洋医学では、卵管の通りが悪かったり、子宮筋腫があるといった症状は、不妊原因の１つとしてとらえますが、漢方では妊娠しづらいかたに見られる“サイン”として考えます。このサインから、「その人がどんな体質なのか」を見いだして、妊娠しやすい体へと体質改善をしていくのです。

卵管の通りが悪い場合、漢方的には「瘀血（おけつ）」という体質が考えられます。瘀血は血の流れがとどこおり、血のめぐりが悪くなっている状態のこと。
瘀血の方によく見られる症状としては、生理痛、冷え性、頭痛、肩こり、便秘などがあります。こうした症状がある方には、瘀血という体質にアプローチして、授かりやすい体へとととのえていきます。

普段からひどい生理痛があったり、経血がいつもドロドロとしているようなかたは、漢方による駆瘀血作用で、卵管の通りをよくし、受精や着床がしやすい状態をめざしていきましょう。

男性の精液には体調がダイレクトにあらわれます

人工授精を選択するのか、体外受精を選択するのか、まずは男性が精液検査を受ける必要があります。ただし、精液の状態はそのときの体調にかなり影響されるので、１度の検査結果が悪くても落ち込む必要はありません。何度か検査を受けることをおすすめしています。

女性の卵子は、原始卵胞（卵子のもと）が育って排卵されるまで約180日かかり、月に１～２個の卵が排卵されます。一方、男性の精子は新たにどんどん生み出され、成長するまで約75～80日間ほどとされています。

つまり、男性の精子は、女性の卵子に比べて生み出されるサイクルが非常に短いため、そのときの体調がダイレクトにあらわれます。ですから精液検査をするたびに、結果にバラつきがあるというケースは意外に多いのです。

人工授精をする前に、漢方で生理周期や精液レベルをととのえて

人工授精では、女性の「生理周期を安定させること」が重要になります。生理不順になる原因は、ストレス、体質、生活習慣などさまざまあり、漢方では原因に合わせてそれぞれ処方を変えて対応します。

経血量が多い、少ない、排卵日がずれる、高温期が短い、低温期が長い、といった不調があれば、それぞれに対応する漢方を処方し、体質改善を積み重ねていきます。

男性は、そのときの体調がダイレクトに精子に反映されますから、人工授精を行う時期は、体調をととのえて過ごすことが重要です。睡眠不足やストレス、疲れなどに注意して、体調をコントロールしましょう。

なるべく疲れをとり、リラックスするために漢方を利用することもできます。長期間の服用でなくても、その人の状態によっては２～３日間で効果が表れる場合もあります。

胃が痛い、よく下痢をするなど、おなかが弱いタイプの方は、漢方的にみると体の元気エネルギーが不足しやすい、もしくはストレスが多くてエネルギーを消耗しすぎて不足している状態で、精液検査の結果もよくないことが多いです。その場合、おなかの力を高め補うような漢方を服用することで、改善が期待できます。

人工授精が終わって結果が出るまでは、少し羽をひろげて過ごしてもＯＫです。不摂生していいということではありませんが、人工授精のために我慢し続けると疲れてしまいますから、気持ちをゆるめてリラックスして過ごしましょう。

実は“夫婦間の温度差”が出やすい人工授精期

人工授精では、女性はスケジュールを意識しながら病院に足を運んだり、薬を服用したりと、タイミング法と比べると日常生活に変化がでてきます。一方で男性はあまり大きく変わることはないため、人工授精をきっかけに、夫婦間で治療に対する熱量の違いがあらわになるケースも少なくありません。

男性は女性がどんな治療をしてどのくらい通院しているのかなどをしっかりと理解して、主体的にのぞむべきです。「妻に言われたから」「妻に協力してと頼まれたから」というような気持ちでとり組んでいても、いい結果は出にくいと思います。

コンディション次第では、来月に見送る勇気も

さらに人工授精は、期間や回数がクリニックによってある程度決められています。もし男性が不摂生をして、体調がよくない時期に人工授精をすることになっても、それは１回とカウントされ、貴重な人工授精のタイミングをムダにすることに。男性も女性も人工授精に向けて、コンディションを整える意識を持つようにしましょう。

また、タイミング法に比べて妊娠への“期待”が高まる分、結果出でなかったときの落ち込みが大きくなるのも、人工授精の時期ならではの悩みです。

もし夫婦どちらかのコンディションが、今月はあまりよくないなと感じたら、今回は見送るという決断もあっていいと思います。ただ回数をこなすのではなく、「コンディション次第では来月でもいい」という余裕を持つことも大切。タイミング法からステップアップした人工授精だからこそ、夫婦間のコミュニケーションもワンランクアップしてほしいです。

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取材・文／加藤夕子（リワークス）

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