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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 不妊治療コラム 妊娠10週以降の流産は検査を。8割が無事出産。不育症は治療すれば妊娠できます【立川ARTレディースクリニック】

妊娠10週以降の流産は検査を。8割が無事出産。不育症は治療すれば妊娠できます【立川ARTレディースクリニック】

2023/08/01 公開
2023/10/01 更新

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監修
立川ARTレディースクリニック
院長・医学博士
右島 富士男 先生

⇒立川ARTレディースクリニック
1人ひとりにあったオーダーメイドな治療を提案し、幸せであると実感できる医療を提供することを使命としています

流産を繰り返した場合、検査を受けましょう

一般的に、流産や死産を2回以上繰り返した場合には「不育症」と診断されますが、必ずしも「不育症」とは限りません。流産の原因となりうる何らかの原因を持っている可能性があるため、詳しい検査をしたほうが良いということ。

流産率は約15%で、その原因の約80%は赤ちゃんの染色体異常、いわゆる自然淘汰と考えられ、避けられないものなのです。一方で、初めての流産でも、妊娠10週以降で起こった場合はすぐに検査を受けるべきだとされています。なぜなら、赤ちゃんの染色体異常による流産の大半が妊娠初期に起こるため、10週以降の流産は別の原因である疑いが強まるからです。

実は、不育症検査を受けても約半数の人が「異常なし」との結果になります。非常に運悪く、赤ちゃんの染色体異常が続く確率は意外に高いのです。ただ、不育症の原因の明確化という点では、検査は受けるほうが良いでしょう。厚生労働省不妊症研究班の調査によると、不妊症外来を受診した人の約80%が最終的に無事出産しています。

不育症の原因とは?

不育症の半数近くが「異常なし」

不育症の原因はまだはっきりとわからない部分が少なくありません。現在判明している原因又はリスクが高いとされているのは、子宮形態異常、両親どちらかの染色体異常、血液凝固系異常(抗リン脂質抗体陽性やプロテインS欠乏など)、甲状腺異常などです。

抗PE抗体陽性者が多いのですが、この抗体が本当に流産の原因かは、未だ研究段階。検査をすると42.7%が「異常なし」と診断されますが、原因がわかれば治療が可能です。注意が必要なのは、不育症の検査・治療は一般的な不妊治療とは大きく異なるということ。不育症専門の医療機関を受診するのがベストです。

不育症の検査と治療

主な不育症のリスク因子と治療法を紹介。不育症の一次スクリーニング検査や治療のほとんどは、健康保険が適用されます。

夫婦の染色体異常

夫婦のどちらかに、「均衡型転座」などの染色体異常がある場合、流産を繰り返す確率が高くなります。「転座」とは、染色体の一部が入れ替わることで、遺伝子情報には変化がないため本人には表立った異常はありません。

ただ、卵子や精子がつくられる際に染色体の一部に過不足が生じ、流産などを誘発。ただし、「均衡型転座」は最終的に60~80%が無事出産しています。

検査と治療法
血液検査でわかりますが、遺伝カウンセリングを受けた上で、実施するかどうかを夫婦でしっかりと話し合う必要があります。染色体異常がみつかった場合、「着床前診断」という選択肢があります。体外受精時に、受精卵の染色体や遺伝子を調べ、異常の可能性が低いものを子宮に戻すというものです。

子宮の形態異常

子宮の形が正常でない状態で、程度の軽いものから重いものまで、さまざまな種類があります。その中で流産の原因と考えられているのは、中隔子宮や弓状子宮、双角子宮などです。中隔子宮は流産率が約50%と高いことがわかっています。ただ、子宮形態異常があっても、普通に妊娠して出産できる人は大勢います。

検査と治療法
超音波検査や子宮卵管造影検査で診断します。治療法は手術ですが、本当に手術が必要かは慎重な判断が必要。中隔子宮と双角子宮の場合、厚生労働省不妊症研究班の調査では、中隔子宮は手術をした方が経過観察よりも妊娠成功率が高く、双角子宮では手術でも経過観察でも変わらないという結果。ただ一方で、特に治療を施さなくても最終的には約8割が出産できたという報告もあります。

母体の内分泌異常

甲状腺機能亢進・低下といった甲状腺ホルモンのバランスが崩れる病気や、糖尿病などの持病があると、流産のリスクが上昇します。甲状腺機能亢進・低下を治療しなかった場合、妊娠成功率も25.0%と低いという厚生労働省不妊症研究班の調査結果もあります。持病をきちんと治療をしてから、妊娠計画を立てることが大切です。

検査と治療法
血液検査でわかります。異常がみつかった場合は、内科医と婦人科医が連携をとり、まず原因となる病気の治療を優先させ、症状を落ち着かせて
から妊娠を目指します。多くの場合、妊娠中も治療を続けます。甲状腺機能の異常には、自己免疫疾患が隠れている場合があるため、抗リン脂質抗体の検査も必要になります。

抗リン脂質抗体陽性

不育症の原因の中で、唯一治療法が確立している病気です。自己免疫疾患の一つで、血栓症や不育症を引き起こします。流産の原因としては、胎盤に血栓ができるためと考えられていましたが、近年の研究では、胎盤を作る毛細細胞に障害が起こり、胎盤本来の働きが失われるためとする結果も。妊娠中は血栓ができやすいとされています。血栓症のリスクも高いため、軽度でも治療が必須です。

検査と治療法
血液検査により、抗リン脂質抗体「陽性」が出て、さらに12週間「陽性」状態が続くと抗リン脂質抗体症候群と診断されます。抗リン脂質抗体症候
群の人は、妊娠中の血栓症のリスクが高まるため、血液をサラサラにして血栓を予防する低用量アスピリンを服用して治療します。ヘパリン注射との併用療法が行われることもあります。

Q1 不育症検査の結果、異常はないので治療は不要だと言われました。本当にだいじょうぶでしょうか?

A1 医療技術や治療経験を確認

不育症の検査を行っても、6割以上の人は明確なリスク因子がわからないため、「異常なし」という診断を、「原因不明」と感じて不安に思うか
たも多いようです。

しかし、計算上では、流産は2回の場合で64%、3回の場合で51%が赤ちゃんの染色体異常が原因、つまり不幸な偶然なのです。そのため、2回流産した人が何も治療せずに3回目の妊娠で無事出産する確率も約80%と高くなっています。きちんと検査をした上で「異常なし」なら、ぜひポジティブな気持ちで次の妊娠を目指してください。

Q2 一人目は普通に出産したのですが、その後、流産が続いています。どうしたらいいでしょうか?

A2 医療技術や治療経験を確認

一人目の妊娠では、何らかの不育症の原因・リスクを持っているにも関わらず運よく出産できた可能性もあります。続発性不育症かも知れませんから、不育症の検査を受けることをおすすめします。

診察を受ける際は、回数のほかに、流産した時の週数や年齢も原因を探る手がかりになります。ただし、出産経験のない不育症の人と比較すると、経産婦の場合は原因・リスクが判明する確率が低いとされています。

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