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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 不妊治療コラム 体外受精でグレードの高い卵を移植してもなかなか着床しない。原因は?できることはある?【妊活・不妊治療の知りたいこと/にしたんARTクリニック神戸三宮院】

体外受精でグレードの高い卵を移植してもなかなか着床しない。原因は?できることはある?【妊活・不妊治療の知りたいこと/にしたんARTクリニック神戸三宮院】

2023/01/31 公開
2023/10/05 更新

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妊活中には体のこと、治療のこと、さまざまな疑問・不安が出てくるもの。
そんなときは、妊活の専門家に聞くのが一番!ドクターにズバリお答えいただきました。

お答えいただいたのは…
にしたんARTクリニック神戸三宮院(兵庫県神戸市)
院長 大谷 徹郎 先生

1979年神戸大学医学部卒業。ワシントン大学医学部、ドイツ・キール大学医学部留学などを経て、1996年神戸大学医学部附属病院助教授。2000年より大谷産婦人科不妊センター院長。2011年神戸ARTクリニック開設。2023年7月長年の不妊治療の経験・ノウハウをより多くの患者様に届けるために、「にしたんARTクリニック神戸三宮院」に改称。

Q.体外受精でグレードの高い卵を移植をしているのになかなか着床しません。打開策はありますか?

A.大切な胚を戻すご自身の子宮内環境にも目を向けてみては

着床の問題は非常に複雑で今の医学でも分からないことが多い

体外受精は不妊治療のなかでも、胚(受精卵)の発育状況などを確認できるため、より良質な胚を子宮に戻すことができる最も妊娠率の高い治療法です。しかし、良質な胚を戻したはずなのに、なぜか着床せず妊娠しない…ということもよく起こります。

一般的に、胚はその見た目からグレードを付けられ、より良い見た目の、妊娠するだろうと思われる胚を戻しますが、それを複数回繰り返しても、なぜか着床しないことがあるのです。

実は、妊娠のメカニズムはまだわからないことも多く、不妊原因を調べるためにさまざまな最新の検査を駆使したとしても、今の医学で不妊原因が100%わかるわけではありません。

最適な着床の時期を調べるERA検査などは有用な検査です

着床しない原因として考えられる大きな要因は、胚側の問題、子宮側の問題、両方の問題の3つ。胚側の問題については有用な検査があるのですが、今回はたいせつな胚を戻す子宮側の問題について説明させていただきます。

初めに子宮側の問題として、「着床の窓」を調べるERA検査を積極的に実施しています。子宮内膜に胚が着床できて、妊娠が維持できる時間や時期(=着床の窓)は個人差があり、実際、検査を受けられたおよそ50%のかたに時期のずれが見つかっています。このかたがたは適切な時期に移植することにより妊娠の可能性が上がります。当院ではERA検査の結果をそのままうのみにするのではなく、当院が独自に積み重ねたデータをふまえて、検査結果を解釈し活用しています。

次に、子宮内膜の細菌を調べ、着床しやすい子宮環境にするためのEMMA検査やALICE検査もとり入れています。人の腸内にはさまざまな種類の細菌がバランスを取って腸内フローラを作り、腸内環境を良い状態にしていることは以前より知られていますが、それと同様に子宮内にも子宮内フローラが存在することが分かってきました。この子宮内フローラを調べる検査がEMMA検査です。この検査をすることで子宮内の細菌バランスを知ることができます。

また、胚盤胞が着床し成長していく大切な場所である子宮内膜ですが、そこに慢性的に炎症を引き起こしてしまう可能性のある10種類の病原菌がいるかをALICE検査では検出します。この疾患は、ほとんどの場合自覚症状がありませんが、不妊治療をされているかた、反復着床不全・反復流産経験者では罹患率が高い傾向が見られます。

もし、これら2つの検査で細菌のバランスが悪い場合や病原菌が見つかった場合は、適切な抗菌薬の服用や、プロバイオティクス治療をしていただくことで、子宮内の環境を整えます。子宮内に、バイ菌がいると絶対に妊娠できないわけではありませんが、経験上、ブドウ球菌がいると着床はむずかしいように思います。当院ではおおよそ20人に1人くらいの割合でブドウ球菌が検出されてます。

また、反復着床不全のかたにおすすめしているのはヘルパーT細胞のTh1とTh2の血液検査です。正常妊娠では胎児と胎盤を異物とみなし攻撃するTh1細胞が減少しTh2細胞が優位になり妊娠を維持すると考えられていますが、着床不全のかたはTh1/Th2比が優位に高い場合があり、これにより胎児を攻撃してしまう可能性が指摘されています。この場合、免疫寛容を誘導する内服薬を服用していただき、胚盤胞に対する拒絶反応を避けるようにし、着床あるいは妊娠継続しやすい体内状態を作ります。

他には、難治性不妊に対するPFCーFD療法があります。これは、患者様ご自身の血液から抽出した血小板由来の成長因子を濃縮・濾過して無細胞化させたもので、それをご自身の子宮内に注入する方法です。この成長因子には自己組織修復・抗炎症作用などを促す働きがあるので、子宮内膜が十分に厚くなること、また炎症を抑えることで子宮内環境の改善が期待でき、そのことにより胚盤胞が着床する可能性が高くなると考えられています。

また、ネオセルフ抗体と言って、着床不全のかたや不育症のかたで、アスピリンやヘパリンが必要かどうか判断する血液検査もあります。この抗体が陽性のかたは移植後アスピリンやヘパリンを使われたほうが着床率が上がり、流産率が下がる可能性があります。

そして当院では、子宮内膜ポリープや子宮内膜の炎症の有無がわかる子宮鏡検査を必須にしています。また、着床不全と不育症には共通する原因があるようで、不育症の検査をおすすめする場合もあります。

一人ひとりに合わせた
テーラーメイドな治療を提供しています

40代で治療を始める場合は、卵子を元気にするためにDHEAというサプリメントをおすすめする場合もあります。残念ながら市販はされておらず、日本では医薬品となります。

ERAやEMMA、ALICE検査は、遺伝子学的な検査であり、この分野はさらなる発展が期待でき、今後ますます不妊治療に活かされるのではないでしょうか。今後も最新技術をとり入れながら、患者さん一人ひとりの状況や体の状態に合わせて、テーラーメイドな治療を続けていきたいと考えています。

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時間をむだにしないことが大切
効率よく治療を進める工夫をしましょう

生殖補助医療がすすんできて、誰でも気楽に不妊治療を受けられるようになりました。「妊娠しないな」と感じたら、できるだけ早めに専門医を受診してください。

また、検査をしても特に不妊原因が見つからないという場合は、早めのステップアップを。タイミング法だけを続けていても、むだに時間を過ごしてしまう場合もあります。

32歳くらいからは「ある程度」急いで、35歳を過ぎたら「かなり」急いで、40歳を過ぎたら「非常に」急いでください。40歳を過ぎると急速に流産率があがり、染色体異常のない受精卵は減ってきます。時間をむだにせず、効率よく治療をすすめていきましょう。

にしたんARTクリニック神戸三宮院(兵庫県神戸市)


シンプルで過ごしやすい雰囲気の待合室。大きな窓からは三宮をはじめ、神戸市街が一望できます。


患者さんの大切な卵や精子を扱う培養室には約10 人の培養士が在籍。


体外受精の際に利用するリカバリールーム。


緊張せずに受けられそうな雰囲気の内診台。


診察するフロアとは別のフロアにキッズルームがあり、子連れのかたでも気兼ねなく受診できます。

住所
兵庫県神戸市中央区雲井通7-1-1 ミント神戸15階

問い合わせ
078-261-3500

アクセス
各線「三宮駅」よりすぐ

HP
https://www.ivf.co.jp/

時間
月/9:00~13:00・17:00~19:00
火/9:00~13:00・17:00~19:00
水/9:00~13:00・17:00~19:00
木/9:00~13:00・17:00~19:00
金/9:00~13:00・17:00~19:00
土/9:00~13:00
日/9:00~13:00
祝/△

△…予約のみ

『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』は、主婦の友社が運営する妊活・不妊治療のお悩み解決メディア。ドクターや専門家監修の信頼コンテンツを中心に「妊娠したい」を全力サポートします。全国のクリニックや施設の検索もラクラク。

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