“不妊治療”といっても、方針や方法はクリニックによって全然違う!
不妊の検査や治療を受けてみようと思ったときに、クリニックや病院を検索すると候補がたくさん出てきて、とまどいます。実は不妊治療専門のクリニックといっても、施設によって治療方針や方法は違います。
高度生殖医療の最先端を走り続ける名医・浅田義正先生が、不妊治療におけるクリニック選びの重要性について紹介します。
関連記事→世界で最初に体外受精が成功したのはいつ?どこで?体外受精について知りたい!【不妊治療Q&A】
体外受精を行なう施設は全国に数多くあります
妊活のよくある誤解①
どのクリニックでも同じような不妊治療が受けられますよね?
現在、日本全国に体外受精を実施している施設は、どれくらいあると思いますか?
実は、なんと600カ所以上あります。大学病院や総合病院、産婦人科医院など、その形態や規模はさまざまです。
こうしたなか、不妊治療の専門施設もたくさんあります。その多くは個人のクリニックで、治療方針はそれぞれの施設によって異なります。
→卵巣刺激法や採卵、麻酔の有無は、施設によって違う!
特に体外受精については、それぞれ基本となる治療方針を掲げていて、治療法には個性や特徴があります。たとえば、体外受精で卵巣から卵子を取る「採卵」を例にとってみましょう。
採卵の前には、複数の卵を育てる目的で、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激します。この卵巣刺激の方法、薬の使い方などは、クリニックによって考え方が違い、さまざまな方法が行なわれています。
また、採卵の方法や採卵時に麻酔をする・しないといったことも施設によって異なります。
受精卵ができたら、その培養のしかた、胚(受精卵)をどの段階で凍結するか、胚をいつどのように子宮に戻すか…。これらも施設によって考え方が違うのです。
「Aクリニックでは、排卵誘発剤の注射をたくさん使って打ったけれど、Bクリニックでは飲み薬だけだった」「採卵のとき、Cクリニックでは麻酔をしたけど、Dクリニックでは麻酔をしなかった」。転院したことがある方なら、その違いに驚いたかもしれませんね。
→多種多様な治療法は、教育制度の影響?!
それは、日本では生殖医療について体系的に教える機関がないからです。
現在、生殖医療について専門的に学びたいと思った医師は、病院やクリニック、海外の病院や研究施設などへ行って勉強するか、誰かに教えてもらうなどしなければなりません。そうして実績を重ねた医師が、不妊治療専門クリニックを開業するケースが多いのです。
自身のクリニックで経験を重ねながら、自分なりの治療法も考えるでしょう。そうして治療法は百花繚乱となったのです。
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医療法人浅田レディースクリニック理事長。
より短い治療期間で妊娠という結果を出すため、エビデンスに基づいた治療や痛くない不妊治療・痛くない採卵を行なう。1982年名古屋大学医学部卒業。88年名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として不妊外来を担当。95年同病院分院でICSIによる治療開始。同年日本ではじめて精巣精子を用いたICSIによる妊娠例を報告。2004年浅田レディースクリニック(現・勝川クリニック)開院、10年浅田レディース名古屋駅前クリニック開院、18年浅田レディース品川クリニック開院。著書に『名医が教える最短で授かる不妊治療』『女の子が知っておきたい卵子のハナシ。』がある。
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