精子の材料になるたんぱく質や亜鉛はもちろん重要ですが、奇形精子を防ぐという意味でDHA不足に要注意です。
DHAは体内では合成されないため、食べ物で摂取するしかありません。“魚の油”に多く含まれ、特にぶり、さば、さんま、うなぎ、いわし、鮭、真鯛などに豊富。これらに加え、あさりやかきなど貝類も含めて魚介類をとるようにすれば、たんぱく質、亜鉛、DHA、妊活の要であるビタミンDもとれるから最強です!
精子は活性酸素の防御力が弱いから「抗酸化」を!
さて、ここからは精子を「守る」ためのお話です。
卵子の場合は、卵胞液中のメラトニンが抗酸化物質となって、活性酸素から守ってくれます。ところが、精子の防御力は弱いことで知られています。精子を守るには「抗酸化」がキーワードです。
酸化の原因は、体の細胞をサビつかせる活性酸素。体の中で活性酸素がふえると、酸化ストレスとなって精子の質を低下させてしまいます。
活性酸素は普通に生活していてもつくられてしまうものですが、タバコ、お酒の飲みすぎ、酸化した油(揚げ物やフライ系の菓子類、植物油の使い回しなど)、精神的なストレス、睡眠不足などによって、ふえてしまいます。精子はこれら酸化ストレスのダメージを受けやすいため、体によくない生活をつづけていると、精液検査での数値がどれもこれも下がってしまうのです。
また、精巣は熱に弱く、精巣の温度が高くなると精子形成や精子の質にマイナスの影響を与えてしまいます。その点も注意しましょう。
[妊活男性に心がけてほしい生活習慣]
●タバコは卒業、飲酒はほどほどに
●酸化した油に気をつけて
●魚介を食べよう!
●野菜・果物を毎日食べる
●高脂肪食・太りすぎに注意する
●長風呂、サウナ、ひざの上でのパソコン作業を避ける
●タイトな下着をはかない(体温がこもるため)
野菜と果物で「抗酸化物質」を毎日チャージ!
野菜や果物、海藻などの植物は、自然由来の抗酸化物質を含んでいて、活性酸素を消去する力をもっています。
抗酸化物質となってくれるのは、抗酸化ビタミンといわれるビタミンA・C・E。そして、ポリフェノールやカロテノイドなど、植物が紫外線や有害物質から身を守るためにつくり出した色素や香り、辛味、苦みなどの成分(フィトケミカル)です。
野菜がもつ抗酸化力の目安として、「食品別 抗酸化点ランキング」(※3)があり、これによると、パプリカ、赤ピーマン、トマト、小松菜、キャベツ、なす、大根、れんこん、キウイ、いちご、オレンジ、みかん、ぶどう、すいかなど、身近な野菜や果物が高得点でランクインしています。
野菜や果物はどれを食べなければいけないということではなく、「献立に赤・黄・緑・紫・白・黒・茶の7色の中から5色がそろうと、栄養バランスもととのう」と、私はいつもお話ししています。
カラフルな色の野菜と、白(玉ねぎ・大根・長いもなど)、黒(海藻)、茶(ごぼう・きのこなど)から、いろいろな種類を選んでみてください。
妊活をスタートすると、これを食べたほうがいい、あれは食べないほうがいい、と情報が入りまじって、戸惑ってしまうかもしれません。でも、基本は栄養バランスよく食べること。これがいちばん大事です。
食べることを楽しめるように、おいしく、色の豊かな食卓にしましょう!
取材・文/水口麻子
※1 Fertil Steril 2011; 95: 1820-3 ※2 生殖機能/Hishikawa-Iizuka, Y. et al., Lysophosphatidic acid acyltransferase 3 tunes the membrane status of germ cells by incorporating docosahexaenoic acid during spermatogenesis. ※3「食品別 抗酸化点ランキング(食品分析開発センターSUNATEC)」
〈あわせて読みたい記事〉
●卵子だけじゃなかった!精子にもピークがあるってホント?【男性不妊クリニック院長に聞く】
●サウナ好き必見!熱に弱い精子は回復するに〇ヶ月…【ドクターに聞きました】
●不妊カップルの半数は男性側に原因が。精液の状態の基準値は?【医師監修】