「持病のあるかたも1カ所で産後まで安全にサポートします」埼玉医科大学総合医療センター/髙井泰先生【クリニックpick up】
埼玉県川越市を含む地域の中核病院である埼玉医科大学総合医療センター。現在は、総合周産期母子医療センターが併設された産婦人科内で不妊治療を行っています。今後は、約5年後を目標に外来棟を新設し、不妊治療部門を「リプロダクションセンター」として独立させる計画があり、また、2026年には川越駅前の埼玉医大かわごえクリニック内にサテライト外来の開設を予定しています。
今回は、同センター教授の髙井泰先生にお話を伺いました。
埼玉医科大学総合医療センター 産婦人科・総合周産期母子医療センター母体胎児部門
教授 髙井泰先生

東京大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本生殖医学会 生殖医療専門医・指導医、日本産婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)、日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医、臨床研修指導医、日本がん・生殖医療学会 認定がん・生殖ナビゲーター。
Q1.髙井先生が生殖医療を目指したきっかけは?
A. 東大病院産婦人科時代の教授や諸先輩がたの導きが出発点
東京大学医学部卒業後、産婦人科で研修をしました。東京大学はもともと生殖医療にかなり力を入れていて、当時いちばんお世話になったのが、皇后陛下のご出産を担当された現・山王病院名誉院長の堤治先生です。堤先生の導きで、生殖医療を目指すようになりました。
もちろん、そのときの教授であられた武谷雄二先生や現・フェニックス アートク リニック院長の藤原敏博先生など多くの先輩がたにも、とてもよく教えていただきました。
私より少し前の世代は、医師が自分で培養液を作っていて、私がいたころはまだその名残がありました。そういう中でいちばん言われたのは、「不妊だけをやるのではなくて、生殖医療全般+産婦人科医療全般に精通していなくてはいけない」ということでした。基本や理論を非常に重視するのが東京大学のポリシーで、「生物学としての不妊治療であり、生殖医療である、そこが大事だ」ということなんです。
不妊治療だけでなく周産期も、そして子宮筋腫や悪性腫瘍などの病気についても、きちんと知っていることが必要だと指導していただいたことが、今の自分につながっています。
Q2.埼玉医科大学総合医療センター 産婦人科 総合周産期母子医療センターのアピールポイントを3つ挙げるとすれば?
ポイント①
わが国最大級の総合周産期センターがあるので分娩まで安全に管理できる
当センターでは、一般的な不妊症の患者さんはもちろん、透析中のかたや自己免疫疾患のかた、悪性腫瘍のかたなど持病のある方々に対しても不妊治療を行っています。そのような、「妊娠させても大丈夫なのか」「妊娠後にどうなるかわからない」「母体に病気があるが赤ちゃんは大丈夫なのか」などといった不安がある場合にも、医学的科学的にしっかりお話したうえで、最善の医療を尽くしています。
さらに、不妊治療をして終わりではなく、無事に赤ちゃんが生まれるところまで、またその先までしっかりサポートしています。
出産するとどうしても育児に時間をとられて自分の体のことが後回しになり、いつの間にか子宮筋腫や子宮内膜症がひどくなってしまうかたも少なくありません。そのようなことがないよう、子宮筋腫や子宮内膜症など、産後もずっと付き合っていくような病気をお持ちのかたをはじめとした、産後のお母さんたちの健康もサポートすることが大事だと考えています。

ポイント②
医学研究としての生殖医療に取り組む環境がある
生殖医療の発展は日進月歩です。患者さんの診療を行うことはもちろん大事ですが、生殖医療の研究も大事だと思っています。
当センターには研究室があり、常に新しいことに取り組むことができる環境が整っています。私も、もともと卵巣の研究をしていて、現在も卵子幹細胞を用いた新しい不妊治療法についての研究を続けています。
ポイント③
各科と連携が取れるので、持病があっても複数の病院に通院しなくてすむ
最近は専門の分化が進んでいますが、不妊治療だけ、お産だけ、腹腔鏡やロボット手術だけとなると、その間の部分がどうしても連携不足になりますし、その部分の知識があやふやになりがちです。
当センターは大学病院内にあるので、すべてが1つのところで完結します。内科の病気を治療しているかたや人工透析を受けている腎不全のかたなど持病をお持ちの方々も、「紹介状をもらって別の病院を受診し、その結果を持って元の病院に戻る」という必要がありません。
周産期の専門家以外にもいろいろな専門家、いろいろな科が1つのところに集まっているからこそ、密接な連携体制が取れます。
Q3.髙井先生の趣味やストレス解消法は?
A. 大学時代に合唱団で知り合った妻と一緒にクラシック鑑賞
大学時代は「白ばら会合唱団」という合唱団に所属して歌っていましたが、今は音楽鑑賞です。忙しくて時間がなかった若いころをへて、最近は、自分の時間をうまくコントロールして、クラシックコンサートを聴きに行けるようになりました。実は、妻とはその合唱団で知り合って趣味が同じなので、コンサートにはだいたい妻と一緒に出かけています。
2025年は合唱団の80周年にあたり、100人くらいOBOGが集まって盛大に記念演奏会が行われました。ずっとブランクがあったのですが、私も仲間と一緒に最近の日本の曲やブラームスの曲などを歌いました。ただ、練習にはあまり出られず、最後は一生懸命詰め込みました(笑)。
会場で実際に歌ってみると、「もっと、あれができたんじゃないか、これができたんじゃないか」と思うことがあったものの、楽しかったです。久しぶりに仲間に会えたのも、面白かったですね。
Q4.患者さんと接するときに心がけていることは?
A. 患者さんに伝わる形でサポートすることが大事だと思っています
どんな人でも、1回聞いただけでその話を全部わかるというのは、むずかしいと思うんです。まして、不妊治療は、注射をして、血液検査をして、超音波検査を受けて、採卵して…と、とにかくやることが多いですよね。そういうスケジュールやそれぞれの検査などについて、行う意味を1回で理解するのは無理だと思います。いろいろ調べても情報がたくさん出てきて、何が正しいのかわからないということもあるはずです。
ですから、繰り返しいろいろな人が説明するとか、紙にして渡すとか、動画にするとか、いかにしてうまく患者さんに伝えるかを考えています。「医師から言われると理解できないけれど、看護師から言われるとわかる」というように、自分に合った人から聞いたほうがわかりやすいということもあるでしょう。患者さんに納得していただける形で、いかにサポートできるかが大事かなと思っています。

Q5.妊活されているかたへメッセージを!
A. 持病のあるかたの妊活には最善の医療を。持病のないかたも、卵子凍結から産後までトータルにサポート
当院は40年ほど前に開院し、開院当初から不妊治療に力を入れてきました。埼玉県で初めての顕微授精を行ったのも当院です。
さまざまな持病をお持ちだと、不妊治療をしたいと思っていてもなかなか受け入れる施設がなかったり、何カ所にも通院しなくてはならなかったりすることがあるでしょう。当院は1カ所でいろいろな科が連携しながら診療することができますので、ぜひご相談いただければと思います。それに対して、最善の医療を提供したいと思っています。
また、未婚の方の卵子凍結も行っています。いずれ妊娠されたときにも、妊娠中、出産、出産後まで、トータルにサポートすることができますので、ぜひご相談ください。
取材・文/荒木晶子
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