〈体外受精Q&A〉初めてでも安心!排卵誘発~採卵まで全部教えます【不妊治療専門医監修】
「体外受精を考えているけれど、何をするのかよくわからない」「体外受精の採卵って痛くないの?」。そんな疑問や不安を抱える体外受精ビギナーのために、明大前アートクリニック院長の北村誠司先生に体外受精についてわかりやすく解説していただきました。
【体外受精Q&A】第1回は、排卵誘発から採卵までについてです。
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PROFILE●北村誠司先生

1987年慶応義塾大学医学部卒業。荻窪病院虹クリニック院長をへて、2018年2月「明大前アートクリニック」を開院。子宮鏡下手術・腹腔鏡手術による子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜ポリープの解消・改善を積極的にはかる。日本生殖医学会認定 生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会評議員。
Q:体外受精って、そもそもどんな方法?

体外受精とは、体外で卵子と精子を受精させ、子宮に移植する方法です。卵子は注射などによって排卵を誘発し、複数の成熟卵を育てたうえで、手術で卵巣から採卵します。精子は精液を遠心分離機にかけたあと培養液に入れ、表面に上ってきた運動性の高い精子を集める「スイムアップ法」などで回収します。
受精の方法には、シャーレに入れた卵子に精子をふりかける通常の体外受精(IVF)と、顕微鏡を使って卵子に細いガラス針を刺し、精子を注入する顕微授精(ICSI)の2つがあります。
Q:体外受精に向いているのはどんな人?
体外受精に向いているケースは以下の3つ。
①精液所見が悪く、タイミング法や人工授精で妊娠が望めない場合
②タイミング法や人工授精を3~4周期行って妊娠しない場合
③卵管が詰まっていたり、腫れていたりして、卵管内で精子と出合うことがむずかしい場合
精子の数がとても少なかったり、運動率が悪かったりした場合や、体外受精でなかなか受精しない場合には、顕微授精を行います。
Q:排卵誘発にはどんな方法があるの?

体外受精では排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行います。排卵誘発法には、〈低刺激法〉〈中刺激法〉〈高刺激法〉に分けられ、どの方法を採用しているかはクリニックの方針によって違います。現在不妊治療専門クリニックで採用されているのは「PPOS法」が多いですが、効果が得られない場合にはほかの方法に替えることもあります。保険診療で行う場合、通院する日数はどの方法でも3~4日です。
〈排卵誘発法:低刺激〉
●クロミフェン周期法/フェマーラ周期法
自然な状態では排卵がうまくできない人や卵巣機能が低下している人(卵巣に残っている卵胞の指標となるAMH値が低め)に向いている方法です。月経3日目から排卵誘発剤のクロミフェン(フェマーラ)を内服し、月経8日目と10日目にhMGまたはFSHを少量注射(75単位ほど)します。hMGは卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン(LH)を含んだもの、FSHは卵胞刺激ホルモンで、卵巣を刺激して卵胞の発育を促す働きがあります。採卵日の2日前にhCG注射またはGnRHアゴニスト点鼻薬を使い、卵胞の成熟を促します。
〈排卵誘発法:中刺激〉
●クロミフェン+FSH周期法/フェマーラ+FSH周期法
より多くの卵子を採卵するため、低刺激法より少し多め(150~225単位)にFSHを注射します。スケジュールは低刺激の場合とほぼ同じで、月経3日目からクロミフェン(またはフェマーラ)を内服し、FSHを1日おきに注射します。採卵日の2日前にhCG注射またはGnRHアゴニスト点鼻薬を使って卵胞の成熟を促します。
〈排卵誘発法:高刺激〉
●PPOS法
月経2~3日目からFSH/hMGを連日注射するとともにデュファストンなどの黄体ホルモン剤を服用します。採卵日の2日前にhCG注射またはGnRHアゴニスト点鼻薬を使って卵胞の成熟を促します。黄体ホルモン(プロゲステロン)を内服することで排卵を抑えるとともに、卵巣が腫れたり、腹水が溜まるなどの症状が出る「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」のリスクも低くできます。黄体ホルモンを使うため、子宮内膜の環境が着床に適さなくなるので、採卵後受精させた胚はすべて凍結し、翌周期以降に凍結融解胚移植を行います。
●アンタゴニスト法
hMGの使用量が少なくなることで、体の負担が軽減されます。前周期の月経3日目から卵胞ホルモン(エストロゲン)、月経15日目から黄体ホルモンを内服します。内服が終わった5日後からFSH/hMGを連日注射し、卵胞の大きさを確認した後、GnRHアンタゴニストの注射で排卵を抑えます。採卵日の2日前にhCG注射またはGnRHアゴニスト点鼻薬を使って卵胞の成熟を促します。
●ロング法
前周期の高温期の中ごろからGnRHアゴニスト点鼻薬を使用し、月経3日目からhMGまたはFSHを連日注射します。採卵日の2日前にhCG注射で卵胞の成熟を促します。多くの卵子を採卵できる方法ですが、hCGの注射によりOHSSのリスクが高くなることもあり、最近ではあまり行われていません。
●ショート法
月経1日目からGnRhアゴニスト点鼻薬を使用し、月経3日目からhMGまたはFSHを連日注射し、採卵日の2日前にhCG注射で卵胞の成熟を促します。GnRHアゴニスト点鼻薬を使用し始めるタイミング以外はロング法と同じで、やはりOHSSのリスクがあります。
Q:採卵ってどうやるの?痛くない?

「採卵が痛い」と訴える人は少なくありません。当クリニックの場合は静脈麻酔を行なって痛みを軽減して採卵していますが、なかには局所麻酔で行う施設もあります。採卵時は経膣超音波で卵胞を確認しながら、採卵針を卵巣に刺して吸引します。
採卵後はリカバリールームで休んだ後(2時間前後)、帰宅します。静脈麻酔をした後は、眠気やフラフラする、吐き気などの副作用が出ることもあるので、当日は仕事を休んだほうがいいでしょう。
Q:精子はいつ、どこで採取するの?
精液は採卵当日に自宅で採取してクリニックに持参する場合と、クリニックの採精室で採取する場合とがあります。自宅で採取した場合は、できるだけ短時間に温度管理に気をつけながら持参することが必要です。当クリニックでは、20~26度で保管できる「シードポット」という精液運搬用の容器を用いて持参してもらっています。
採取した卵子と精子は、その日のうちに受精させて培養します。
【体外受精Q&A】続きを読む>>初めてでも安心!培養~胚移植まで全部教えます【不妊治療専門医監修】
取材・文/荒木晶子
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