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PGT-Aを受けられる対象が拡大!その理由とは?加藤レディスクリニック院長に聞く「注意すべきこと」

2026/01/22 公開
加藤レディスクリニック

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2025年9月より、「PGT-A(着床前胚異数性検査)」の対象が拡大されました。それを受けてあかほし編集部では、対象が拡大された理由や新たに加わったポイントなどについて調べました。

また、背景拡大によるメリットや注意すべき点などについて、加藤レディスクリニックの加藤恵一院長にお話を伺いました。

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PGT-Aの対象に「女性が高齢(目安として35歳)の夫婦」が加わったのはなぜ?

加藤レディスクリニック

「PGT-A」は、体外受精を行って受精した胚を培養し、育った胚盤胞の細胞の一部を切り取って、染色体の数に異常がないかどうかを調べる検査です。以前は①胚移植を行って2回以上不成功の場合、②2回以上流産・死産をした場合が対象でしたが、今回、③女性が高齢(目安として35歳)の夫婦も対象に加わりました。

なぜ年齢要件が追加されたのか、あかほし編集部はその背景を考えてみました。

体外受精で2回以上の着床不成功や流産が起こる要因として「胚の染色体異常」が大きく関係していること、特に女性の年齢が高くなると異常の頻度が増えることは、生殖医療の現場では以前から認識されていました。

異常がない胚を移植することで、繰り返す着床の不成功や流産を防げる可能性があると考えられていた一方、「PGT-Aを行っても治療成績が上がるわけではないので、なんでもかんでもPGT-Aを行なえばいいわけではない」という議論も過去にはあったようです。

そのような中で、2017年からパイロットスタディ(小規模な対象者に対して行う予備調査)がスタート。2020年から2022年8月まではさらに対象を広げた特別臨床研究が行われ、その間、PGT-Aは一定の条件をつけて実施されました。特別臨床研究終了後は①と②を対象者として行われていました。

特別臨床研究の研究論文のデータからは、少なくともPGT-Aを行うと移植あたりの生児獲得率(出産にいたる割合)と流産予防に効果があることが証明されたと同時に、女性の年齢が高くなると染色体の異常が増えることも裏付けされました。

そのため、日本生殖医学会と日本産科婦人科学会では会員や一般の人の意見も募り、年齢についての要件を入れるかどうかが議論されました。前述の生児獲得率と流産予防への効果が証明されたことで、「なぜ2回流産しないと行えないのか」などの声が多くの女性から寄せられ、潜在的に対象拡大のニーズがあったこともうかがえました(「適応拡大に対する共通回答」日本産科婦人科学会)。

焦点となったのは、「何歳をもって高齢とするか」ですが、日本産科婦人科学会が毎年発表している「体外受精・胚移植等の臨床実施成績」などさまざまなデータから、35歳以上で妊娠率が下がり、流産率が上がるなどの影響が強くなってくることが示されたため、35歳を目安とすることに決まったと考えられます。

女性が高齢(目安として35歳)の夫婦がPGT-Aによって受ける恩恵とは?

それでは、今回「女性が高齢(目安として35歳)の夫婦」が対象に加わったことで、35歳以上の人はPGT-Aによってどんな恩恵を受け、どのような点に注意が必要なのでしょうか。

加藤レディスクリニック院長の加藤恵一先生は、「やはり流産を予防できるメリットが大きいと思います」と話します。

「もともと、正常な胚と異常な胚とでは、異常な胚の占める割合が大きいです。さらに、臨床研究の成績を見ると、35歳ぐらいからだんだんと異常な胚の割合が増えていき、正常な胚の割合が減っていきます。つまり、それだけ流産率が上昇するということです。

さらにPGT-Aを行った場合、どの年齢においても妊娠率は約70%、流産率は約10%とほぼ一定になったというデータもあります。PGT-Aを行って異常な胚(異数性の胚)の移植を回避するのは、流産を予防するという観点から見て恩恵があるといえるでしょう」

加藤レディスクリニック
日本産科婦人科学会ARTデータブック「2023年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」中の「ART妊娠率・生産率・流産率2023」

加藤レディスクリニック

2023年5月31日付論文「着床前遺伝子検査における異数性および染色体構造再編成:日本産科婦人科学会による全国調査の概要」

PGT-Aを行う前にはメリット・デメリットを含む説明が必須

とはいえ、対象が拡大されたからといって、当てはまるすべての人がPGT-Aを行なえばよいかというとそうではありません。「生殖医療を行ううえで、治療を行うなかで検査や投薬などいろいろな過程が増えれば増えるほど、それがかえってマイナスとなり結果に繋がらない可能性がありうる」と、加藤先生は警鐘を鳴らします。

「何もしなければ妊娠したはずの人が、過程を増やしたことによって妊娠しなくなる可能性があるのです。しかも、それを事前に見分けることはむずかしい。

例えば、35歳でこれまで不妊治療をしていなくて流産したこともない人の場合でも、年齢的には流産のリスクがあるのでPGT-Aを行うメリットはあります。けれども、35歳だからというだけで流産歴のない全ての方にPGT-Aを行う必要があるかというと、必要性は低いと思います」

もし医師が患者さんにPGT-Aをすすめる場合には、単に「流産予防になる」という以外にも説明が必要だといいます。

「まず、学会のルールを説明したうえで、その方の年齢など、PGT-Aを行ったほうがいい理由について説明が必要です。それに加えて、本来は保険で治療できる体外受精が採卵からすべて自費になることや、費用の概算の説明も必要でしょう」

さらに忘れてはならないのは、PGT-Aにはメリットだけでなく、デメリットもあることです。

「最も大きなデメリットは、生検を行うことによって胚がダメージを受け、それが原因で妊娠できなくなる可能性があることです。生検をしたために妊娠しなくなったということは、生検をしなければ妊娠できた=正常な胚であったということ。年齢が若いほど異数性を示す胚の割合が少なく、正常な胚が多いので、流産や不成功を繰り返すことがない人に、胚がダメージを受けるというリスクをとってまでPGT-Aを行うべきかを考える必要があります」

それ以外にも、診断精度が100%ではなく、正常な胚を異常と判断して移植できなかったり、異常な胚を正常と判断して移植してしまうという可能性もあります。

★加藤先生からの提言★

保険で治療が可能なほとんどの方はPGT-Aを行わず、保険で不妊治療を行なえばよい

メリット・デメリットを考えたうえで、「最初からPGT-Aを行ったほうがいいのは、40歳ぐらいで流産歴が1回あって、次の妊娠では流産したくないと思っている方」と、加藤先生は話します。

「それ以外には、保険での診療回数がなくなって自費になるタイミングの、費用面でデメリットがない方です。

また、すでに自費で治療をされている43歳ぐらいの方であれば、異常な胚の割合が高い年齢なので、生検によって胚がダメージを受けて妊娠しなくなるリスクよりも、PGT-Aを行わずに着床しなかったり、流産になるデメリットの方が大きくなります。そのため、PGT-Aによって異常な胚を移植するリスクを回避するほうが現実的です」

つまり、上記にあてはまらないほとんどの方は、「保険で不妊治療を行なえばいい」と、加藤先生。

「繰り返しになりますが、保険で不妊治療を行う際に何がネックとなり、その問題をカバーするオプションの一つとしてPGT-Aがあること、それによってどの程度自費診療を勧めるのか、妊娠率向上が期待できるのかについてきちんと説明があり、患者さんが理解して納得できたのであれば、PGT-Aを受ければよいと思います。そのような説明がなく、患者さんが理解も納得もできていないならば、保険で不妊治療を行なえばいいのです。

逆にいえば、PGT-Aはきちんとした説明をしてくれるクリニックで受けることがたいせつです。高度な技術やいろいろな過程が付け加わるほど、病院選びがとても重要になると思います」

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取材・文/荒木晶子

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監修
監修

金沢大学医学部卒業。国立金沢病院、国立病院東京災害医療センター、New Hope Fertility Centerを経て、2007年より加藤レディスクリニック勤務。2013年院長に就任。できるだけ自然に近い形での妊娠をめざす「自然・低刺激周期」の体外受精を実践している。日本受精着床学会理事。

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