【乳がん全摘/だいたひかるさん】45歳、乳がん私も子どもを産めますか?独占インタビュー②
がんの主治医に不妊治療の再開を伝えたとき、だいたさんはおそるおそる「再発後に出産した人っていますか?」と聞いてみたそうです。
その答えは「残念ながら、私が知る範囲ではいません」とのこと。
「そんな前人未踏の世界に45歳で挑戦することになっちゃって(笑)。でも先生は止めたりせず『私も全力で応援します』とエールをくださいました」
乳がんの治療は中断し、夢を追いかけることに決めただいたさん。もちろんむちゃはしません。3カ月に一度は定期検査を受け、再発がないかはこまめにチェックしているそうです。
幼いころの小泉さんが土手を走っていた写真があまりにかわいかったので、おなかの子を「土手ボーイ」と命名。
胎児の成長がわかるアプリを見ながら楽しんでいるそうです。
5年間待ち続けた受精卵おかえり、待っていたよ!
不妊治療を再開するにあたり、だいたさんと小泉さんは、凍結しているラスト1個の受精卵を子宮に戻したら、それで不妊治療は終わりにしようと決めました。
「着床してもしなくても、この受精卵がなくなってしまったらおしまい。それで十分。『それで私の気がすむんだ』と夫に伝え、彼も全面的に賛成してくれました」
そして迎えた5月14日。5年間ずっと待っていてくれた受精卵を、だいたさんのおなかに戻したのです。
「移植する前に培養士さんから『とても状態のいい受精卵ですよ』と言っていただけてうれしかった。移植するときも、先生がモニターを見ながら『いまスポイトで吸いとりましたよ』『子宮内膜のいちばん厚いところに置きましたよ』って。その声があたたかくて、たいせつにされている感じがして、安心できました」
だいたさんに「乳がん健診を受けてね」と教えてくれた小さな命。5年間、ずっと待っていてくれた小さな命。その命が、ママのあたたかいおなかの中に戻ってきた瞬間でした。
「おかえり。待たせてごめんね、という気持ちでお迎えしました」
妊娠しているかどうかの確認までは、わずか1週間。
「胚盤胞で移植したので、たった1週間で妊娠判定できちゃうんです。でもね、わかるのがうれしくもあり、こわくもある。もっと時間がかかってもいいのになぁって思っていました。この子がおなかの中にいる幸せな時間を、少しでも長く味わっていたかったんです」
1週間後、クリニックで血液検査をしたところ、「妊娠していますね」といううれしい結果を告げられました。
「ポカーンとしてしまいました。確かに体がちょっとほてっていて、なんとなくボンヤリしていたんですが…」
小泉さんは「おおおおおおーーーー!」と雄たけびをあげてくれたとか。
コロナ禍なので、いっしょに話を聞くことはできないものの、「そばにいたい」と病院の外で待っていてくれた小泉さん。ふたりで喜びをわかち合ったあと、ブログで結果を報告。見守ってくれていた多くの読者と、その喜びを共有したのです。
「もちろん、この先何があるかはわかりません。うれしいときも伝え、ダメになっても伝えます。どうなろうとそのとき、そのときを受け止めて、前を向いていくつもりですから」
膀胱に尿があると移植しづらいと言われて、水分をとらずにサンドイッチだけに。
「でも、塩分が強くてのどが渇いて、水を飲んじゃった。」
目標はふたりの子どもを持つこと。ケンカしている場合じゃない
ここまで話を聞いていると、だいたさんと小泉さんはうらやましくなるほどの仲よし夫婦。
不妊治療の間に、ギスギスすることはなかったのでしょうか?
「ありましたよ~。特にタイミング法をやっていたときは、かなりピリつきました。排卵したら『24時間以内に精子をお迎えしなくちゃ!』って思うから、めちゃくちゃあせりますよね。
夫の帰りがおそいと、何やってんだよ、チャーター機飛ばして帰ってこいよ!みたいな気持ちになって(笑)、かなり不協和音が流れていました」
それでもお互い仲よしでいられたのは「目標はふたりの子どもを持つこと」という原点がブレなかったせいだと言います。
「だからお互いに『ケンカしている場合じゃないよね』っていう気持ちがありました。不協和音が流れると、彼は私に温活グッズをプレゼントしてくれるんです。ブランケットとか、靴下とか。私ですか? 私は彼にちょっといいお肉を食べさせます。シャトーブリアンとか。それでお互いにテンションが上がるってわかっているので(笑)」
長いインタビューの最後に、失礼を承知で「もしも」の話を聞いてみました。
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