3ページ目(3ページ中) | 妊活こじらせ!!「離婚」の2文字が頭をよぎった採卵日の朝【太田光代さん】
その最大の理由は、2人で始めた不妊治療であるにもかかわらず、女性の負担が圧倒的に大きいからなのだと思います。そして終わりが見えない。
短期間なら問題なくても、長引けば長引くほど女性はイライラし、男性は重荷に感じてしまう。
「なんで2人の子なのに、夫はこんなに他人事なの?」と女性は思うし、男性は「こんな妻を見ているくらいなら、子どもなんていなくていいかも」と思うようになる。
このあたりのズレが原因ではないでしょうか。
夫は妻に「ありがとう」、そしてハグ。これは基本です
男性は不妊治療において、できることがあまりありません。
だからうっかりすると他人事みたいな態度をとってしまうので、そこはもう、十分すぎるくらいに気をつけてほしいですね。
とくに採卵のときとか、生理がきちゃったときとか、スペシャルな心づかいが必要です。多少イラっとされたり、たまに背中を蹴られたりしても、「大変なんだよね。ありがとう」と感謝する。そしてハグ。
男性に原因がある場合、「妻に申し訳ない」と離婚を切り出してしまう男性もいると聞きます。でも、それは絶対にダメ。だって奥さんはそんなこと十分わかったうえで、ほかでもない「この人」の子どもが欲しいと思うからがんばっているんです。
それなのに離婚を切り出されたら、妻がどれだけ傷つくか想像してごらんなさい。
妻のつらそうな顔をみるのがイヤなら、できるだけサポートしてあげて、「大丈夫?」と気づかって、いつも「ありがとう」、そしてハグ。やることは同じです。
採卵の日は、家事くらい全部やってあげましょう。もし生理が来たら、おしゃれなビストロでワインですよ。あの手この手で感謝の気持ちを伝えるしかないのです。
妻は夫を追い詰めない。さりげなく誘うようにがんばって
一方で、女性にも心づかいは必要です。とくに「今日だからね!」のアピール。
いろんな男性の話を聞いて心から思うのですが、どうも彼らは「今日だからね、早く帰ってきてね」と言われると、とたんに逃げ腰になるのだそうです。
私の知人に、普通にスケベな男(おっと、失礼)がいます。もう、本当にそういう男です。そんな人でも「今日排卵日、って言われるとダメになっちゃうんだよな、オレでも」と言うのです。
そうか、この人でもダメなんだ! 衝撃でした。
『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』を読むマジメな読者男子なら、きっとなおさらではないでしょうか。
女性にしてみれば「女は痛みやつらさに耐えているんだから、男だってそのくらいがんばってよ」と思いますよね。わかります。
でも、できないものはできないわけなので、ここはできるような配慮をしなくては目的が達成されません。なので、「今日だからね」は伝えずに行きましょう。
たとえば温泉旅行を組んでみたり、レストランを予約してみたり、あの手この手で夫を捕獲して、いいムードに持っていくのです。その方が絶対に合理的です。
別れたくなってしまったら、もう一度原点に立ち戻って
ともあれ、「離婚」の2文字が頭をよぎったら、一度ちゃんと話し合ってみてください。お互いにきっと、思いやりの方向性がすれ違っているんだと思います。
相手を思いやる気持ちに立ち返って、それを行動に移してみて。それでもなお、お互いの溝が埋まりそうにないなら…、一度治療をやめてみませんか?
先ほど言ったように、2人の子どもを持ちたいという思いは究極の愛情です。そのせいで離婚の危機になるのであれば、治療そのものを見直す必要があると思います。
治療をやめてみて、どう思うかはわかりません。もし「この人との子どもでなくてもいいから、私はやっぱり子どもが欲しい」とか、「この人と一生2人っきりで生きていくのは無理だ」と思ったのであれば、それはもうやむを得ないでしょう。
でもね、「治療をやめて夫婦仲が元に戻った」という声も実はよく聞く話です。
2人で旅行に行ったり、おいしいものを食べたりして、2人で幸せに過ごしている夫婦はまわりにたくさんいます。
なかには治療をやめたら夫婦関係がよくなって、自然妊娠したというケースも多いものです。精神的にリラックスするからかもしれません。
ともあれ、なぜこの人と結婚したいと思ったのか。どこに魅力を感じたのか。そんな原点に立ち戻ってみましょうよ。
妊活離婚なんて、もったいない。私は心からそう思います。
太田光代さん
1964年生まれ。雑誌のモデルをへてタレントに。90年、爆笑問題太田光さんと結婚。97年から不妊治療を開始し、体外受精にトライするもいったんお休み。2010年ごろから治療を再開。2回の顕微授精をへて、3回目の移植の直前に東日本大震災が起こり、さまざまな事情から移植を断念。現在、凍結受精卵2つを保存している。93年より、芸能プロダクション「タイタン」を設立し代表取締役をつとめる。
取材・文/神素子 構成/大隅優子(主婦の友社)
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