排卵検査薬を使ってベストな妊娠のタイミングを知る使い方
妊娠は、卵子と精子が出会って受精し、無事に子宮に着床することで成立するので、チャンスとなる排卵日を知ることが大切になります。
「排卵検査薬」は排卵日を自分で知るサポートをしてくれるものです。正しい使い方を知って、良い結果に結び付けたいですね。いつからどのように使えばいいのか、パートナーとのベストなタイミングのとり方などについて、まとめました。
排卵検査薬とは?
卵子の生存期間は排卵後の約24時間、女性の体内での精子の生存期間は2〜3日といわれているため、排卵の前後が最も妊娠する確率が高くなります。
排卵日が約1日前にわかるものが「排卵検査薬」です。
排卵検査薬の仕組み
女性の生理周期は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)によってコントロールされています。そして、この2つの分泌に影響を与えているのが、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)です。
FSHは卵胞を成熟させるホルモン、LHは排卵を促すホルモンです。LHは通常時も少量分泌されていますが、排卵日前には急激に分泌量が増加します。これを「LHサージ」といい、その後約40時間以内に排卵が起こる可能性が高いといわれています。
一般的な市販の排卵検査薬の場合、尿中に排出されるLHの濃度を検出してLHサージが起こっているかどうかを判定します。
排卵検査薬の使い方
現在市販されている排卵検査薬はスティック状で、片側に尿をかける「採尿部」があるものがほとんどです。基本的な使い方は以下のとおりです。
1.排卵検査薬を取り出し、キャップをはずして採尿部を出す
2.採尿部に決められた秒数尿をかける
3.平らな場所に置いて、指定された時間待つ
採尿部に尿をかける秒数や判定までの待ち時間など、詳しい使い方は排卵検査薬によって異なるので、検査薬に添付されている説明書をよく確認してから使いましょう。
関連記事:排卵検査薬「唾液で検査する」タイプも!使ってみた人の感想は?
排卵検査薬を使用するときに守りたいこと
どの排卵検査薬でも守りたいことは、次の5点です。
1.使用期限を守る
使用期限を過ぎて使用すると正しく検査できないことがあります。使う前にパッケージに記載されている使用期限を確認しましょう。
2.毎日、検査する時間を決める
LHの分泌量は短時間のうちに変動するので、検査と検査の間が24時間以上空くと、その間にLHサージが起こってしまう可能性があります。正しく排卵日を予測するには、毎日同じ時間に検査をすることが大切です。
なお、陽性が出るまで1日2回検査をすると、短時間に急激に起こるLHサージをとらえやすくなります。この場合も、朝7時と夜9時など、毎日決まった時間に検査をするようにしましょう。
3.前回の排尿から一定時間空けてから検査をする
尿中のLHの量を正しく検出するため、検査は前回の排尿から一定時間経過してから行ないます。前回の排尿から空ける時間を4時間程度としている検査薬の場合、例えば、夜7時に排尿があったら、検査を行うのは夜11時以降となります。どのぐらい時間を空ければよいかは、各排卵検査薬の説明書を確認してください。
4.検査前にたくさん水分をとったり大量の汗をかくような運動をしない
尿中のLHの量に影響するため、検査前にたくさん水分をとったり、大量の汗をかくような運動をするのは避けましょう。
5.検査薬は検査直前に袋から出す
検査薬は個包装になっています。袋から出してから時間がたつと、正しく検査ができないことがあるので、検査直前に取り出すようにしましょう。
排卵検査薬を使う際に注意すべきこと
排卵検査薬を使うにあたっては、以下のように注意が必要な場合もあります。
・不妊治療を受けている場合
・通常の性交を続けても1年以上妊娠しない場合
・生理周期がとても長かったり、短かったり、生理の出血量がとても多かったり、少なかったりなどの異常がある場合
このような場合は、正しい検査結果が出ないことがあるため、必ず医師に相談してから使うようにしましょう。
排卵検査薬を使い始めるときのベストなタイミングとは?
尿をかけて検査を行なう市販の排卵検査薬は、使い捨てが基本です。
排卵は次の生理予定日の約2週間前に起こるといわれているので、その少し前から使い始めると無駄になりません。そのため、まずは次の生理がいつになるかを予想する必要があります。
●生理周期が規則正しい場合
ほとんどの排卵検査薬では、生理周期が25日、28日、30日などと毎月規則正しい場合は、次の生理予定日の17日前から使い始めるよう説明されています。
例えば、生理周期が28日で前回の生理開始日が5月1日の場合は、次の生理予定日は5月29日となります。その2週間前である15日が排卵日と予想されるので、2日前の13日から検査を始めます。
陽性になった後は陰性になるまで検査を続けます。それを何周期か続けると、自分のLHの分泌リズムを知るのに役立ちます。
●生理周期が不規則な場合
前回は25日、その前は35日というように生理周期が不規則だと、次の生理予定日の予測が立てにくいでしょう。その場合は、最近の2~3周期のうち、最も短かった周期を目安にして次の生理予定日を算出し、その17日前から検査を始めます。
例えば、直前の生理開始日が5月1日で、前回の周期が32日、前々回の周期が30日、その前の周期が27日だった場合は、5月1日から数えて27日目の5月27日を次回の生理予定日に設定します。排卵検査薬を使い始めるのはその17日前、5月11日になります。
排卵検査薬を使用後、陽性・陰性の見分け方とは?薄い線の場合は?
排卵検査薬で検査して指示どおりの時間待ったら、まずは検査が正しく行われたかどうか確認しましょう。その後、判定のための窓を確認します。確認や判定のための窓の名称、箇所は検査薬によって異なるので、説明書で確かめてください。
判定方法は検査薬によって異なり、陽性か陰性かを線の濃淡で判定するもの、線の本数で判定するもの、線のあるなしで判定するものなどがあります。
薄い線が出た場合のジャッジは?
●線の濃淡で判定する場合
判定窓に出る線を基準となる線と比べ、濃いもしくは同じぐらいの濃さの場合、陽性と判定します。
判定窓に線が出なかったり、薄い陽性のような線の場合は、陰性と判定します。
●線の本数で判定する場合
基本的には線の増減で陽性、陰性を判定しますが、0から1本に増えた場合は陰性と判定します。線の濃淡は判定に関係なく、薄くても線が現われた本数で判定します。
●線のあるなしで判定する場合
判定窓に線があれば陽性、線がなければ陰性と判定します。薄い陽性のような線の場合は、基本的には陽性と判定しますが、とても薄くて見えるか見えないかという場合には、再度の検査が推奨されています。
排卵検査薬が陽性の場合、タイミングをとるのはいつがベスト?
陽性判定が出た場合は、LHサージが起こったと考えられます。約40時間以内に排卵が起こる可能性が高いといわれているので、陽性が出た当日と翌日が妊娠しやすい日となります。できるだけ早くパートナーとタイミングをとりましょう。
1回だけしかタイミングがとれない場合は、いつがベスト?
パートナーの仕事の都合などで、陽性が出た当日、翌日と2日続けてタイミングをとるのが難しいという人もたくさんいるでしょう。その場合は、陽性が出た当日にタイミングをとるのがベストです。
その理由は、卵子の生存期間が24時間といわれているのに対して、精子の生存期間は2~3日といわれているからです。仮に排卵が陽性になった翌日に起こったとしても、精子は翌日も子宮内で生きているので、妊娠の確率が高くなります。
逆に、陽性になった翌日にタイミングをとった場合、陽性になった当日に排卵が起こってしまっていたら、卵子が生存している可能性が低くなってしまうのです。
排卵検査薬を使い続けても陽性が出ない場合
次の生理予定日の17日前から検査を始め、使い続けても陽性が出ない場合、生理周期が不規則で予想した排卵日がずれていたり、LHの濃度が陽性と判定できるほど高くならなかったり、LHサージが12時間以内と短かったりということが考えられます。そのような場合は、次の周期を無駄にしないためにも、早めに病院を受診しましょう。
陽性が出ても注意が必要な場合も
まず、検査している間ずっと陽性が続く場合は注意が必要です。
妊娠していたり、分娩・流産した後、人工妊娠中絶後だったりすると、陽性が続くことがあります。また、胞状奇胎や絨毛ガンなどの病気、不妊治療のための薬の投与、LHの濃度が常に高いといった場合にも、排卵とは関係なく陽性が続く可能性があります。こうした場合も、早めに病院を受診しましょう。
また、排卵検査薬を使って6周期検査し、陽性になってタイミングを取っていても妊娠しない場合も、できればパートナーと一緒に早めに受診をしてください。特に、30歳代後半以上の方、結婚後妊娠できない期間が長い方、早期の妊娠をご希望の方は、その後の不妊治療も視野に入れて、できるだけ早く受診しましょう。
取材&文/荒木晶子
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