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ベテラン胚培養士・島崎精恵さんに聞きたい!

Q.業務を行うにあたって、いちばん気をつけているのはどんなこと?

A.とり違えを起こさない&清潔を保つこと

とり違えが絶対に起きないように、当院では卵子や精子、胚に患者さんごとにバーコードをつけて管理しているだけでなく、必ず培養士2人で目視によるダブルチェックを行っています。

また、受精卵を培養する培養液は菌に好まれるので、作業前に手を洗うのはもちろん、たとえば床にものが落ちた場合も素手で拾わない、手で拾ってしまった場合には必ず手を洗う、使用している器具や機器は使うたび洗浄や清掃するなど、衛生管理を徹底しています。日々使用する機器のメンテナンスも定期的に行います。

Q.培養室の内部って見られないのですか?

A.当院の培養室には大きなガラス窓が設置されています

患者さんが採卵に行く途中で、ガラス窓から培養室内や勤務している培養士の様子を見ることができます。ご自分の大切な卵子や精子、受精卵を託している場所を見られることで安心していただけるのではないかと思います。

Q.培養士さんの技術力って、みんな同じ?

A.経験や研鑽を積み重ねて、少しずつステップアップします

当院では、より高いレベルでの培養業務ができるよう、国内外の学会に積極的に参加するなど、知識や技術も日々研鑽しています。

入職したてのころは、翌日の培養液の準備や先輩の培養士の補助、ベテランの胚培養士の手技の見学などから始めます。育成の目安はありますが、人によって手技や知識を得ることのスピードが速い、遅いなどもあります。技術の一つ一つが次の技術につながっているので、一律に年数だけで判断するのではなく、その人に合ったスピードで進めるようベテランが見極めて、問題がなければ次のステップに進むようにしています。また、受精率などが安定しているかどうかの成績管理も行っています。

Q.胚培養士の仕事って、毎日同じことのくり返しですか?

A.経験を重ねることで進化していきます

長い間、受精や培養を続けてきたことで、受精卵1個1個に個性があることがわかるようになってきました。卵や精子によってはイレギュラーなケースもあり、経験を重ねることでその対策についてディスカッションや提案もできるようになりました。

学会での発表や後輩の培養士への指導・サポートなどのほか、フィリピンやモンゴル、中国など海外施設への技術教育、海外のスタッフが研修に訪れたときの指導などの機会も得ました。そのような経験によって、自分の視野が広がったと感じています。

Q.胚培養士の立場から、不妊治療へのアドバイスを聞かせて!

A.不妊治療を考えていなくても、まず妊活ドッグで体のチェックを

まず、体外受精をまだ始めていないかたであれば、早いうちにパートナーといっしょに妊活ドッグなどで体の状態を調べておくことをおすすめします。不妊かどうかは、自分ではわかりませんし、年齢が高くなると受精卵ができる率も下がります。お子さんが欲しいと思う前に体のチェックをしておくことで、ライフプランも立てやすくなるのではないかと思います。

体外受精をすでに行っているかたの場合は、どうしても結果に一喜一憂しますし、ゴールが見えないので不安だと思います。自分を責めてしまうかたも、なかにはおられます。でも、決して今見えている結果がすべてというわけではありません。信頼できる医師や培養士のもとで、スタッフを信じて挑んでいってほしいと思っています。

構成・文/荒木晶子

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