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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 不妊治療コラム 【不妊治療専門医に聞いてみた】多嚢胞性卵巣の体外受精、どうすればいいの?選択肢は?

【不妊治療専門医に聞いてみた】多嚢胞性卵巣の体外受精、どうすればいいの?選択肢は?

2023/06/04 公開

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男女それぞれのカラダのこと、受精について…。「赤ちゃんが欲しい」と思い、不妊治療をスタートすると、今までは気にならなかった、ささいな疑問やお悩みが出てきますよね。
こんなこと病院で聞いていいことなのかな、主治医にはちょっと聞きづらいな…。そんな、妊活中の体や治療に関する気がかりに、不妊治療専門ドクターが答えてくれます。

実際に妊活メディア「赤ちゃんが欲しい」に寄せられたお悩みなので、ご自身に似た相談があるかもしれません。ぜひヒントにしてみてくださいね。

今回はIVF大阪クリニック院長・福田愛作先生に答えてもらいました。

【不妊治療】多嚢胞性卵巣。採卵前の卵巣刺激法、どうすればいいの?

質問者データ/30歳、多嚢胞性卵巣、子宮卵管造影検査異常なし、精液検査問題なし
顕微授精を予定

私は多嚢胞性卵巣(PCO)で、人工授精を7回、体外受精には1回トライ。卵巣過剰刺激症候群 (OHSS)の症状が出たため、何周期か休んだあと顕微授精をする予定です。

タイミング法、人工授精のときからクロミッド(クロミフェン)と注射の排卵誘発ですが、徐々に量がふえました。

体外受精ではフォリスチム注射で卵巣を刺激し、採卵3日前に排卵を抑えるガニレスト、採卵2日前には排卵を促すゴナドトロピン5000を注射。28個採卵できたものの、受精はゼロ。医師は「次回は注射の量を減らし、顕微授精を」とのこと。注射ではなくクロミッド服用か、排卵誘発剤を使わない自然周期は意味がないですか?

クロミッドが効きにくい私は、強い刺激法で採卵するしかないのでしょうか。

【妊活用語解説】多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)って何?

通常は月に1度、卵巣内で成熟した卵胞から卵子が飛び出して排卵するのですが、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)の場合は、卵胞が成熟することができず、排卵が起こらなくなる状態に。一定周期で月経がこなくなり、卵巣は多くの未成熟卵胞でおおわれてしまいます。

関連リンク:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)って知っていますか?改善できるの?

多嚢胞生卵巣の方の体外受精、さまざまな方法が考えられます

不妊治療専門医アンサー
方針に大きな問題はないようですが、さまざまな方法が考えられます。

卵巣刺激の方法と受精卵が得られなかったということは、分けて考える必要があります。授精法について次回は顕微授精にするのは当然だと思います。

ただし、今回についても28個の卵子の中に、何個ぐらい成熟卵子が得られたかが重要な問題です。成熟卵子が少なかったのであれば過剰刺激 (OHSS)を気にするあまり、HCGを打つ時期が早すぎたことも考えられます。

卵巣刺激についてはさまざまな方法があります。今回のアンタゴニスト刺激法は多嚢胞性卵巣(PCO) のかたには最適だと思います。クロミフェン内服のみというのは、あまり現実的ではないと思います。PCOのかたの卵子がよくないということはありません。

関連リンク:体外受精ってどんな治療?治療の流れを正しく知ってトライしたい!

多嚢胞性卵巣(PCO)の体外受精について/選択肢

次に多嚢胞性卵巣(PCO)のかたの体外受精について選択肢を書いてみます。

1.PCOのかたでは耐糖能検査(HOMA-R) をして異常があればメトホルミンという糖尿病の薬剤を併用することも効果があることがわかっています。

2.卵巣刺激にクロミフェンやフェマーラのような内服薬とFSHのような注射薬と併用し、卵胞が大きくなればアンタゴニストを追加する方法もあります。

3.最後の注射についてはHCGではなくアゴニスト製剤(スプレキュア)を使う方法があります。この方法により成熟卵子がふえる可能性もありますが、卵巣過剰刺激を予防する効果もあります。

4.先にも書きましたように、今回は一般体外受精(媒精法)で受精卵が得られなかったのですから、次回は顕微授精がいいと思います。顕微授精を選択することで成熟卵子がどれくらいあるかもわかります。また媒精法による、たまたま受精しない、ということもなくなります。

5.あまり多くの施設ではされていませんが、未熟卵体外受精(IVM)と呼ばれる、過剰刺激の危険性のまったくない方法もあります。

PCOのかたの体外受精にもいろいろな選択肢があります。可能性は十分にありますのであきらめずに頑張ってください。

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監修
監修

IVF大阪クリニック院長。
1978年関西医科大学卒業。舞鶴市民病院産婦人科医長、京都大学大学院医学研究科、東京大学医科学研究所国内留学。米国東テネシー州立大学准教授などをへて、98年よりIVF大阪クリニック勤務。2003年より現職。『赤ちゃんが欲しい』の気がかり相談室では、長年、読者に寄り添った回答を続けている。

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