「試験管ベビーらしいよ」同僚の心ない言葉を聞いて、カミングアウトは断念…。けど、仕事を辞めようと思ったことは一度もないんです【婦人科疾患と不妊治療/めぐみさん③】
妊活・不妊治療をすすめていくうえで、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科トラブルがみつかることがあります。妊娠への気持ちは焦るなか、トラブルの治療を優先しなくてはいけないことも…。
体外受精の採卵時に受けた子宮内膜検査で“前がん病変”が見つかった、めぐみさんのお話、最終回です。
職場で聞いた「試験管ベビー」という言葉
めぐみさん(40歳)
妊活歴:5年2カ月

⇐前のお話を読む
第1回「子宮体がんステージ0の宣告」
第2回「子宮筋腫手術と凍結胚移植」
職場の人に不妊治療していることを知られたくなかった
妊活中、一番大変だったのは、仕事と治療の両立でした。
たとえば、「子宮内膜掻爬(そうは)術」は2カ月に1度、計5回、1泊入院で処置をしていましたが、金曜に有休をとって入院・手術、土曜に退院し、日曜は体を休めて、月曜に出社というスケジュール。
子宮筋腫の手術は、5泊の入院でしたが、幸いテレワークだったので、退院した翌日には自宅で仕事を始めました。
職場のみんなに不妊治療のことを伝えて、協力してもらうという方法もあったと思いますが、私は上司だけに伝えて、それ以外の人には言っていませんでした。できるだけ知られたくなかったんです。
というのも、私の周りには独身の方も多く、出産していても自然妊娠の方しかいませんでした。
そんな職場で以前、体外受精した人に対して「試験管ベビーらしいよ」という言葉を聞いたことがありました。なんて心ない言葉なんだろうと思いました。
このとき聞いた言葉の衝撃が強すぎて、わたしが不妊治療のことを夫以外の人に相談することはありませんでした。
でも妊娠後、いろんな方と話すと「実は私も体外受精だったの」と聞くことが多いんです。
実際はそれほど特別なことではないんですよね。不妊治療はすでに普通のことで、私が変に身構え過ぎていたのかもしれません。全出生数の16分の1の赤ちゃんがARTで誕生していると言われていたり、不妊治療は決して珍しいことではない。あらためて感じています。

手術後や採卵後などは、ご褒美と称してスイーツを食べるのが楽しみでした。夫からの「お疲れ様」の声もうれしかったです。
とにかく仕事も不妊治療も「うまくやりたかった」
仕事の調整は大変でしたが、仕事をやめようとは一度も思いませんでした。
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